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黒い夢と白い夢Ⅱ ――動乱の人心――  作者: 葉都菜・創作クラブ
第8章 混沌の政府 ――小さな島――
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第35話 小さな島の戦い

※前半はプレイザ視点です。

※後半はパトラー視点です。

 も、もう許さん……! あの母子に、煮え湯を飲まされるのはこれで二度目だ。一度目はEF1995年の夏だ。わたしがちょっと財閥連合社から献金を受け取っただけであの小娘の母親――ホープ=オイジュスはこのわたしを逮捕しやがった!


「もう許さん。“母親の後を追わせてやる……”」


 わたしは周りを確認してから仮設トイレの個室に閉じこもる(うわっ、臭せェ)。個室に入るとわたしは隠し持っていた小型の通信機を取り出し、ある場所に連絡を入れる。


[こちらコメット。……プレイザ、どうしたの?]

「決裂だ」

[……そう]

「パトラー=オイジュス捕獲プランに切り替えろ」

[分かったわ]


 わたしは通信を切る。ニヤリと笑みを浮かべる。あの女は邪魔なんだよ。母親と似ている。我ら政治家にしつこく介入し、違法を取り締まる。そんなものがなくなったら政治は成り立たんわ。

 万が一、工場設立に失敗してもパトラーを捕えれば、ティワードはカネをくれる。あの女はティトシティに連行されて、拷問されるだろう。痛い思いして死ね、バカ女!

 わたしはトイレの個室の扉を開け、青々とした空を見上げる。本隊は海上だ。すぐにはここに来れない。パトラーは罪をその命で払う事になるだろう。


「さぁて、始まりだな」


 青々としていた空に突如として黒い大型飛空艇が現れる。連合軍の軍艦。合計で2隻。軍艦の船底から小型の上陸用運搬艦が切り離される。4隻の運搬艦はあっという間に駐屯基地や周辺の海岸に着陸していく。

 ふっふっふ…… 賄賂と汚職は普通よ。それなしなんぞ、理想世界だ。あの女は理想政府でも作りたいのか、ホープ=オイジュス将軍にパトラー=オイジュス少将……。



◆◇◆



 それは突然だった。空に現れた連合軍の軍艦4隻。そこから切り離された運搬艦4隻。それらは次々と海岸や基地内に着陸すると、艦内から軍勢を上陸させていく。無数のバトル=アルファや戦車が次々と出てくる。


[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]

[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]


 駐屯基地内は大混乱に陥る。完全な奇襲攻撃を喰らった。兵士たちは慌てて戦闘態勢に入る。だが、完全に出遅れていた。

 私はサブマシンガンを握り、隊列を成して進行する連合軍の軍勢に突っ込んでいく。私に気がついたバトル=アルファも攻撃してくる。


「喰らえ!」


 両手に握ったサブマシンガンを使い、バトル=アルファの小隊に銃弾を浴びせる。銃弾の当たったバトル=アルファからやられていく。

 あっという間に小隊を壊滅させると、私は基地内を走る。至る所で戦闘が始まっていた。バトル=アルファだけならなんとなりそうだけど……。


[攻撃セヨ!]


 1機の戦車が近づいてくる。地面から微妙に浮いてる小型戦車だ。緑色をした戦車は1基の銃砲で次々とテントや設備を撃ち壊していく。

 私は戦車周辺のバトル=アルファに向けてハンドボムを投げ、爆発する前に大きくジャンプして戦車に飛び乗る。戦車のハッチを開け、中にもハンドボムを放り込むと、再びハッチを閉めて飛び降りる。

 爆発。戦車周りのバトル=アルファが吹き飛ぶ。続けて戦車内部でも爆発が起こる。戦車は炎と煙を上げて地面に落ち、その場で動かなくなる。


「パトラー少将、プレイザがいなくなりました!」


 戦車から飛び降り、近づいてくる敵を撃ち倒しながら基地内を進んでいると、ショットガンを持ったジェルクス将軍が声をかけてきた。


「へぇ、そう!」

[攻撃セヨ!]

「どう思いますかな?」

[破壊セヨ!]


 バトル=アルファが次々と近づいてくる。ホントにうっとおしい。こんなものを量産する工場なんてごめんだ。


「プレイザは連合政府の人間だったんじゃないのかな!?」

「でしょうな。これはいくらなんでも許されないことです。元老院も見逃すには事が大きすぎるでしょう」

[攻撃セヨ!]

「じゃ、遠慮なく逮捕して来る!」

[破壊セヨ!]


 遠くのバトル=アルファを撃ちながら、近寄ってきたバトル=アルファを蹴倒すと、再び走り出す。その時、ようやく空に私たちの飛空艇が現れる。中型飛空艇4隻。

 連合軍の軍艦はそれぞれやってきた中型飛空艇の横に艦をつけ、砲撃を始める。政府軍も反撃を始める。

 しばらく基地内を走っていると、プレイザを見つけた。そのすぐ近くには連合軍の運搬艦。彼はそこに近づいて行く。


「待て、プレイザ!」

「おっと、オイジュス将軍……じゃなくて少将か」

「お前を逃がさない!」


 私はサブマシンガンをプレイザに向ける。だが、彼はすでに魔法発生装置で自分に物理シールドを張り、余裕そうな表情で私を見ていた。


「ここまでご苦労だったな。わたしがここにいつまでも立っていたのは、お前をおびき寄せる為だ!」

「……そうか。それはご苦労。お前を捕まえる。絶対に許さない!」


 私はぎゅっとサブマシンガンを握り締める。彼の後ろからは6体のバトル=パラディンが姿を現していた。周りからも次々とバトル=アルファが姿を現す。隠れていたらしい。


「ふっふっふ、わたしを捕まえるだと? それは無理なことだ。お前も母親と同じ運命を辿るのだ」

「……私のお母さんは事故死だったけど?」


 なにを言ってるんだこいつは?


「事故死? ははッ、そうか、父親がそう言ったか。なるほどな。だったら冥土の土産に教えてやろう。お前の母親は――殺されたんだよ」


 えっ……? プレイザの冷たい声が、私の胸に刺さった―― お母さんは、殺され、た……?

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