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怪物探偵倶楽部 ~アリス・イン・モンスターズ~  作者: 鷹司
第四章 明かされた真相
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膨れ上がる不安

 アリスは頭が混乱していた。優希をワナに嵌める作戦は成功に終わり、『吸血鬼事件』は無事に解決へと向かったはずなのに、脳裏の片隅に引っ掛かるものがあるのだ。



『事件の被害者二人は、共にカミラに好意を抱いていた──』



 さきほどきららから聞かされた話が、頭を混乱させる要因だった。



 ひょっとしたら、あたしたちは何か大きな勘違いをしているんじゃ……。



 新たな疑問が頭に浮かんでくる。



 もしかしたら、この事件の真犯人は別にいて……。



 しかし、すぐに自分の考えを否定した。



 いや、そんなはずはないか……。だって犯人は彼で決まっているんだから……。彼以外が犯人だなんて考えられない……。



 頭の中で思考が二転三転する。混乱するばかりで、思うように考えが上手くまとまらない。



 だいたい被害者はみんな女子高生なんだから、男の優希が犯人で間違いないはず──。



 そこまで思考が進んだとき、アリスの脳裏にきららが言った言葉が思い浮かんだ。



『カミラの恋愛志向は女性に向けられている』



 その瞬間、頭に電気ショックが走った。光速のスピードで伝達信号が脳内を駆け巡っていく。アリスはある可能性について閃いたのである。



 今までは、被害者二人が女子高生だったから──つまり被害者が『女』だったから、てっきり犯人は『男』だと勝手に思いこんでしまっていたけれど、もしも犯人が『女』だとしたら──。もしも『女』の犯人が、『女』の被害者を襲っていたとしたら──。



 今まで考えていた事件の図式ががらりと変わる。コペルニクス的な発想の転回だった。



 もしも、この街に『女』吸血鬼がいたとしたら──。もしも、その『女』吸血鬼が女子高生を襲っていたとしたら──。



 アリスはようやく事件の本質に考えが至ったのだった。



 犯人が『女』吸血鬼だとしたら、きららが抱いていた疑問についても合理的な説明が出来る。なぜ二人の女子高生は夜に外出したのか? 会いに行った相手が『女性』だったからである。『女性』に会いにいくのならば、夜だとしてもそこまで警戒したりしないはずだ。しかも被害者は『その女性』に対して好意を抱いていたのだ。だとしたら、なおさら疑う気持ちなんて持たないはずである。逆に考えれば、その『女吸血鬼』はわざわざ催眠術なんか使わなくとも、易々と被害者を人目に付きにくい夜に呼び出すことが出来たのである。



 頭の中で事件の全貌が徐々に見えてきた。



 ということは、『彼女』が真犯人ということになるの? つまり『彼女』の正体は『女吸血鬼』ということなの?



 そこまで考えたところで、新たな別の疑問が生じた。



 でも、それじゃ『彼』はどうなるんだろう? 『彼』は吸血鬼じゃないっていうことなの? でも、橋塚俊実くんが屋上で催眠術を掛けられたのは事実だし、今夜カミラさんが襲われたのだって……。



 一度は収まりかけていたはずの頭の混乱が、再度ぶり返してきた。



 これっていったいどういうことなの……? あたしの考えがまだ至らないだけなの……? それとも……もしかして今この街には──吸血鬼が『二人』いるっていうことなの……?



 思考は五里霧中のまま、解答がまったく見出せずに、頭の混乱はさらに拍車が掛かるばかりだった。そして徒に時間だけが過ぎていくことに、そのときアリスはまだ気付いていなかった──。

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