新境地
森の中へと向った5人は、少し歩いて大きめの木を見つけると×印を付けて着実に進んで行った。
「結構深いですね、この森。私こんなに自然の中を歩いたの初めてかもしれません。自家用ヘリで上からなら見たことはあるのです」
ずっと黙っていた美鈴が沈黙を破る。しかも、和人達とは完全に別世界な話をしてきたので、皆対応に困った。
「自家用ヘリですかいw」
夏樹が戸惑いながらもつっこみを入れる。
「まぁそうだよね、僕もここまで奥に来たのは初めてで、少しドキドキしてる。もしかしたら、熊とか出るかもしれないし・・・」
「和人さん・・・熊が出たらどうするんですか」
敦の言葉に美月は少し怖がっているようだった。
「大丈夫。熊は大きな音を出しながら歩いていれば、自分から近づいてくることはないし、それに有段者の敦が居れば、熊なんて問題ないだろ?」
「それとこれとは違うだろ!!いくら人間を倒す術を知っててもさすがに、熊は無理だと思うよ・・・まぁそんときは、和人君、生贄にして皆逃げよ!」
すかさず、美鈴が会話に入ってくる。
「いえ、それでは和人さんに申し訳ありませんので、何も出来ない私が熊に襲われて、皆さんのお役に立ちます」
冗談を行ったつもりの敦であったが、美鈴には通じないらしい。本気で自分が生贄になると言っているようだった。目をきらきら輝かせ自分が役に立てるならと、本気で訴えてくる。さすがにこれは、和人達も笑ってしまった。
「美鈴さん!冗談だよ冗談!」
「え?冗談・・・そうでしたか・・・でも、本当にその時は私が生贄になりますので、皆さん逃げてくださいね」
「まぁまぁそんときは夏樹がどうにかしてくれるから、大丈夫大丈夫」
「ってうちかーい!!」
そうこうしているうちに、どんどん森の中へと入り込んで行った。
「んー、しばらく歩いたけど、景色が変わらないなー」
全員少し息が切れかかっている。
「ちょっと、ここいらで休憩する?川がそこにあるし、水分補給しておこうか」
「はーい!」
「うん、そうしよう。僕も結構疲れたから、休みたい」
和人、敦、美月、夏樹が川で水を飲んでいるが、美鈴が、近くまで来て様子を見ている。
「あれ?美鈴も飲みなよ!」
夏樹が美鈴にも水分補給をするように促す。
「えっと、その、そのまま飲むのですか?わたし、こんな風にお水を飲んだことがないので、その、おはしたない!と叱られないでしょうか?」
「なーに言ってんの!ここをどこだと思ってるの?」
夏樹が一喝入れる。
「そうそう、ここ、無法地帯だよ?誰にも何にも咎められない、そんなところで、誰が何を言うってんだー」
和人、夏樹に促され、美鈴も川から水を手で掬っている。
「このお水おいしいですね!あ、服にこぼしてしまいました・・・」
「だろ!ここの水うまいんだよー自然の恵みってやつだねー。服?そんなの気にしてもしょうがいだろ、こんなとこで行儀もへったくれもないんだから、もっと自由にいこうよー」
「あ、はい、じゃぁ、」
ばしゃんっ!ぶくぶくぶくっ。
いきなり、美鈴は顔を川の中に突っ込んだ。
和人達は、いきなりの美鈴の行動にあっけにとられて凝視している。
「ぷはーっ!すっごく喉乾いてたので、生き返りました!」
髪も濡れ、くしゃくしゃの笑顔である。その笑顔に和人は一瞬ドキっとした。
「そ、その方良いよ!こんなところで変に着飾る必要なんかないんだから!もっと楽にいこうよ!」
「はい!これからは、新生美鈴で生きたいと思います!」
何かが吹っ切れたような美鈴を中心に5人は笑っていた。
それは突然のことだった。
「しっ!!ちょっと静かにして!」
敦が何か神妙な面持ちで黙っている。
「やっぱり・・・、今何かブォーンっていう音が聞こえた。微かにだけど・・・。」
「ブォーン?!?ん?どんな音?」
「んー、大きな船が鳴らすような音!」
「船?!?!」
そこにいた全員が耳を澄ます。
・・・・ブォーン・・・
「あ!確かに聞こえた」
微かではあるが、遠くの方から船が鳴らす汽笛が確かに聞こえた。
「ってことは・・・ここの森を抜ければ島の反対側か?!意外とそこまで距離はないのかな・・・ここまで来るのに掛かった時間が分からないから、何とも言えないけど・・・」
「時間なら私が分かります。洞穴からここまで来るのに休憩も含めて3時間12分ほどだと思いますよ」
「おー!さすが美鈴さん」
「待って!何でそんな正確な時間が分かるの?時計とかないでしょ?」
夏樹は疑問でしょうがない様子だ。そりゃ、誰でもこの状況で正確に時間が分かる人が居たら驚くだろう。事の経緯を和人達が夏樹と美月に説明する。
「美鈴さん・・・すごい時計をお腹の中に持っているんですね」
にこにこしながら美月はあいも変わらず天然発言をぶっこむ。
「腹時計w」
和人達は爆笑した。
「さて、俺達が歩いていた時間が3時間くらいってことは、だいたいだけど、島の端から端までの最短距離が分かった。多分15kmくらいだろう。そうすると、前にも話しの例に出したけど、カリブ海にあるアルバ島くらいの大きさだと思う。」
皆は足を止め、和人の話を聞く。
「さらに、さっき船の汽笛が聞こえたってことはだ・・・、ここから先に大勢の人が居る可能性が非常に高い。この無法地帯で人が集まるってことは、ゲスなことをする輩が大勢居るってことだ。金品とか持ち物は何も持ってこれないから、窃盗とかはないけど、その代わり殺人・レイプなんかは簡単に起きてしまうんだ。」
「そ、そんな・・・さすがに、そこまで多くの人が悪い人だとは思いません。一応ここも日本ですし・・・」
美月は泣きそうになって下を向く。夏樹も美鈴も、表情に落胆の色が見える。
「そっか・・・、美月は大震災が起きた時の日本の現実を知らなかったんだね・・。あの時は本当にひどかったんだ、ニュースとかではほとんどやってなかったけどね。レイプ・窃盗なんてものは本当に多かった。もちろん皆が皆じゃないよ。だけど、法が存在している国家内でも少し混乱が起きただけで、それに乗じて理性を制御出来なくなる人達が居た。つまり、こんな無法地帯に大量の人が送られて、いったいどれだけの人が人間らしく理性を保ってられるかなんて・・・悲しいけど・・・」
「僕もそんな状況になっているだなんて、思いたくないけど、でも行ってみないと分からないでしょ?もしかしたら、僕達みたいにただ純粋に生きたいって思っている人も居るかもしれない、状況を変えられるかもしれない、だから行ってみよう!」
敦の言葉に皆決意を固める表情になる。
「うん!とにかく行ってみなきゃ分からないよね!」
「わかった。まずは自分たちの安全確保が大事だから、慎重に進もう。あと暗くなってから、森を抜けて洞穴に帰るのはちょっと危険だから、日が沈む前には戻りたい。美鈴さん、今って何時くらいか分かるかな?」
「そうですね、日本時間でおよそ2時32分です」
「よし、じゃあ、今日は船着き場があると思われる所に出来るだけ近づいて様子を確認。美鈴時計で4時になったら、切り上げて帰る。それで良いかな?」
「うん!」
「OK!」
5人はさらに森を進んでいくと、人の声と海の波の音が少しずつ大きくなっていった。もう少しで森を抜けきるかどうかといったところに差し掛かったところで、悲鳴が聞こえる。
「きゃーっ!!お願い!誰か!!だれか助けて!!」
「おい!今の!」
とっさに和人が反応した。夏樹と敦は悲鳴のした方向へ走ろうとする。
「ちょっと待て!」
和人が二人を制止する。
「なんでだよ!誰かが何かに襲われてるぞ!!」
敦は和人の制止を振り切ろうとするが、和人が押さえる。
「一瞬落ち着いてくれ、相手が動物とも限らない。恐らく人間だ。相手の数が分からない状態でうかつに近づくのは危険すぎる。相手に悟られない様に出来るだけ近づいて、相手が2人程度なら俺と敦で助ける。美月と夏樹、美鈴は俺と敦が出て行っても近寄らないこと。それでいいな?」
「・・・わかった」
5人は悲鳴がした方向へ向うと、その場所には、想定していた最悪の事態が待ち受けていた。
「おらっ!うるせーよ!黙ってやられろ!」
男2人が一人の女性の身ぐるみを剥がそうとしている。
「お願いだから、やめて!!!・・・」
必死に抵抗する女性。だが、次第に男二人の暴力に抵抗する力を失っていくように見える。
「和人!!!」
敦がそう言うと森の木陰から飛び出した。
「敦!お前は左!俺右!」
「OK!」
ドゴっ!!
二人の掛け声に驚き二人の男は、敦たちを見たが、その時にはもう遅かった。敦の飛び蹴りが左の男の顎にダイレクトヒット。
男の一人は膝が折れるように地面に崩れおちる。右の男は、咄嗟に敦に向い殴りかかろうとする。
「このっ、くそガキがー!!」
男が右腕を振り上げた。
敦は、それに一瞬早く反応し、回し蹴りの体制に入っていた。
が・・・次の瞬間。
フワッ・・・・
右腕を振り上げた男は、その瞬間に宙に浮き始める。
バサッ、ぐぎっ
それよりもさらに早く、和人は男の後ろへ回り込み、バックドロップを決めた。男は泡を吹き地面でぴくぴくと倒れている。
「和人君!今の?!」
敦は、突然の出来事に驚いている様子だ。
「まぁ、皆無事で良かった」
襲われて、上半身服をはぎ取られていた女性は蹲り、泣いている。
「あ、あ、あり、ありがと」
夏樹、美月、美鈴も木陰から出て、和人達のもとに駆け寄った。
「二人の息ぴったり過ぎてビビるわ。こんな場であんなにあっさりうまくいっちゃうものなの?!」
二人のあまりの手際の良さに夏樹は驚いている。
「敦君もそうだけど、やっぱり和人さんってやるときやっちゃうんですね。今回はやりすぎたような気もしますけど・・・、まぁこんなひどいことをする人には当然の報いですね!」
美月が関心しながら、倒れている男を残念そうに見ている。
「た、確かに、和人君のあれには僕もびっくりだよ。多分あの人はもう駄目だろうな」
敦は、和人のバックドロップで泡を吹いている男を残念そうに見ている。そして、敦は自分の着ていたTシャツを脱ぐと、怯えている女性に渡した。
「ほら、そんな格好じゃあれだから、これ汚れてるけど着て」
泣きながら女性は頷く。
「本当に、ありがとうございます・・・」
「大丈夫ですか?その、どうして、こんな人気のないところに来てしまったんですか?」
美月が心配そうに、女性に聞いた。
「その、船から降ろされて、しばらく大勢の人と一緒に海岸に居たんです。でも、お手洗いに行きたくなって・・・、その、こんな場所じゃトイレもないので、少し森の中に入ったところなら大丈夫かなって・・・。森の中に入ろうとした辺りから、この2人に追いかけられて、それで、訳も分からず怖くなって逃げてたらこんなところに来てました・・・」
「うー・・・辛かったね。もう大丈夫!うち達がついてるから!」
「ありがとうございました・・・。私、赤桐ユリっていいます。」
「うちは夏樹」
「私は美月です」
「わたくしは、美鈴と申します」
「俺は和人。んで、これが敦」
「な、なんで僕だけその扱い・・・」
「まぁ、ここに居るやつらは皆良いやつだから、多分」
「多分じゃないでしょー!皆良い人だよ!ユリちゃんが不安になるようなこと言わないー!」
「ふふふ、美月さん、大丈夫ですよ。皆さん良い人そうですし。それより、皆さんどうして助けに来てくれたんですか?船から降りた人達は、まだ海岸の所にいるものだと思ってましたけど」
「いや、実は僕達は、船でh」
敦が言いかけたところで、和人が脇腹をこづく。
??不思議そうにユリが和人と敦を見た。
「まぁまぁ、その、ユリさんも助かったことですし、それでどうします?俺達と行動一緒にしますか?それとも、大勢居る所へ戻られますか?」
「その迷惑じゃなければ、ご一緒させてください。これからどうして良いか分からないで居たので」
「分かりました。それでは、船着き場の様子を見てから、俺達の居住スペースへと案内します。」
「居住スペース??和人さん達は、着いたばかりではないのですか??」
この島に着いたばかりのユリが疑問に思うのも仕方がない。
「まぁまぁ、その辺は追々。とりあえず日が暮れるまで時間もなさそうなので、船着き場の様子を確認しに行きます」
和人達は船着き場へ向った。到着するとそこは、漁港とも言えない、人が降りれるだけの場所が確保された船着き場らしきものがある。そこからは、ヘリポート近く同様に砂浜が一面に広がっているようだ。多くの人は砂浜に座り込み茫然としている。恐らく、何をしてよいか分からず、これからどうするかも分からずに放心状態になっているのだろう。
中には、バカンスと勘違いしてるかの如く、砂に埋められてる人、何かお城とも言えぬ奇妙な建物を砂で作っている人もいる。
また、海の沖へと向ってバシャバシャと歩いて行く人も何人か見受けられた。恐らく自ら命を絶つつもりなのだろう。
ここに居る人数はざっと3000人程度だろうか、真夏の湘南くらいは人が居るように見える。ただ、その景観とは相反して、皆顔には生気がなくどんよりとした、躁鬱な空気が漂っている。
「よし、状況の確認は出来た。とりあえず、戻ろうか。」
和人に先導され、他の5人も森の中へと入り、来た道の目印を頼りに戻っていく。
しばらく進んだ先で、ユリが口を開く。
「あのー、和人さん達は、一体・・・」
「そうだな、えっと、これから話すことは他言無用でお願いしたいんだけど・・・大丈夫?」
「はい!もちろんです!他言といっても和人さん達以外と話すこともないでしょうし」
「わかった。まず、俺たちは、船でこの島に来たんじゃないんだよ」
「え?!」
びっくりしたユリは、木の根部分につまづいて転びそうになる。
「黒札でここに来た訳ではないってことですか?」
「いや、僕たちは黒札でここへ来たのは、ユリさんと一緒だよ」
「もちろん、うちも美月も美鈴も黒札でここへ来たよ」
「じゃあ、どうゆうことですか??」
「この島の船着き場とは反対側にヘリポートがあるんだけど、そこに俺たちは連れてこられたんだ。ユリさん達のように船で大勢運ばれてきた訳ではなく、俺たちは1台のヘリで一人一人運ばれてる。何故、そのようにされたのかはまだ分かってないんだ」
「ヘリですか・・・何だか良く分からないのですが、姥捨て山と言われたこの島に、1人一人搬送するのって、何かおかしいですよね?」
「その通り、だから俺達は、何が目的でそんなことをしたのかを調べる意味でもこの島を探索していたんだ。そして、今日、あの船着き場を見つけて、大勢の人が居るのも確認出来た」
「あー、だから、私があんなところに居たのに助けてもらえたんですね」
「そうだね、たまたま、船着き場の方向に向かっている途中で、悲鳴が聞こえたから、助けることが出来た。恐らく、ユリさんだけじゃなくて、そういうことはもっと多く怒っている可能性が高いと思う。」
・・・美月達は下を向いている。
「そうだ、そろそろ川があるから、水分補給をして帰ろう」
水の飲みやすそうな場所へ着くと、全員、顔を川の中に突っ込み、終始無言となる。
ぷはーっ
「やっぱここの水うまいわー。中毒性あるくらいうまいわー」
夏樹の言葉に皆頷く。
「ユリさん、もう少しで着きますので、水分補給だけはしといてくださいね!食料も魚介と木の実だけですが、一応ありますので」
「はい、ありがとうございます」
水分補給をした6人は、居住スペースのある洞穴へと向った。辺りはすっかり暗くなり始め、月と太陽が同じ空間に存在している。洞穴に着く頃には完全に太陽が隠れた頃だった。
「さて、それでは、皆さん、今回新しい仲間も迎えたということで、盛大に、いや、質素な食事会を始めようと思います」
今日の午前中に獲れた貝類は次々と、石釜の上に乗せられて行く。獲れた魚は、腹わたを取出し、天日干しで簡易的な干物を作ってあったので、それを焼いた。
ジュッ、ジュー、相変わらず香ばしい匂いが辺りに立ち込める。
「いやー、今回干物的なの作っておいたけど、結構いけるなこれ。これなら、ある程度日持ちするから、保存も効くしばっちりだね」
「和人様~、この干物、ものすごくおいしいです~」
美鈴が口に頬張りながら、満面の笑みを和人に向ける。あれ、デジャブ?確か美月も似たようなことを前にやってたようなー、と和人は思った。
「ユリさんも遠慮しないで食べてくださいね」
美月がユリに焼けた貝類を差し出す。
ハムッ、ハームッ。
ユリは美月から差し出されたものを、口いっぱいに頬張り食べ始めた。
「おいちい・・・」
おいちい?!と疑問に思う和人であったが、今回はスル―することにした。
緊張も解け始め、今日のことで相当疲れたのだろう。ユリは食べ終わると横になり、そのまま寝始めた。
「あらま、ユリさん寝てしまいましたね」
そう言いながら、美鈴がユリに膝枕をしてあげて、頭を撫でている。
「まぁ、あんなことにいきなりなったら、誰でも疲れるだろう。とりあえず今日はゆっくり休ませてあげよう」
「さて、今後どうするかだよね・・・問題は」
敦が会話を切り出す。
「うん、今日確認出来たのは、大量に人が送られてくる船があること。それらは黒札によるものであること。船が爆破された形跡が見られなかったことかな。そこで疑問に思うのは、船がそのまま本国へ帰ったとして、何人かはそのまま船に隠れて帰れたんじゃないだろうかということなんだけど・・・。船が行った後に、海に自ら身を投げ出してた人を見ると、それも出来なかったと判断するのが普通だよね・・・」
「その辺はユリさんに、明日詳しく聞いてみませんか?」
美鈴の提案に、皆頷く。
「それで、明日からのことなんだけど・・・、この洞穴を見守る人、食材を探す人、この島について調べる人で手分けしようと思ってる。」
「うちもそれは賛成!出来るなら、この島での生活をもっと快適にしたいー」
「まぁ、僕もそれは賛成かな。っでどう人を分ける?」
「んー、そこを悩んでる。今回の件を受けて、島には危ない人も居る可能性が高い。だから、最低でも俺と敦を分けないと何かあったときに女子だけだと危険すぎると思ってる。そうすると、2チームしか作れないんだよなー」
「じゃあ、とりあえず、食材を探すついでに島も調べ来るか、食材隊が戻ってきたら、見守り隊と交代して、見守り隊が調査隊として出発するってのはどう?」
「私もそれで良いと思います。6人を3チームだと二人で心細いなー」
「わかった。じゃあ、3人チームにしよう。チーム分けだけど・・・」
「うちは敦チーム!美月は和人チーム!これは決まってるでしょー!ねー?美月っ」
美月は照れているのか分からないが、下を向き恥ずかしがっている。夏樹が変な気を利かせたようだ。
「俺としては、美鈴には調査隊に必ず加わって欲しい。時間の目星が付けられると帰りが暗くなるという最悪の事態は避けられるから」
「わたくしは、皆さんの意見に従いますよ?私が必要とされているのであれば、どこへでも行きます!」
美鈴は目を輝かせている。自分に役割があることを非常に嬉しがっているようだ。
「そうなると、基本は美鈴は調査隊、ユリは食材隊で、役割が無い時は、見守り隊で良いかな?俺と美月、それから敦と夏樹ペアは後退で調査隊と食材隊を受け持つ」
「らじゃー!」
美月と夏樹は額に手を当て、敬礼した。
「とりあえず明日は、午前中に俺と美月とユリで食材調達へ向う。その間他3人は待機。午後は敦と夏樹、美鈴で調査に向ってもらうってことでOK?」
「うん、僕は構わないよ。じゃぁ、とりあえず明日に向けて今日は寝ようか。さすがに歩きっぱなしで疲れたよー」
「じゃぁ、みなさん!おやすみなさいー」
「おやすみー」
6人は、深い森の中、眠りについた。