天誅 忍百選 〜菊姫の危機〜
それから記憶に残ってるのが姫を救出するステージ。普通は歩く姫を護衛して、進路に配置された敵を始末してゆくのですが、このステージではまず最初に姫が敵に襲われてて、急いで救出に向かわなければならないってこと。グズグズしてると姫のライフが尽きてアウトになります。発想の転換の勝利なのですが、この作品、投稿した人も勇気がいっただろうな、と推察せずにはいられません。
だって姫を最初にボコってるのがデブでハゲの大男。それがバカでかい金棒で情け容赦なく幼い姫をボコボコに殴ってんです。姫も悲鳴をあげ、助けを求めてます。その残酷シーンが暗い閉ざされた空間で行われてるのですから、耐性のない人なら軽いトラウマになりそうです。筆者も「ゲームの残酷描写は社会のガス抜きになる」論者ではありますが、さすがにこのステージは甥にはやらせませんでした。(メモカすり替えてできないとトボけるの術)
このステージ、残酷なシーンではあるけど、過虐性と幼児性愛で悩んでる人には小さな救いになったんじゃないでしょうか? 幸い筆者はドが付くほどクソ面白味のないノーマルなので全然気にもならないのですが。
もしくはサイコパスな人が遊んだら大喜びして、そのまま姫が死んでいくのを観察さえしてたかもしれません。考え過ぎでしょうか。今のレーティング基準なら多分アウトでしょう。投稿した人も自身の性癖を勘繰られやすまいか? と、痛くもない腹を探られるのを心配してたかもしれません。それもなかったようなら確実にサイコでしょう。
(そういえばどこぞの都庁のお役人がゲームを有害娯楽にしようと一時期盛んに運動してましたが、槍玉に挙げたのがあの、GTA3というトンチンカンをやらかし醜態を晒してましたっけ。でも、頭のキレる奴が本作を俎上に上げてたら危なかったかもしれません。)
しかしそれを採用する方も大概です。そもそもこのゲーム、ステージ全般を通してジャパネスクと言おうか、民謡的で不気味なBGMで一貫してます。未来ステージは多少ポップですが、一服の清涼剤といった塩梅です。暗めで閉ざされた空間も狂気のようなものが見え隠れします。
こんなゲームを作った製作会社、そしてそれを支持するユーザー。その両者が一般公募の名のもとに手を取れば、どのような化学反応が起きるかは推して知るべしです。あの当時のPSだからこそできた、奇跡的な傑作と言えるでしょう。