第40話 2人の勇将
※バシメア視点です。
【ポート本部 中部エリア】
スピーダー・バイクに乗った俺は大きな薙ぎ刀を振り下ろす。周りに群がるバトル=アルファが斬り倒される。
敵の軍勢はまるで底なしだった。後から後から現れる。奥のエリアから整列したバトル=アルファの軍隊がやってくる。
「バシメア将軍!」
「なんだ!」
スピーダー・バイクに乗った部下の声。俺は戦いながら返事をする。振り返って話を聞いている状況でもなかった。
「クリスト将軍がポート山脈南部で危機に陥っています!」
「なにッ!?」
「エリアG4-B45の連合軍格納庫です! そこでクリスト将軍と傘下の部隊は10万近いバトル=アルファ軍団を相手にしております!」
「なんだと!?」
クリストがいくら強くてもさすがに50万のバトル=アルファ軍団じゃ勝ち目はない。いつか彼は撃ち殺される。また、無茶しやがって。
「今は1本の狭い廊下を利用して何とか防いでいますが、やられるのは時間の問題かと……」
「分かったすぐに救援に向かおう! ここは任せたぞ!」
「イエッサー!」
部下のマルニー大佐にそう言うと、俺は戦っている自軍の兵を集め、G4-B45に向かう。幸い、このポート本部とG4-B45の格納庫は地下エリアで繋がっていた。
俺よりも若いクリストは俺以上に無茶をする傾向がある。これまでも何度もそういったことをしてきた。
【ポート本部 南部エリア】
しばらく手薄な地下エリアを進んでいると、G4-B45に向かって進むバトル=アルファの隊列に出くわした。アレがクリストを討つための軍勢か。
俺は先陣を突っ切って進んでいく。俺らに気がつき、慌てて向きを変えるバトル=アルファ。薙ぎ刀が振り下ろされる。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
不意を突かれたバトル=アルファ軍団は混乱する。俺と俺の率いる部隊は彼らを容赦なく撃ち倒していく。
邪魔な奴らだ。急がねぇとクリストがヤバい。俺はいつもの2倍以上の力で斬り倒していく。心に焦りが生じていた。
「おお、あれは政府特殊軍将軍のバシメア! かかれ! ヤツを殺せ!!」
[イエッサー!]
スピーダー・バイクに乗った男。黒い防弾コートを着て、白いマントを纏った連合軍の将校が叫ぶように言う。俺の登場にかなり驚いているらしい。
「政府の大将2人を殺すのだ!」
「フン、お前に倒されるような男じゃないわ!」
俺は周りのバトル=アルファをスピーダー・バイクと薙ぎ刀で蹴散らすと、その男に突っ込んでいく。その将校は両手にサブマシンガンを握り、俺に向けて撃って来る。
甘い! 銃弾を強化プラスチック製の甲冑に受けつつも、勢いよく突っ込む。薙ぎ刀を目にも止まらぬ速さで降りおろし、その連合軍の将校を斬り倒す。鮮血が宙を舞う。
[あっ……]
[カルザ准将!]
[ご臨終だっ]
指揮官を失ったバトル=アルファ軍団はますます混乱を起こす。陣形は崩れ、隊列は乱れ、その軍勢はあっという間に我が軍の餌食となる。
俺が指揮官を斬った事で、自軍の兵士たちはますます勢いを増す。士気は天を衝かんばかりに上がり、火のような勢いで機械の軍団を潰していく。
「バシメア将軍、あれを!」
「……クリスト!?」
よくみれば、奥の方でも政府・連合の大乱戦が繰り広げられていた。その戦闘で黒い鋼の大斧を振り回すのはクリストだった。
俺は薙ぎ刀を振りかざし、勢いよくバトル=アルファを数体まとめて斬り裂く。火花が散らしながら、床に倒れ込む。
「……お、バシメア。タイミングよく現れたな」
「余裕そうじゃないか、クリスト」
俺とクリストは会話しながら駆け寄ってくるバトル=アルファの大軍を相手にする。指揮官が誰もいないらしいのか、バラバラに戦っている。
「さすがにヤバかったゼ」
「ほう、珍しいこって」
クリストの大斧が横に振り回される。無数のバトル=アルファの胴体が斬り裂かれる。なかなかやるな。
「8体」
「ほう」
俺も同じように薙ぎ刀を大きく振り上げ、勢いよく横に振る。たくさんのバトル=アルファが倒される。
「9体」
「いや、8体だゼ」
「9体だ」
「1体仕留めそこなってる」
クリストが指を指す。片腕をなくし、胴体に切り傷をつけ、火花と煙を散らしながらも歩いているバトル=アルファがいた。そいつはしばらくフラフラと歩いていたが、やがて機能を停止し、灰色をしたコンクリートの床に倒れた。
「……9体」
「ああ、俺の負けか」
そんな会話をしつつも集まってくるバトル=アルファを相手にクリストは大斧を振り回し、俺は薙ぎ刀を振り回す。
俺らはスピーダー・バイクを勢いよく飛ばしながら軍用兵器を斬っていく。数ばかりで弱小のバトル=アルファ。楽なもんだ。
気がつけば、残ったバトル=アルファの軍勢はポート本部の中部エリアに向かって逃げ出していた。俺とクリストはそれぞれ傘下の軍勢と共に激しく追撃する。
「次は何をする?」
「……あ、すっげー悪いこと、思いついた」
俺はニヤリと笑みを浮かべてしまう。究極に悪いことを思いついた。
「おい、クリスト。ちょっと手ぇ貸せ」
俺はニヤニヤしながらクリストに言った。次は空中戦を繰り広げているアヴァナプタとプロパネを討ち取れそうだ。




