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黒い夢と白い夢Ⅱ ――動乱の人心――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第1章 友情の真価 ――ポート平原――
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第3話 裏切り

※パトラー視点です。

 【ポート州 ポート平原】


 私とコメットは空中を飛べるスピーダー・バイクに乗り、ポート州北西のポートフォレストへと急いでいた。なんでも、そこにコメットが管理するビリオン本部があるらしい。

 1人で行けばいいと思うんだけど、“連合政府は私を監視している。もしかしたら命を狙われるかも知れないから着いて来て”としつこく言うので一緒に向かう途中だ。よっぽど死ぬのが怖いらしい。

 スピーダー・バイクで向かっているのは、飛空艇に乗るのを勧めたら、“国際政府軍の飛空艇だと撃ち落とされる”と言いだしたからだ(逆に危ない気もするんだけど……)。


「ビリオンの本部にはどれだけの兵力が?」

「軍艦15隻にコア・シップ10隻です。山中には工場があり、そこで無数の軍用兵器を製造しています」


 ポート州北西部には確かに無数の連合軍の軍勢がいる。なるほど、ウソはついていないな。私は降伏が本当かどうか確かめる為にも彼女に色々な質問をしていく。そのほとんどが、私たちの持っている情報と一致した。

 そんなことをしている間にもスピーダー・バイクはポートフォレストに入り、やがてはポート山にあるビリオン本部に到着する。


「ここって元々「サキュバス軍」の本部要塞じゃなかったっけ?」

「ええ、そうですよ。彼女らが政府軍に討伐された後、私たちが再利用しているんです」

「あの時、施設は未完だったけど完成した?」

「はい、5年前に施設は完成。余計な部分を取り壊したり、拡張して施設は5倍以上の大きさになっています」


 なるほど、間違ってない。

 私とコメットは絶壁の中腹に造られた“穴”に入る。サキュバス軍のポート本部を高度に改造したビリオン・ポート本部は山の中に造られていた。

 穴に入ると、中は灰色のエントランスが広がっていた。何隻かの小型飛空艇やガンシップがある。そして、作業を続けるバトル=アルファやバトル=ベータの姿も。なんでこんなにたくさんも?


「……パトラー少将を捕えなさい!」


 コメットはスピーダー・バイクを降りるなり、信じられない事を口に発した。あの時の泣き顔はどこへったのか、爽やかな顔で私を見ていた。ああ、最悪。罠だった。コメットの降伏は偽りだったんだ……!


「裏切るの!?」

「劣勢の国際政府に降伏するワケないでしょ? あなたバカ?」

「クッ……!」


 私の周りに無数のバトル=アルファやバトル=ベータが集まってくる。コメットの周りには黒い体をした護衛用ロボット、バトル=メシェディが6体も集まり、彼女を守ろうとする。

 私は素早く剣を握る。四方八方、敵ばかりだ。なんとかスピーダーを奪って逃げれば……!


「下がれ」


 ロボット集団の中から黒い装甲服に白いマントをまとった1人の女性が現れる。

「えっ………?」


 私はこの女性を知っている。赤茶色の髪の毛に同色の目、美しく整った顔立ち。――“フィルド”さん……? 間違いない。私の師――フィルドさんだ!

 私は一瞬、彼女に駆け寄ろうとした。でも、すぐに冷静に戻る。彼女がフィルドさんじゃない。彼女はずっと行方不明。そもそも、フィルドさんは連合政府を憎んでいる。彼女がコメットたちの味方になるワケない。彼女は連合軍が造り出したフィルドさんの“クローン”だ。


「噂のキャプテン・フィルドはあなたのこと?」

「そう、連合軍少将コマンダー・アレイシア。よろしくな、パトラー少将」


 そう言うと彼女は剣を引き抜き、私に飛びかかって来た! 私は彼女の剣を剣で防ぐ。大きな金属音が鳴り響く。力が強い! 私は押し切られそうになりながらも、剣を動かし、彼女の攻撃を避ける。

 コマンダー・アレイシアは素早く距離を取ると、再び私に突っ込んでくる。金属音。火花が散る。腕が痺れそうになる。それでも、私は何度も彼女と剣で打ち合う。


「やるじゃないか、パトラー」

「フィルドさんに鍛えられたから!」

「へぇ、私のオリジナルはずいぶんお前のことを可愛がったんだな」


 いくら私がフィルドさんに鍛えられたといっても、私は剣は苦手だった。どちらかといえば、銃やコンピューターを操る方が得意だった。


「だが、まだまだ、だなッ」

「そ、そんなことないっ!」


 限界が近かった。何十回も剣で叩き合い、腕は限界だった。私は彼女の攻撃を防ぐだけで手一杯だった。到底攻撃できない。


「この作戦は私が立てた。お前を捕える為にな。お前の性格を考えれば、成功すると分かっていた」

「クッ……!」


 コメットの降伏を認めたとき、即刻監獄に放り込むべきだったかな!? 私は自分のアホさ加減にイライラしながらもコマンダー・アレイシアと戦い続ける。


「お前は単独行動が好きだ。あまり軍を引き連れて戦うことはない。ここに来るのに、軍勢を引き連れておくべきだったな」

「う、うるさい!」


 私がそう叫んだ時、コマンダー・アレイシアは私の剣を突き、弾き飛ばしてしまう。私の剣は空中をくるくる回りながら、遠くの床に刺さる。

 彼女は私の首に剣を付きつける。こ、殺される……! チラっとコメットの方を見る。彼女は護衛に守られ、私をニヤニヤしながら見ていた。


「……裏切るんだ?」

「ごめんなさいね、パトラー少将。国際政府と連合政府じゃ後者の方が強いですから」

「お前と同じ連合政府リーダー、ララーベルは殺されているんだぞ?」

「あんな老いぼれと一緒にしないでくれるかな?」


 コメットは私を見下しながら言う。彼女は私たちに降伏する気は全くなかった。コマンダー・アレイシアは私に手枷をつけ、無理やり立たせる。こうして私は捕まってしまった。

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