THE プロレス2 〜ROUND 22 試合の余韻〜
さらにデスマッチをやり込んでいくと、効果的な技も発見。「投げっぱなしジャーマン」は相手を離れた場所まで放り投げるので、ロープ際で使えば簡単に火炎に放り込むことが可能。難点としては背後から掴まないと発動しないので駆け引きが重要なこと。現実的な対処法としては背後掴みの技は全部投げっぱなしジャーマンをセットしておくことです。これなら背後から掴めば必ず投げっぱなしジャーマンが発動します。
もっと凄いのが「シーソーホイップ」 これは倒れた相手を足から掴むだけで相手を放り投げるスグレモノ。しかもかなり遠距離まで飛ばせるので、リングのほぼ中央で発動しても火炎に放り込めるのです。まさにファイヤーデスマッチの申し子。相手を燃やすためだけに生まれた技としか思えません。
その威力はもう規格外の一言。打撃一発でもいいからダウンさえさせれば、ダウンした選手の命運は尽きたも同じ。あとは必殺、シーソーホイップの餌食となるばかり。
相手の肉体は天高く美しい放物線を描き、そのまま火炎に真っ逆さま! その芸術的曲線と地獄絵図の対比が一層プレイヤーをオーガズムに導くのです。
この快感を知ってしまった筆者はもう相手をポンポン火炎に投げ込み続けました。まさに人間焼却炉。ひとりレスラー大虐殺。なにしろダウン一発で放り込めるのですから効率がいい。燃やされたレスラーの供養塔を自宅の庭にでも建立しようとさえ思ったほどです。その効率の良さは試合開始数秒で葬ることのできる凶悪ぶり。文字通りの秒殺です。そこにはもう観客を楽しませるという使命感などすでになく、いかに効率よく相手を燃やせるかという、モダン・タイムスのような単純作業を延々とやってる自分に、筆者はフト、気付いてしまったのです。
浮かされた熱が何かのきっかけで不意に冷めるのはよくあること。そしてその冷めは、人を大変な虚脱状態にしてしまうことも多々あります。この時の筆者もまた、漠然とした虚無感と、言い知れぬ悔恨を覚えたのです。
祭りが終わったあと、手にした金魚がとても邪魔臭くなるような。彼女にふられたあと、思い出の写真が見るのも嫌になるような。風俗の帰り道、虚しくなるのは分かってるのに、なんでまた行ったんだろうと、激しく後悔してしまうような、あんな感覚を。
ううむ。最後の例えはちょっと、いや、かなり違うか。