第29話 グランドシティの戦い
【グランドシティ 郊外】
俺が率いる中型飛空艇の艦隊。全15隻の艦隊は高速ワープでグランドシティ郊外に出る。出た瞬間、目の前に広がる光景は想像よりも悪い。
グランドシティを包囲するかのようにして軍艦の艦隊が並んでいる。しかも旗艦は司令艦。軍艦を超える大型飛空艇だ。
「封鎖艦隊の司令官はゴリアテ中将。あの司令艦にいます」
さて、ゴリアテは九騎の1人。これはどうしたものかな。小細工は通用しないだろうなぁ。でも、俺が行かねぇと親友が死ぬ。
俺は封鎖艦隊の奥、グランドシティを見る。アチコチから炎が上がっている。あの様子だと陥落寸前のようだな。まぁ、九騎3人相手によく頑張った方だ。普通なら陥落している。
「あんま好きじゃないが“プランB"で行くゼ」
「ほ、本気ですか!?」
「普通に攻めていたら明日になっても突破できんわ」
俺は部下のポルド准将に顎で合図する。彼は一礼して全部隊にプランBで攻撃することを伝える。さて、急がないと親友が死んでしまう。
命令が伝わると、夜の空を中型飛空艇の艦隊は敵の旗艦を目指して進んでいく。まずは正攻法だ。行くゼ、ゴリアテ中将。じっくり防いでみな。
「クリスト将軍、敵艦隊も動き始めました!」
「オケー。焦らず、慌てず、冷静に対処しろ」
「イエッサー」
敵のゴリアテ中将も指揮を執っている。連合軍の艦隊は俺らの動きに合わせて動く。一斉に砲撃して来る。無数の小型戦闘機が出てくる。
俺は合図を送る。準備してあった小型戦闘機や軍用兵器が一斉に中型飛空艇の艦隊から飛んでいく。後いう間に始める。本艦も何度か攻撃を受け、大きく揺れる。
「クリスト将軍、かつてパトラー少将が用いた奇策は使えませんかね?」
「九騎のゴリアテには見破られるだろう。だから、危うくも成功するバクチを打つしかないんだ」
あいつも今頃はバクチ打っとるのかもな……。俺は軍艦の艦隊の後ろで炎上するグランドシティを見ながら思った。
◆◇◆
【グランドシティ 中央市内】
俺は建物の影から素早く姿を現す。目の前で燃える車を盾にしながらバトル=ベータに向けて発砲する。銃弾が飛び、バトル=ベータの黒い頭を撃ち抜く。
目に見えるバトル=ベータをことごとく撃ち倒すと、近くに止めてあったスピーダー・バイクに乗り、炎で明るい夜の街を駆けていく。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
おっ? また連合軍の軍用兵器か。全く、コメット率いるビリオンめ。次々と殺人ロボットを量産しおって……。
俺は薙ぎ刀を手に持つ。これは槍のような武器だが、先端は尖っておらず、大きな刃になっていた。そして、中には魔法発生装置を内蔵してある。俺の愛用の武器だ。
先端に青い電撃を待とうと、それを振り回しながらバトル=アルファの大軍に突っ込む。素早い動きで勢いよく彼らを斬っていく。
刀を振り回すたびに電撃が辺りを舞い、やや離れた軍用兵器をも感電させて倒していく。たちまち、無数の軍用兵器を斬り倒した。
「それにしても斬っても斬ってもキリがないな」
こんな鉄クズ、斬ってもそんなに意味がない。大元を叩かにゃあかんのだがな。でも、その大元に辿り着くにはやっぱコイツらを斬るしかないんだろぉな。戦争の元凶を斬りたいものだ。出来れば、噂のパトフォーとやらを斬りたいんだがな。
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
むぅ、また現れたか! ええい、目の前の現状を斬り開けないようじゃ、戦争の元凶と悪名高いパトフォーも斬れへんわ!
俺は自分を鼓舞しながら狭い路地に入ってきたバトル=アルファの小隊に突っ込む。何度も薙ぎ刀を振り、敵を斬り捨てていく。
「どけい!」
[破壊セヨ!]
「プロヴィテンスやフリゲート、アクセラはどうした!」
[攻撃セヨ!]
「高みの見物か!」
黄色のラインが入ったバトル=アルファことバトル=コマンダーの胴体を真っ二つに斬り壊すと、2、3機のバトル=アルファをスピーダー・バイクで轢き壊す。
そのまま俺は路地から大通りへと出る。そこには無数のバトル=アルファが隊列を組んで行進していた。全員が完全に同じ姿。黒色に細い人間型をしたロボット軍団。
[殺せ!]
何千体という無数のバトル=アルファは俺にアサルトライフルを向ける。ふんっ、俺がこんな鉄くずにやられてたまるか!
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
[攻撃セヨ! 破壊セヨ!]
俺は薙ぎ刀を大きく振り上げ、スピーダー・バイクを最速で操り、突っ込む。バトル=アルファは斬られ、轢かれ、吹き飛ばされていく。スピーダー・バイクを時は突っ込ませ、時には激しく回転させながら、群がる何千もの敵軍用兵器を斬り倒す。
[怯むな! 攻撃セヨ!]
薙ぎ刀が振られる度に5体のバトル=アルファが斬られ、10体のバトル=アルファが感電して倒れる。更に20体のバトル=アルファが飛び出す火炎弾や氷弾、衝撃弾、電撃弾のいずれかの餌食になって倒れる。
俺はスピーダー・バイクを荒馬のごとく動かし、斬って斬って斬りまくる。俺の周りにいた軍用兵器は簡単に斬り伏せられる。
やがて大通りには敵がいなくなる。広く長い道路はバトル=アルファやバトル=ベータの残骸で埋め尽くされ、一部は小さな丘のようになる。
国際政府特殊軍将軍の一角を担う俺を甘く見ないで貰おうか。バトル=アルファ程度なら1人で1万機は相手に出来る。もちろん、クリストも、な。




