第41話 ホーガムの奮戦
※前半はバシメア視点です。
※後半はホーガム視点です。
【ポート本部 中部エリア】
俺とクリストは50万のバトル=アルファ軍団を壊滅させ、ようやく激戦が続く中部エリアへと戻ってきた。戦況は中部エリアでも政府軍が優勢だった。
「どんな状況だ?」
「はっ。ホーガム将軍率いる部隊が西部エリアまで侵攻しました」
ポート本部の西部エリアは確か巨大な軍用兵器量産工場だ。まずは軍用兵器の供給源をストップさせに行ったか。
ポート本部は巨大な施設だった。地下施設は東西南北に及ぶ。南部エリアは全域が軍用兵器の格納庫。西部エリアは軍用兵器量産工場だった。
「戦況は優勢。あと1時間もすれば、西部エリアも制圧できるものと思われます」
「そうか。それはよかった。北部エリアの軍需物資保管庫はどうなった?」
ポート本部の北部エリアは軍需物資が山のごとく積まれている。武器・弾薬・軍資金はもちろん、軍用兵器・軍艦などを量産する為の資材なども保管されている。
「そちらにはジェルクス将軍が向かいました。こちらもあと少しで制圧が出来るそうです」
「そうか。南部エリアは完全に制圧した。両将軍にそう伝えよ」
「イエッサー!」
さて、と。“アレ”はどこに造られていたかな。“アレ”を奪い取れば、上空の軍艦の艦隊を破壊し尽くせる。
俺は部下が持っていたコンピューターでポート本部の地図を表示させる。ああ、ここか。ここからずいぶんと近い。
「クリスト、“アレ”の場所は分かった。行くぞ」
「そうか。早いな」
「ここからすぐ近くだ。着いて来い」
俺は再びスピーダー・バイクにまたがると、クリストと共に軍勢を率いてポート本部内を飛ぶ。途中、何体かのバトル=アルファやバトル=ベータを轢き倒す。
しばらく飛んでいると、ようやく目的の地点に到着した。そこは無数のバトル=ベータやバトル=ガンマが守っていた。
「今度は鉄壁の守りだな」
「奪い取れば、それだけ戦力になるゼ」
「分っとるわ。行くぞ!」
俺とクリストは先陣を切って突っ込む。大量のバトル=ベータやバトル=ガンマが一気に襲い掛かってきた。
◆◇◆
【ポート本部 西部エリア】
わたしは銃弾が無数に詰まった長方形をした鉄のバックを背負いガトリングガンを両手で持ち、何千という敵兵に向けて撃つ。
ガトリングガンは大砲のような銃身を持つ武器で、先端には8つの銃口がある。そこがぐるぐると回転し、凄まじい速度で勢いよく銃弾を飛ばす。
「ホーガム将軍、敵は多数です! 30万近い軍勢がここに配備されています! それに、次々と敵の増援が量産されています!」
「だから破壊するのだ」
わたしはガトリングガンで徐々に近づいてくる大軍を一気に駆逐していく。作戦は単純。わたしと我が軍の軍用兵器、僅かな部下だけでここに配備された30万の軍勢を引き受ける。その隙に、複数に別れた本隊が別ルートから工場の司令室を目指す。工場の供給をストップさせるつもりだった。
「ぐぇッ!」
「ぐぁぁッ!」
30万近い……いや、それ以上の軍勢を僅かな兵で相手にするのである。圧倒的に不利だ。それでも、やらなくてはならない。この作戦でしか、工場防衛部隊の隙を生じさせる事が出来ない。
「撃て撃て!」
「うわぁッ!」
「怯むな!」
「鉄クズに負けるな!」
部下たちはお互いを励まし合いながら激しく抵抗する。わたしも休まずに必死に重たく反動の強いガトリングガンを持ち続け、撃ち壊し続ける。手が痛い。この戦いが終わったら、二度と腕が使えなくなりそうだが……今は休んでいる場合じゃない。
「連合政府にロボットを提供し続けるビリオンを叩き潰せ! 世界最大の工場を終わらせるんだ!!」
わたしは汗を流しながら、ガトリングガンを握り、叫んだ。部下たちが大きな声で返す。もはや、全員が死ぬ物狂いだった。
「撃てぇッ!」
「西南の連合軍を潰せ!」
「撃ちまくれぇッ!」
部下たちも懸命に戦うが、やはり多勢に無勢。徐々に距離を縮められていく。わたしは意を決してガトリングガンを持ったまま、防衛ラインから飛び出す。30万の大軍に1人突っ込んでいく。
それを見た部下たちも一斉に飛び出す。ここに両軍入り乱れての大乱戦となる。無数の銃弾が飛び交い、炎と煙が舞う。何度も爆音と轟音が鳴り響き、灰色をしたコンクリートの地面が激しく揺れる。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
「喰らえッ!」
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
「鉄クズに負けるかよ!」
赤く燃え盛る炎から火の粉が舞い、戦いの場は熱気が充満する。わたしも部下も汗を滝のごとくながしながら機械の軍団を戦い続ける。
1時間ほどだろうか。その激戦が繰り広げられた。80万の大軍に一歩も引けを取らない我が軍。これが、人間の底力……! 機械には出せない力!
「ホーガム将軍! 工場の稼働がストップしました!」
「おおッ、遂にやったか! 聞いたか、我らが30万の大軍を引き付けておいたおかげで工場は停止したぞ! あとは本隊が駆けつけてくるのを待つのみ!」
わたしは腹の底から声を出して工場の停止を叫ぶ。部下は声を上げて喜びと嬉しさを口にする。そして、わたし達は時の声を上げて30万の大軍相手に更に士気を上げ、勢いを増して攻撃する。それは例えようのない勢いだった。
最初はオメガ級プラズマ=キャノンで士気は驚く程に低下した。だが、戦いからすでに4時間。南部エリアの完全破壊。西部エリアの制圧。戦況は時間と共にわたし達に有利になっていく。士気も上がっていく。この戦い、勝てる!
わたしは何の根拠もないが、そう思った。必ずや勝てる。そして、連合軍は開戦以来、最大の被害を受けるだろう――!




