仮設再来 Episode 6 [2012.01.07]
恐々と進むと現れた、古い小さなお土産屋さん。
そっと中を覗き、開きにくい扉に手を掛ける。
…開かない。
困っていると、店員さんが内側から開けてくれた。
お茶も用意してもらい、冷えた身体がほっこり温まる。
梅茶というお茶で、梅の酸味が美味しい。
並べられた商品を眺めると、どれも懐かしいものばかり。
温かみのある可愛らしい小物に、顔が綻ぶ。
何か購入しようかと考えるも、お土産にいくらかかるかわからん…と躊躇。
家主のレジを待って、そのまま店を出る。
少し惜しいことをした。
さて、大観音へ。
券を購入すると、まず出迎えたのが長い長いエスカレーター…先が見えない。
長い時間をかけ、エスカレーターが昇りきると、扉を開けて外に出る。
振り返ると、扉には進入禁止の貼り紙が。
来た道は帰れないようだ…前方には地蔵様が並んでいる。
なんか恐い。
さらに進むと、視界に広がる青い海!
空も晴れ渡り、暗い雰囲気も晴れる。
寒さも忘れる眺めに、さっきまでの恐さも忘れる。
清々しい気持ちで、仏舎利塔へ。
再び…なんか恐い。
美しい絵画と石像が並んでいるのだが…独特の雰囲気が、なんか恐い。
照明の効果かな?
絵が柔らかくて、本当に綺麗でした。
各石像の隣に真言を発見。
書かれた片仮名を読むも、意味が全くわからない…日本語訳が欲しいです。
仏舎利塔を後にして、お土産屋さんへ。
探索していると、家主がレジ横に「ご自由にお取りください」と置かれたお菓子の小袋を発見!
ふたりでちゃっかり頂く。
試食を小袋で置くなんて…なんと太っ腹な店だ!
とりあえずお菓子を買って、大観音探索を再開する。
標識の案内に従い、大観音の体内へ。
おみくじやお守りの販売所を過ぎて、狭い階段を登る。
時に人ひとりの幅にまで狭まる階段は薄暗い。
度々すれ違う人々は町ですれ違う時と同じく、挨拶を欠かさない。
すごく温かい。
返す私の挨拶も初めてこの町に来た時より、随分柔らかくなったと思う。
現れる観音像、七福神の像を鑑賞しながら、さらに上を目指して登る。
くたくたになった頃、ようやく小さな穴が現れた。
頭上に気を配り穴を潜ると、目の前に見える水平線!
船が波紋を描き、白い鳥が波に揺れている。
堂々とした真っ青な海を山々が囲んでいる。
ゆったりとした日常が輝いている、そんな感じ。
まるで1枚の大きな絵を見ているよう!
家主が携帯を構える。
パシャリと音がしたので覗き込むと、画面には鮮やかな海が。
右端の木々が絶妙な割合で、奥に向かうほど薄まる青のグラデーションが美しい。
家主はカメラ技術も高いようだ。
恐い雰囲気もあったが、大観音は景色も絵も像も美しかった。
いっぱい歩いて、理解できる真言もなくて…だけど、すごく楽しかった!
満たされた気持ちで、大観音を後にする。
再び喫茶店に足を運ぶと、満席だった店内に空席を見つけすぐさま入店、ゆったりとメニューを眺める。
美味しそうなものばかりで、ふたりで頭を抱える。
やっとのことで注文した料理は、予想以上のボリュームと香り!
何故だろう、家主をじっと見つめ、食べていい?と確認することが癖になりつつある私。
いつものように承諾を得ると、パスタに立派なタバスコを振り掛け食べる。
めっちゃうまいっ!(*^o^*)b
イカの弾力、海老のぷりぷりとした身、少なめのあっさりとしたオリーブオイル!
家主のドリアもひと口頂く…めっちゃうまいっ!
優しくどこまでも伸びるチーズは柔らかい触感で、濃厚な甘みがある。
よく伸びるが弾力はなく、ふんわりとした口当たり。
付属のサラダは新鮮で、よく水が切られている。
あっさりとしたドレッシングに、しゃきしゃきとした軽い触感がぴったりだ。
デザートのケーキはベリーの酸味が程好い。
スポンジはふんわりと柔らかく、フォークを入れると潰れることなく切れる。
生クリームは独特の触感で、ざらつきがあるがきめ細かい。
全体的に甘味は控えめ、生クリームには砂糖とは違う甘味がある。
プリンは甘いが、やっぱり砂糖の甘みだけでない。
どの料理も優しく濃厚な味だ。
家主も私も大満足、ぜひまた食べに行きたい。
家主といた時間、本当に心休まる時間だった。
めっちゃ喋ってうるさいくらいだったと思う、めっちゃちょっかいかけて面倒かけたと思う。
何となくだけど、居候生活でわかった。
いつも自分を守ろうとして、攻撃されまいと気を許してたまるかと、気を張って…それで自分がわからなくなって、疲れてたのかな、と。
家主さんは攻撃したりしない。
いつも離れようとして…それが居候生活では逆に気を引こうとしていた気がする。
家主の寝息を聞く前に眠った。
お泊まりでは過去最短、暗闇も全然怖くなかった。
家主の側は本当に安心するよう。
意外…ちょっと驚き。
甘え過ぎたなとちょっと反省。