なんどもなんどもなんども…
処女作ですので色々大目に見てね!
ところで、処女作って響き良いですよね。
作者は男なんですけど、こういう場合も処女作という言葉を使っていいのでしょうか。童貞作と記載した方がいいのかもしれませんね。しかし、書いてみて思ったんですが童貞作って響き悪いですね。なんか、いかにも童貞の妄想ですよみたいな…
えー。長くなりました。とりあえずご覧ください。
ピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッ
カチッ
10月9日
ーAM6:30ー
目覚ましの騒音に起こされ切れ切れの眠気の中目を覚ました西秋 俊和は寝ぼけ眼をこすりながら、制服へと着替えた。
「としかず〜ご飯よ」
ハイハイと素っ気ない返事を返しつつ1階に降りた。1階に降りるとご飯、鮭の塩焼き、卵を湯がいたものにしょうがで味付けしたスープが食卓に並んでいた。ふと違和感が頭をよぎったが、特に気にすることなく朝ごはんをたいらげた。
「行ってきまーす」
ーAM7:20ー
学校に着いた。下駄箱から上履きを取り出しいつものように自分のクラスに向かって足を進める。クラスに着くと挨拶が飛び交う。それに適当に返しつつ、自分の席に着いて1時間目の準備をしようとした。
「とーしーがーずー!」
が、物凄い剣幕で迫ってきたのは隣の席の深瀬 彩音だった。頭をフルに使ったが深瀬を怒らせる節が思い当たらなかった。
「どうした?」
と尋ねると肩口を軽く殴られてしまった。
「それはないだろ…」
とぼやいたのは前の席の古瀬だった。
そんなこと言われても全く思い当たる節がない。自分が登校することが深瀬を怒らせたのか?そんな理不尽な。と思考を巡らせてると前の黒板が目に付いた。
日直:西秋・深瀬
なるほど。
「なるほどじゃない!日直の仕事がどれだけ大変なのか知ってるのかなー俊和君?」
どうやら声に出ていたようだ。
いつも使わないような君付けな上に満面の笑みで言われたので、恐らくお怒りの証拠だろう。そんな日常的な会話?をしてると前のドアから先生が入ってきた。
「ほらお前らー、席に着けホームルーム始めるぞ」
ナイスタイミングだ先生、と感謝しながら席に着いた。授業の内容をボーッと聞き流してたらあっという間に4時間目になっていたが、前の悠木が先生に当てられたのきっかけに意識が戻ってきた。
「じゃあ古瀬、朝ごはんは何を食べた?」
黒板を見るとどうやら記憶についての授業のようだった。
「ご飯と焼き魚、あと中華スープです」
中華スープ?よくわからん献立にふと疑問を感じる。
「では、昨日の朝ごはんはなんだ?言ってみろ」
「え~っと、覚えてないです」
古瀬はキョトンとした顔をし、本気で覚えていないようだ。
「このようにどうでもいい記憶というものはすぐに忘れてしまう」
先生は自慢げに語っているが興味を持つような話題ではないので、授業をBGMにしつつ昼休みの楽しみである弁当の中身を夢想した。罪悪感?知らない子ですねぇ。
ー昼休みー
PM12:30
昼休みだーと喜ぶ間も無く深瀬に捕まってしまった。何の用かと聞いてみると、日直の仕事をやったお詫びに幻の焼きそばパンを買って来いとのことだ。まあ自分の仕事を代わってもらったのだし焼きそばパンくらいならしょうがない、と自分を納得させつつ食堂に降りた。
しかし、そんな俺の考えは無残にも散ることとなった。
『幻の焼きそばパンは俺のもんだ!』
『私のものよ!』
焼きそばパンをめぐる戦いはあまりにも凄惨で食堂の周りでは傷つき倒れている人が幾人もいた。比較的ガタイのいい野球部、相撲部、柔道部の部員でさえ、その壁とも言っていい人の波を正面突破することはできておらず、とても悔しそうな顔をしている。焼きそばパン一個とか楽勝だろwと安請け合いした自分に今更ながらに苛立つが自分では焼きそばパンを買えるビジョンが全く浮かばず、どうしたものかと考えていると一つの集団が近づいてくるのに気付いた。
「俺達は数々の試合をどうやって勝ってきた⁉︎」
「日々の弛まぬ鍛錬です!」
特徴的な演説をしているのでラグビー部のようだ。
「違う!では他の部はどうだ!奴らは目の前の宝に目が眩み団結というものを忘れてる!これではただの畜生ではないかっ!」
「サーイエッサー!」
「俺達があんな畜生どもと同じように諦めて良いのかっ!」
「サーノーサーッ!」
「俺たちの武器はなんだ!」
「チームワークと怯まぬ心です!」
「そうだ!俺たちなら見事宝を手に入れることができる!」
「サーイエッサー!」
「総員!一列縦隊!」
ラグビー部が集団に対して1列に並び始めた。どうやら一点突破をするつもりのようだ。
「いくぞおおおぉぉぉぉ!」
『うおおおおぉぉぉぉっ!!』
ラグビー部がタックルしたことによりできた細い道を俺は見逃さなかった。ありがとうラグビー部。だが焼きそばパンは貰っていく。どうやら幻の焼きそばパンの魔力はもはや軽く引くレベルのようだ。幻の焼きそばパンの凄さを実感してしまった。俺は即座にカウンターに滑り込み100円を置き残り少ない幻の焼きそばパンを手に入れ、そそくさとその場を後にした。
「なあ深瀬、スペインにはトマトを投げつける祭りがあるのを知っているか?」
「へ?急にどうしたの?」
教室にいた深瀬にこんな質問をしてみるが、俺が焼きそばパンを無事に買えたことに驚きを隠せないでいる。
「その祭りの由来はいろいろあるそうだ、一説には町の野菜売り場での喧嘩でトマトを投げつけたのが起源とも言われている」
「へぇ、概要は知ってたけどその歴史についてはあまり知らないわね」
「俺もとても参加してみたい、どうだろうか?」
「え?いいんじゃない?としかずの勝手でしょう?」
「それではここに漢西秋 春のパン祭り☆の開催を宣言する」
「今は春じゃ・・・」
パンを深瀬の顔にシュゥゥゥッ!!超!エキサイティンッ!
「へなっぷ!」バシィッ
目論見通り深瀬の顔は焼きそばが飛び散って大層酷いものと化していた。
「さらばだ明智君!また会おう!ハハハハノ\ノ\ノ\!」
この後めちゃくちゃシバかれた。
そんなこんなで学校が終わった。こんな日常がいつまでも続くとまだこの時の俺は思っていた…
ーP.M.6:00ー
「ただいまー」
「おかえりなさい」
何時ものように制服から着替えると何故か酷いめまいと眠気に襲われた。ゲームをするのは少し仮眠を取ってからでいいだろうと思いベッドに横になった。
「みんな!!消えないでくれ…頼むから…」
ピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッ
カチッ
ーA.M.6:30ー
時計を見ると朝だった。どうやら仮眠のつもりが本格的に寝てしまったらしい。
酷い悪夢を見た。内容は思い出せないがとにかく酷い夢だった。
悪夢のせいか目は完全に覚めていて意識がはっきりとしていたが、言いようのないわだかまりが思考にへばりついている気がした。
もしや何者かが俺の思考に心理介入しているのではないか?
そんな中二病真っ盛りなことを考えつつ朝の支度を終えると
「としかず〜ご飯よ」
ハイハイといつものように返事をしつつ1階に降りた。降りると昨日と同じ朝食が食卓に並んでいた。
「ん?母さん昨日と同じ朝食じゃん」
おかしい、ウチは朝食が米だった時の次の日はパンというようにローテーションを3年近く続けてたはずだ。
なのに食卓に並んでいるのは米粉パンやライスバーガーなどではなく純然たる米である。
米って言ったら米なのだ。
「何言ってるの?昨日はパンだったじゃない。俊和ったらもうボケが始まったのかしら」
いや昨日の朝食と確かに同じはずだ。母さんがボケているのだと自己解釈した。
「母さんもう歳だもんな」
母はアラフォーである。
「俊和?朝食下げていいかしら?」
笑顔が怖かった。母さんの重圧に耐えながら飯を完食した。
「ごちそうさま」
鞄を手に取りいつものようにドアノブに手をかけた。
「行ってきまーす」
ーA.M.7:20ー
学校に着いた。いつもと変わらぬごく一般な校内風景だが、俊和は違和感を感じていた。違和感は気のせいだろうと自己解決し教室の扉を開ける。
「とーしーかーずー!」
隣の席の深瀬が物凄い剣幕で迫ってきた。違和感が少しづつ確信に変わる。冷や汗が止まらない。黒板にはこう書いてあった。
日直:西秋・深瀬
違和感が確信に変わった瞬間だった。同じ日を繰り返してる…これは夢だと思い頬をつねる、痛い。頬叩く、痛い。腕をつねる、痛い。顔を殴る、痛い。
「何してるの俊和⁉︎ついに気でも触れた!!?」
何発か自分の顔を殴った後に深瀬が止めようとしていた。けれど止められなかった、この現実なのか分からない現状を受け入れられなかった。何度もなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども自分の顔を殴った。
「やめて!」
深瀬の甲高い悲鳴が響くと同時に、自分の腕を古瀬に掴まれてしまった。腕を掴んでいる古瀬の顔はいつもの緩み切った顔ではなく真面目なものになっていた。
誰も言葉を発さない空間がとても長く感じられる。
だが古来より静寂とは破られる為にあるのだ。
「ほらお前らー、席に着けホームルーム始めるぞ」
ーA.M.11:00ー
自分の部屋に戻るとどっと疲れがきた。ベッドに横になりこれは現実ではなく夢だと思って寝てしまえば楽だろうなと思った。眠気が襲ってくる。そんな眠気も知らずにベートーベン第五楽章「運命」がバイブ音とと共に流れた。深瀬か古瀬あたりが心配して電話をかけてくれたのだろうと思い電話に出た。
「はい、申し訳ないが連絡事項は」
「今起こっていることは決して夢ではない現実だ」
電話から低い男の声が聞こえた。
「また今度に・・・?あんた誰だ?イタ電なら死んでくれ、今気分が悪いんだ」
俺はイタ電だろうと思い電話を切ろうとした。
「同じ日を繰り返しているんだろ?」
「…」
「時間が無い、沈黙は了承と受け取るぞ。まずこの現象はwithoutと勝手に俺が呼んでいる」
何も言ってないのに男が勝手に話し始めた。
「without?」
「ああそうだ。時間がない手短に話そう」
男はwithoutがどういう現象なのかについて話し始めた。男が言うにはwithoutとはこの世界から何かがなくなった時に起こるらしい。そして俺だけがこの現象を止めることができるらしい。このなくなった何かを第三者、まあ俺以外の誰かに再認識させないとこの現象は止まらないらしい。再認識とは赤ちゃんに新しいものを教えるのと同じ事らしい。この同じ日にループするのは3回までで、それまでに再認識させなければその無くなった何かは一生戻す事はできなくなりループは終わるらしい。以上が男の言ってた事だ。
「って事は俺はあと1回10月9日にループするって事か?」
「ああそういうことだ。早く無くなったものを見つけて第三者に再認識させろ。さもなくば今無くなってる何かは一生戻ってこない」
「まだ信用ならねえが、今はお前を信じるしかないようだ」
「今はそれでいい、健闘を祈るぞ西秋俊和」
「ちょっ、待てっ『プッープッープッー』」
一方的に電話が切られた。気になるところが多々あるが今はそれどころではない。まずは無くなったものを探さなくちゃな。一応無くなったものの見当はついている。多分あれだろうと思ったところで深い眠気に襲われ意識を手放した。…………………………………………………
ピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッ
カチッ
眼が覚めると制服で寝転んだはずの俺の服装がパジャマになってることに気づいた。急いで携帯のカレンダーを確認すると
〜10月9日〜
同じ日を繰り返していた。
「昨日のは夢じゃなかったのか…」
落ち込んでいる暇はない。今日でこのwithoutを終わらせてやる!
「としかず〜ご飯よー」
昨日と全く同じセリフに嫌気がさしたが朝の準備を整え下に降りた。食卓には昨日?と同じメニューが並んでいた。ご飯、鮭の塩焼き、卵を湯がいたものにしょうがで味付けしたスープだ。ここで確かめたいものが俊和にはあった。
「母さん、いつものお味噌汁は?」
「お味噌汁?いつもこのスープでしょうが」
笑みがこぼれた。やっぱりこれだったのか。朝食に何かが足りないと思ってたんだよ。これを再認識させるにはどうすればいいんだ?と考えたがゆっくりしている暇はなかった。今回こそは成功させなけらばならない。
どうする?一からレシピを教えてみるか?いや、そんな時間はない。だったら...
「ああっ!手が滑って棚に奇麗に置いてあった味噌が俺の卵スープの中にっ!」
ふっ、完璧だ。偶然を装って味噌汁を完成させてしまった。。
それでは頂こうか。
俺はゆっくりと自作味噌汁に口をつける。
おいし...くない。
一体どういうことだ。俺は今完璧な味噌汁を作ったはずじゃ...
なにが違う..脳内クックパッドで必死に検索をかける
そして閃きが俺の脳裏をよぎる。
そ、そうか!これは本当の味噌汁ではない!出汁が足りないただのみそ入りスープ!
「母さん!出汁をくれ!」
凄い剣幕で迫る俺に母さんはたじろぎながら答える
「だ、出汁?もう切れちゃったわよ。何に使うの?」
ああ、クソッ!時間がないってのに
俺は母の言葉には答えず、急いで出かける準備をする。
思えばなんで味噌を入れるのに偶然を装う必要があったんだろうか。
いや、今はそんなバカなこと考えてる暇はない。
「いってきまーす」
支度を終えた俺は簡易的なあいさつをする。
それを聞いた母が少しあわてた様子で
「あんた、朝ご飯は!?」
そんなもんくってられるか!
「そんなもんくってられるか!」
やべ、声に出てた。
「そんなもんって何よ!味噌入れたのはあんたじゃない!もう作ってあげないからね!」
バレてたのかよ...なおさらあの行動は何のためだったのか不思議だ。
それに、作ってもらえないのはこまる。
俺達男子高校生に料理スキルがあるわけねえからな。
今後のご飯のことを懸念しつつも学校に到着した。
3回目の深瀬のお叱りを経て4時間目の記憶の授業になった。ここで俺が味噌汁なるものを食べたと言えば説明の機会が与えられるはずだ。さあ来い!!俺を当てろ!願いは虚しく前の席の古瀬が当てられた。まあそれもそのはず同じ10月9日をループしているからだ。
4時間目の記憶の授業、昼休み、5時間目、6時間目とどんどん時間が過ぎていった。時間が過ぎていくたびに焦りの色は強くなっていった。
〜P.M.6:00〜
「ただいま」
「おかえりなさい」
こんなごく一般の会話さえも苦痛に感じられた。ループしているという自覚が芽生えており同じこんなごく普通、毎日交わすような言葉でさえ偽物のように聞こえてきた。
あの謎の男の言葉も嘘ではないのか?
俊和は段々と自暴自棄に陥ってきた。そもそもこのループ自体が悪夢。そう考えることによって今起きていることに対して段々と目を背けていった。
するとまた同じ時間にだるさと眠気に襲われた。
もうこのまま寝れば楽になれる。このループから抜け出せるぞ、と囁く悪魔と味噌汁がこの世からなくなっていいの⁉︎最後まで後悔しないで頑張るべきよ、と囁く天使が悪魔といた。
俊和は考えれば考える程マイナス方面の思考が強くなった。
精神面的にも限界が来ていた俊和は明日の事は明日の自分に任せ、眠気に逆らわないようにベッドに身を委ねた…………………………………………………
ピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッピピピッ
カチッ
〜A.M.6:30〜
俊和は眠気を押し切りカレンダーを確認した。10月10日、俊和はループから抜け出せた安心感と味噌汁はなくなってしまったのか?という不安感という2つの感情が騎馬戦の赤と白のようにもみくちゃになっていた。事実を確かめるため急いで階段を降りた。
「俊和?今日は早いのね」
俊和の頭の中には味噌汁の確認ということでいっぱいで母さんの声は届かなかった。そーっとテーブルを確認すると…………あった!味噌汁だ!ホッとして涙が出てきた。緊張の糸が切れたらしい。3回のループで不安と焦りでいっぱいだったのだから当然であろう。
「なんで泣いてるのよ。俊和ったら」
母さんは優しく微笑んでいた。泣きながらお味噌汁をすすった。懐かしい味だ?味噌ラーメンのような味がする。
「母さんこの味噌汁だしとってないでしょ」
「味噌汁?味噌入りスープの間違えでしょ。もう俊和ったら〜」
どういうことだ…どうなっている⁉︎夢じゃなかったのか…そうだ!着信履歴を確認すれば、俊和は急いで携帯を取り出し確認した。
着信履歴
A.M.11:00 公衆電話
えーゴホンこの度読んで頂きありがとうございます。次の話も読んでくれたらありがたいです。
注意点としては、この小説は複数人でリレー形式で書いております。極力、矛盾やキャラぶれなどはしないように尽力しますが、小説の書き方などにはどうしても個人差が出る可能性がありますのでご理解ください。作者一同としては、それもこの小説の醍醐味として楽しんでいただければなと思っております。
因みに、作者たちの中にはロリコン疑惑のあるやつがいたり、急にニュージーランドに行ったやつがいたりと、個性的な面々が揃っておりますので、その辺もご理解ください…
作:チビチビ