仮設再来 Episode 4 [2012.01.05]
やったあ!\(^o^)/
家主が疲れている中、さつまいも料理を作ってくれました。
ああ、ほんのりと香るさつまいもの香り、ほっこりと優しい甘味、柚子の仄かな苦味…お袋ぉ(;o;)
イギリス紳士の謎のバタークッキーも食べて、夜は満腹。
『既製品は食べた気にならない』
家主がぼやく。
食べた気にならないのに、お腹には重く残るのが既製品。
確かに。
ひとりの食事が気だるく感じるのも、既製品が美味しいと感じないのも、お袋の味が特別なのも、私たちが食べているのが愛情だからかも。
ふたりでハウルを鑑賞しながら、共同製作している小説について話し合う…話し合いの合間に歓声があがる。
「君だ、きたあああああ!」
元気そうで何より。
ハウルは二度目ですが、前にみた時にはわからなかったところを自分なりに納得して、以前とは違った印象を受けた。
ジブリに限らず、深い物語は1度ではわからない。
たぶんまた観たら、また違うんだと思う。
鑑賞前と鑑賞後に何かが変わる作品、素敵です。
意気込みながら、本日最後の仕事「消灯」を実行して就寝。
しかし、夜中に火災のアナウンスが流れていたようで、家主は眠れなかった様子。
今回は遠くの火災の知らせだったが、以前に津波警報や遺体発見が鳴ったことを聞くと放送が鳴るだけで不安なのかな、と思う。
内容に関わらず、夜中に突然放送が鳴るという環境が、精神的に疲れそうだ。
私はアナウンスに気付かず、爆睡していたのだが。
起床はお昼になりました。
家主は私が何も食べないのが気になるらしく、おでんときんぴら、冷麺を作るとベッドに再び倒れ込んだ。
本当、すみません。
家主は倒れたまま、熊のぬいぐるみを顔に乗せている。
…動かない。
しばらくすると寝息が聞こえてきたので、のんびりと皿洗いに向かう。
めっちゃ寒い…。
冷たいというのは、本当に気を弱くする。
冷たい風が足を冷やし、冷たい水が指先を冷やし…何より心を冷やしてしまう。
お風呂の大切さ、お湯のある環境の有り難みを染々と感じる。
頼りない壁、海の轟き、凍るような水、仮設が全体から冷え込む…ひとりでいたら、気持ちが沈んでしまいそう。
温かくすることは、気が落ち込む環境ほど重要なのだ。
家主に起きる気配がないので、家主のスケッチブックにペンを走らせる。
塗り絵のようにはっきりとした線、バランスも悪い、どこか空っぽな表情、なんとも淡白で、私は自分の絵が好きではない。
それでも家主は描かれたものでなく、私の絵が好きで喜んでくれる。
有り難いことだ。
家主は目覚めると少し勉強をしてから、私の絵に色を塗ってくれた。
単調な絵が、やわらかな水彩に染まる。
私が家主に影響されてるみたいだなあ…なんてぼんやり考えていると、あっという間に染め終わる。
絵には、嫌でも描いた人物が現れると思う。
真似事しかできない、線だけの淡白な白黒絵が、優しい色に包まれている。
家主もそうだ。
決して否定せず押し付けず、優しく包み込む。
明るい色ばかりじゃなくて、温かい色ばかりじゃなくて…悲しい色も寂しい色も…いっぱいの色を優しい絵に変えて包み込む。
やっぱり、すごい。
嬉しくて、また描いて、疲れた顔の家主に「色、塗って!」とせがむ。
家主が塗る。
気付けば22時を回っていた。
ヨガで身体をほぐしてから、渋々就寝。