初話
僕は今回、初めて小説を書くものです。時折拙い表現や、誤字脱字があったりと、初心者が書く小説なりの間違いが見受けられることが多いと思いますが、気に入っていただけたら幸いです。
僕の初チャレンジを、できれば最後まで見届けてください。
※この物語はフィクションです。事実に反することがあるので、注意してお読みください。
僕がこの日記を物語として書き起こそうと思ったのは、今までの体験がとても現実の物とは思えないからだ。僕は今までとある文房具屋のアルバイトとして働いていた。先週の水曜日には辞表を提出した。しかし、それは「人間関係に悩んだから」とか、「給料に不満を持ったから」とか、そんな生ぬるい理由ではない。もっともっと有り得ない、大正時代だか明治時代だかに関係することだ。
できれば、最後まで聞いてほしい―――。
それは去年の夏の出来事だった。僕は大学生、近所の大学に通学しているのだが、何しろ通学路がとても暑い。最近はこんな田舎の大学でもアスファルトが敷き詰められてきたから、きっと熱が籠って籠ってしょうがないのだろう。
そんなことを思いながら、MTBで漕いでいると、ふと、赤色のトタンで出来た看板が目に入った。
「坂田文紡具 ~文紡具、売ります買います~」
一体どういうことなのだろう。僕は首を傾げた。この看板はわざとにこんな字で看板を出しているのだろうか。
「文紡具」と書いてあるが、「文房具」が正しい。こんな看板は納入してから一体どれほどの人々の目に晒されてきたのだろうか。こんなに簡単な間違いに、店主は気が付かなかったのだろうか。
許せない。
僕は中学生の頃からずっと国語が得意だった。勿論高校では文系に進んだ。いつも成績優秀で、教師たちにも可愛がられていた。今は地元の有名私立大に通っているのだが、大学でも「すげえな鹿峰は」ともてはやされている。
でも、何かが足りない。おかしい。まるで完璧な文章のはずが、実は誤字脱字しているかのように。今でももやもやしている。
なのにこの看板は何なんだ。いらだちを抑えながら、すりガラスで白くて全く中が見えない引き戸を、思いっきり開けた。
「いらっしゃいませ~。坂田文紡具で~す。」
元気でしわがれた声が店内に響く。僕は声のする方向に振り向いた。