第43話 ロボットの女王様
※パトラー視点です。
【ポート本部 中部エリア】
ホーガム将軍、ジェルクス将軍、バシメア将軍、クリスト将軍の軍が中部エリアに戻ってくると、戦況は一気に好転した。
200万以上の大軍相手に圧倒的に劣勢だった私たち政府軍は一気に逆転を始めた。そうなると、もはや勝ち目がないと悟ったビリオンの幹部や連合政府に将校たちは一斉に降伏を始めた。
残るのは彼らの傘下にないバトル=アレスやバトル=アテナなどのロボット指揮官率いるロボット軍団だけだった。
残党は4人の将軍率いる政府軍が。私はコメットを捕まえる為にポート本部を走っていた。ポート本部の最上階にある最高司令室。その扉が見えてきた。守る者は誰もいない。私はその扉を開け、中に入る。
[コメット閣下、敵将パトラー=オイジュスです]
「クソ! 兵を回せ! バカラーを殺せ!」
[兵がいません]
コメットは焦りに満ちた表情で隣にいた桜色のバトル=ニーケに怒鳴る。私はサブマシンガンを両手に部屋を進んでいく。
「く、来るんじゃない! 下がりなさい!」
「あなたの負けだ。ビリオン総帥コメット」
私は彼女にサブマシンガンの銃口を向ける。
「フ、フフッ! 私がお前のような小娘に降伏? 笑わせないでッ!」
彼女は豪華な模様が描かれたグリップを握りしめ、白銀の剣を引き抜く。
あの人、戦えるのか? 王女様ってイメージだけど。よく見れば、隣のバトル=ニーケも両手に一般的なハンドガンの強化版であるリボルバーを握っていた。
「あなたを人質に政府軍を立ち退かせてやる!」
「…………」
私は素早く魔法発生装置で、物理魔法耐性を強化するスーパー・シールドを張ると、両手にサブマシンガンを再び持つ。
コメットは豪華な装飾が施されたドレスのような服を脱ぎ捨てる。現れたのは黄金色をした装甲服だった。ビリオンの総帥は豪華なものが好きらしい(3ヶ月前、ポート防衛師団本部に来たときは普通の服だったのに)。
「攻撃せよ!」
[イエッサー]
バトル=ニーケは頷くとリボルバーを両手に発砲しながら段差がほとんどない段を降りてくる。強力なマグナム弾が身体に当たる。少し上のシールドを張ってるのに、痛みが走る。
私はバトル=ニーケに向けて発砲する。下位機種のバトル=アレスなら破壊出来たが、かなり頑丈らしく、なかなか倒せない。
「我が部下よ、出撃命令をくだす!」
コメットがそう叫ぶと、電撃音と共にバトル=アルファが4体、バトル=ベータが2体現れる。召喚魔法か。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
彼らは出てくると、即座に攻撃を始める。私は大きくジャンプして、銃弾を避けつつ、空中で一回転しながら、サブマシンガンで銃弾の雨を降らせる。それはバトル=アルファ2体とバトル=ベータ2体を破壊する。
[攻撃セヨ!]
「邪魔だ!」
着地と共に1体のバトル=アルファを踏み倒す。間髪入れずに近くにいたバトル=アルファを蹴り壊す。援軍は一瞬にして壊滅した。
[死ねっ]
バトル=ニーケが腕を振る。衝撃弾が飛んでくる。戦術ロボットのクセに魔法まで使うのか!? 衝撃弾に吹き飛ばされながらも、私はすぐに立ち上がる。
一方、増援を失ったコメットは再び召喚魔法で味方を呼び出す。次に現れたのはバトル=アルファ3体とバトル=ベータ2体、バトル=ガンマ1体だった。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
ロボットの女王様に呼び出された彼らは攻撃を始める。私はバトル=ニーケに向かってハンドボムを投げる。爆発。バトル=ニーケが倒れる。
私はハンドボムを投げてからすぐに増援を相手にしていた。両手に握ったサブマシンガンでバトル=アルファとバトル=ベータを即座に撃ち倒す。
[攻撃セヨ!]
グレネードランチャーの炸裂弾が飛んでくる。私のすぐ側に着弾すると、爆発する。やや後ろに飛ばされながらも、なんとか踏みとどまり、傘状の胴体から突き出たその砲口を目がけて発砲する。内部の弾に当たり、バトル=ガンマは吹き飛ぶ。
[喰らえっ]
立ち上ったバトル=ニーケは魔法を次々と繰り出す。私の身体を一筋の雷が貫く。弱い痺れと痛みが身体を走る。
私はバトル=ニーケに向かって走る。走りながら名剣デュランダルを引き抜く。バトル=ニーケは電撃弾、火炎弾、水弾を飛ばす。水弾を想いっきり身体に受けるが、火炎弾と電撃弾は逸れて私の後ろへと飛んで行った。
[消えろ]
バトル=ニーケがリボルバーを両手に握り、連続して発砲する。マグナム弾が身体に当たり、痛みが走る。それでも、彼に近づくと、片手を斬り落とす。バトル=ニーケはバランスを崩して倒れる。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
バトル=アルファ4体とバトル=ガンマ2体が近づいてくる。私は彼らの前の方にハンドボムを投げる。彼らがその真上を通った時、それは爆発した。バトル=ガンマの誘爆を招き、増援は壊滅した。
[破壊スル]
低い男性の声。バトル=ニーケの声だ。それが耳に入った瞬間、背中に大きな痛みが走る。すぐ近くで撃たれた! 私はその場に膝を着いて倒れそうになるが、素早く振り返り、リボルバーを握った左手を撃つ。左手は壊れ、リボルバーは床に落ちる。
「クッ、痛い……!」
私は痛みに堪えてバトル=ニーケの顔を蹴り、彼を後ろに倒す。私は彼が立ち上がる前に彼にまたがると、その顔を目がけて至近距離でサブマシンガンを連射した。
何十発も頭部に銃弾を喰らったバトル=ニーケは遂に動かなくなった。頭部からは炎と煙が上がり、火花を散らしていた。
「なかなかやるじゃない」
コメットが言う。彼女の側には、バトル=アルファ4体と、黒色のより精密に出来た人間型ロボット――バトル=メシェディが2体が立っていた。また呼びだしたらしい。さすが、ロボットの女王様だ。
私はサブマシンガンを握り、彼女の正面に立ちはだかった。




