九話
僕は、卓上のパソコンの電源をつけた。有名企業のロゴが浮かび上がるのを見ながら、とりあえずこれから続きを書く物語を考えてみた。
今、僕が部誌に投稿するために考えている短編は「エンドレス」。タイトルから察していただけると思うが、これはまさしく「終わらない物語」を短編に仕立て上げたものだ。当然、オチが初めに戻るような話じゃなければならないのだが、中々思いつかない。だから、全然かけていない。このままでは、締め切りに間に合わない。
ため息をついて、僕はインターネットからネタ探しを始めた。
リ~ンゴ~ン。リ~ンゴ~ン。
鐘の音に驚き、僕は部室の時計を見上げた。もうこんな時間か。
「おい、みんな。もう部活動は終わりにするぞ。」
「え~。」
「まだ仕上がってないのに…。」
「…。」
それぞれがそれぞれの反応をしながら、荷物を片付け始めた。後ろの方で作業をしているコウの所へ行くと、丁度シャットダウンを終えたところのようだ。
「コウ、作品の進み具合はどうだ?」
「まあまあかな。」
「そうか…。」
コウが羨ましい。コウは小研部の部長とだけあって、誰もが感嘆するような素晴らしい作品を生み出す。彼のデビュー作「シロガネ・クガネ・コガネ」は、部誌の発行部数を8倍に増やすきっかけとなったし、「でりーとあんでりーと」は”歴代の芥川賞受賞作品よりも素晴らしい(当時の部長)”とまでさえ言われた。まさに、小研部の期待の星なのだ。
「そっちこそどうなんだよ。」
ふと、そういわれてハッとなった。
「…全然だめだ。オチが思いつかない。」
「頑張れよ。お前の作品は毎回いい作品ばかりなんだから。」
「…ありがと。」
まったく…。お前は本当に良い奴だよな。友達になれてホントよかったよ。
心の中で唯一の親友にそう呟いてから、僕は荷物をまとめて帰路に着いた。
かなり時間がたってしまいましたが、何とか書けました。楽しみにしていた皆様、本当にご迷惑をお掛けしました。これからも続けていきますので、よろしくお願いします。