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黒い夢と白い夢Ⅱ ――動乱の人心――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第9章 動揺の人心 ――ポート本部――
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第42話 コメットの敗因

※前半はクリスト視点です。

※後半はコメット視点です。

 【ポート本部 中部エリア】


 遂にやってしまったゼ。俺とバシメアは“ここ”を制圧してしまった。コメットは頭が悪すぎる。自分がいる中部エリアはしっかりと守っていた。だが、重要なエリアである南部エリア・西部エリア・北部エリアにはほとんど兵を回さなかった。それが為に、その3エリアは陥落した。


「よぉし、よく狙えよ」

「分かってる」


 俺は両手で2本の棒状をした黒いハンドルを握り、ゆっくりと左右に動かす。それに連動して“アレ”も動く。

 画面に映るのは夜空に浮かぶ軍艦の艦隊。政府軍の中型飛空艇はそこから次々と逃げ出していく。軍艦の艦隊は動かない。どうにも、そこに留まって退路を断つことが任務らしい。


「ロックオンしたゼ」

「よぉし……。撃て、ビリオンの新型兵器“オメガ級プラズマ=キャノン”だ!」


 俺は赤いスイッチをぐっと押す。ポート山中腹に造られた大きな砲身から光り輝くプラズマ=キャノンが飛ぶ。薄い膜に包まれたそれが飛ぶ先にあるのは50隻以上の数を誇る軍艦の艦隊!

 その場に留まっていた軍艦の艦隊はたちまち急速に巨大化したプラズマ=キャノンに包まれる。爆発。耐久力のなかった軍艦の艦隊が吹き飛ばされ、空中を舞う。


「よしッ!」


 15隻以上の軍艦の艦隊は吹き飛ばされ、ある艦は山に突っ込み、またある艦は他の軍艦とぶつかり墜落していく。僅かに残った軍艦も政府軍の艦隊にによる集中砲火を浴び、1隻残らず破壊された。


「2発目!」

「すでにロックオン済みだゼッ!」


 再度の砲撃。プラズマ=キャノンは混乱する軍艦の艦隊を一気に包んでいく。今度は20隻以上が巻き込まれた。

 プラズマ=キャノンは目が眩むほどの光を放ちながら爆発する。ゴミのごとく軍艦が空を舞い、ほとんどがバランスを失って墜落していく。生き残りは政府軍の艦隊が撃ち壊していく。


「3発目!」


 俺は標準を合わせると、3発目のプラズマ=キャノンを撃つ。見れば、ようやくこの砲台が乗っ取られた事に気がついたアヴァナプタ旗艦とプロパネ旗艦。2隻の司令艦は慌てて向きを変え、傘下の軍艦をほったらかしにして逃げ出した。

 プラズマ=キャノンはまた20隻近い軍艦の艦隊を巻き込む。光り輝く爆発と共に多くの軍艦が投げ飛ばされた。


「はっはっは! さすがビリオン! 凄い兵器だな!」

「確かに、な。でも、ロックオンの腕は俺の方が遥かに上だったようだな」


 最初、ビリオンのロボットがこれを使った時、落とせた中型飛空艇は6隻。俺は初弾でも15隻は落とした。倍以上の数だ。

 軍艦の艦隊はすでに壊滅状態だった。50隻以上の軍艦が墜落。残ったのは3隻の軍艦と2隻の司令艦。慌てて逃げて行った。


「よし、これで空中に敵はいなくなった。中部エリアの戦いに戻るゼ」

「ああ、どれだけの軍用兵器を倒せるか、競争だな!」


 いたずらっぽく笑うバシメア。俺は力強く頷くと、大斧を持って制御室を後にした。俺とバシメア。さて、どっちが多くの軍用兵器を倒せるかな!?



◆◇◆



 【ポート本部 中部エリア 最高司令室】


 私はぼう然と画面を見ていた。

 南部エリアは壊滅。保管してあった860万の兵をことごとく失った。派遣した50万の軍勢も壊滅。准将2名をも失った。

 西部エリアは制圧された。ホーガムは本隊と合流後、30万の軍勢を叩き潰し、今や中部エリアに戻り、戦いを繰り広げている。

 北部エリアも制圧された。ジェルクスのその部隊によって溜め込んだ軍用物資を全て奪われたも同然。そこの防衛に回していた60万の軍勢も壊滅した。

 空中では私たちが開発したオメガ級プラズマ=キャノンによって軍艦52隻が落とされた。アヴァナプタとプロパネ、コマンダー・アレイシアは私を捨てて逃げ出した。


「な、なんだこれ……。なんだこれ!?」


 私は側にいた白色に薄らとピンク色をした戦術ロボットのバトル=ニーケに怒鳴る。人間型ロボットの彼は落ち着いた口調で分かりきった事を丁寧に説明する。


「こ、こうなったら……!」


 私はまだ制圧されていない東部エリアに連絡を入れる。東部エリアを守るのは頼りない人間。コア・シップ10隻に詰め込んである軍用兵器を全て中部エリアに回せばまだ勝てる! あそこには100万もの機能停止状態にある軍用兵器がある!


「イレイヴ少将!」

[おっ、これはコメット閣下]

「すぐに全ての軍用兵器を稼動させ、全軍を中部エリアに回しなさい!」

[それは無理ですな]


 は?


[回したらあなたはわたしを褒めてくださいます? なにか褒賞を頂けます? お礼の一言もあります?]

「ふざけるな! お前たち部下は上の人間の命令を聞いていればいいのよ! ぐだぐだ抜かす前に命令を聞きなさい!」


 それが部下じゃないの!?


[あなたの敗因を教えて差し上げます。あなたは有能な部下を一度も褒めた事がありません。一度も労いの言葉をかけた事がありません]

「そんなことは私には関係ない! 早く部隊を回しなさい!」


 私はワケの分からない事を抜かす部下に対し、イライラしながら怒鳴る。なんで、私のいうことを聞かない!? 私はビリオンの総帥にして連合政府リーダーの1人なのよ!?


[プロヴィテンス中将やフリゲート中将もあなたのことを見限りました。ここの戦いのことは耳にしているでしょうが援軍には来ません。まだ間に合いますが、来ることはないでしょう]

「あいつらは有能じゃない! グランドシティを落とせなかったじゃないか!」


 彼らはグランドシティでバシメアとクリストにやられ、尻尾巻いて逃げた。一部の部下は撤退ぶりが見ことだったとか言ってるけど、ワケが分からない。負けは負けだ。


[アヴァナプタ将軍やプロパネ将軍、コマンダー・アレイシアが簡単に逃げ出したのはあなた様に愛想を尽かしていたからです]

「うるさい!」


 3人が逃げ出したのは我が身が可愛からだ!


[2人に苛酷なマンドラゴラ峡谷の命令を下し、成功しても労わる言葉1つかけなかった。コマンダー・アレイシアの姉妹ともいえるクローン虐殺をあなたはやらせた。そんなあなたに誰が戦うんですか?]

「クッ……!」

[軍事力では政府軍の10倍以上あったのに、今日負けたのはこれまでの積み重ねです。さようなら]


 そう言うと彼は通信を切った。画面に目移せば、球体から左右に翼を伸ばしたコア・シップ10隻が空中に浮かんでいた。それらはポート本部から去って行く。この私を捨てて……。

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