性癖感染病
「性癖感染病……ですか?」
「はい、そうです」
俺は医者の口から出た言葉に困惑していた。
ー昔から自分は何かに影響されやすく、親父の秘蔵品や兄貴のそういう系の漫画だって読んできていた。だからしょうがないとは思っていたのだが……他のもので致そうにも致せずもしかしてなにかの病気かと考えた。
最初は友達に相談して、バカにされた。俺もそうだと思った。だけど、一向に治る気配はなく。むしろ、ネットを通していろんな分野を開拓に開拓を進め、一通りいける口にはなったのだが、普通なのだとどうしても萎えてしまう。
ーもう、これじゃ将来結婚した時に嫁さんに特殊プレイ好きの人と思われてしまう!
そう思いだった俺は一人医者の元へと向かった。
「えっと……この病気は一体どのようなもので?」
「そうですね。この病気はまず、千万人一人という割合でかなり珍しい病気となります。症状として、性機能面に置いて異常な程の特殊さをもち、言うなれば守備範囲がかなり広いのです。まぁ、それも人それぞれですが……あなたに置いてかなり症状段階が進んでおり、治すことはまず不可能です」
「っ!……」
“不可能”そのことばが重く肩にのしかかる。これから一生この病気と向き合わないといけない。そう思うと息が詰まる思いになる
「ただ安心してください。直接的な死亡例とかはまだないので」
「そ、そうですか」
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あの後、対策法としては“性の帰結”と言うものが必要となり、それというのが「一周回れば普通のも案外いける」と思わせる事であり、一週間毎に動画や漫画を一日に三回見る事を言われた。
正直バカらしいと思ったがそれしかないと割り切った。家では家族が用意するので困らなかった。
お昼はわざわざ、男子トイレの個室で処方し、なんとか乗り切っていた。
ーそれから大人になってからというもの、この病気の勢いは収まりだし、彼女も出来た。
高校、大学の時はバレそうになり、あいつわざわざ個室に行ってまでやってるのだとか噂されてしまい、彼女すら出来なかった。ただ、寄ってくるのはそれを面白く思う変人だけ
ーそして普通に結婚して子供もでき、普通の家庭も作れた。今は嫁さんの事を大事に思ってるし子供が可愛くて大好きだ。いつか反抗期が来たらと思うと病気が活発化しそうで怖いが今は今ですごく幸せなんだと思う。
ー思い出すとこの病気をとても恐ろしい病気だと思ってたのがすごく懐かしい。だってこの病気のおかげでこの家族が出来たんだし、多くの事を知るきっかけになり、今こうしてあの医者に憧れて医者になったのもこの病気のおかげだ。こういうのはなんだが、“性癖感染病”なんて名前にせずに愛の病気だとか色々あるだろって思う。まぁ、おおよそ性癖の部分で悩まされていたけど(笑)
ーじゃぁ、そろそろ妻が先に待ってるから行きますね。息子と娘よ頑張って幸せになれよ?