THE プロレス2 〜ROUND 10 エキジビション〜
それでも、何かの義務感にでも駆り立てられるかのように、プロレスゲームの一本でもプレイしておかなくっちゃ、と、本作を購入。ひょっとすると当時一部でメジャーになってたインディーズプロレスからリアルファイトへの流れに対する抗議の意味もあったのかもしれません。まあ、本作にもやはりと言おうか、インディーズ系の試合形式はあるんですけどね。でもぶっちゃけ、あの当時のプロレスゲームで電流爆破デスマッチを入れないという選択肢はビジネス的にもあり得なかったのでしょう。
そもそもなぜ、あのプロレス暗黒時代にあんな過激なデスマッチがもてはやされたのでしょうか。それもやはりプロレスが持つ、グレーでアングラな部分の副作用だったのでしょう。
プロレスに対する一般人の認識はある時期、間違いなくシフトします。これは誰にでも訪れる思春期のようなものです。そこでプロレスとの付き合い方をいま一度見つめ直すことを余儀なくされます。これは誰しも避けて通れない道です。その後の人生は大体、3つに大別されます。
1. 大人として割り切りそのまま楽しむ。
2. 別の楽しみ方を知ってちょっと嫌なファンになっちゃう。
3. 熱狂してた自分を恥ずかしいとさえ自己嫌悪し、訳知り顔でこき下ろす側に回る。
ま、大多数が三番目のパターンでしょう。日本人の国民性からしてそんな感じですし。(最初からプロレスに興味ない層はどうなんだ? という基本的疑問はスルーします)
しかし、中には非常にレアですが(レアでもないのかもしれませんが)、少年の心を決して手放さず、現実が見えてて見えないフリをしてしまう、純粋かつ、真性のファンというものも確実に存在します。例えるなら、赤ちゃんは性行為で生まれるのではなく、まことに愛しあう男女がひとつ屋根の下で暮らさぬ限り、決して授からぬと主張して譲らぬ宗教家のようなものです。筆者のような凡人には到底真似のできぬ崇高な生き方です。そのような真性ファンがプロレス界を支え続けたという現実は何人にも否定できません。
そのように現実に蓋をして、我が道を往く覚悟を決めたファンにはブックなど、到底容認できないでしょう。訳知り顔で「ホントに戦ってるんですか?」などと質問してくる元ファンにも苦悩したことでしょう。でも、ディベートしたって勝てるわけがありません。そりゃそうです。なにしろそここそがプロレスの、グレーでアングラな魅力の本質とも言える部分なのですから。
そこにわざわざツッコんでくるっていうことは、そいつは格闘に興味もないし無知な奴が知ったかぶってるだけなのは明らかなので、そんな奴と議論するのは時間の無駄なのはもう分かりきっていることです。
歌舞伎やミュージカルを見ていて、「見栄を切ってる時に殺しちまえばいんじゃね?」とか言たがる、作法すら知らないド素人と同じです。こういう人種はよせばいいのに、間がもたないもんだから余計な口を挟んでわざわざ墓穴を掘りたがります。議論では勝ってるかもしれないけど、人間的な魅力が薄い事実を自ら暴露しているのです。
支離滅裂なことを並べ立てておいて、墓穴を掘ったら「私は憲法改正論者ですからその質問には答えられません」などとカマして逃げる自称知識人と一緒です。そもそも論破のしようがないので時間の無駄なのです。でも、真性のプロレスファンは、どうしてもそういう半可通を許すことができないようです。