象徴詩『統合室』
常態認識全域は反目することを目的とし
貞潔に仕組まれた嫉視は濃黄色
掌に沈澱する湖の底に
血の契約
セレン木犀の馨る肺の匂い
直観妄想の熟れたケロイド結実が
大きくひとつ生る
千指の生えた無限の裂け目から
アストラル体の金色の頭が 髪が見えている
空樽の鯡実の皮を切り
開くならば
星星の流れと共に
ずるりと落ちて
蝙蝠傘と死亡少女の
合の子が吐く息は硝酸の霧
蔦葛の這うステンレスの古城
薄く紫に煙る
深く服従の視界は爛れ溶け
高次元庭園の中央を
下層ラインが流れている
捲り上げれば
清貧は疎ましくなり
指輪は千指に千の耀きを放つ
千の霊を強く吹き
千の耀きを消す
汚れないように
逃げないように
足首を落とし
抽匣の奥へ仕舞う