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土曜日だった。土日と学校は連休だ。
私は、ジャングルの中を、ハムスターの姿で走り回っていた。まだ、皆は寝ているので、好き放題だ。
おや? ハムスターが増えている……
「わあ、楽しい」と真由の意識が。
「最高!」というのは、里中君?
「うふふ」と啓子は、ハムスターの毛を長くして、輝かせている模様。
やめてとは言わないが、不気味な姿だ……
「おい、おい」と立ち上がるハムスターは、小橋君か。
「マジかよ。俺の目が変な訳? あれって、金西恩だよな、北朝連の。ローヤのフーチンに、通国の中金平までいるぞ」
「う~ん、何の話?」と私。
どうせ、フレームが欲しいんだろう。
スマートになりたい、若くなりたい、強くなりたい。
お金が欲しい、権力が欲しい、永遠の命が欲しい。
もっと、もっと、もっと。
たくさん、たくさん、たくさん。
欲しい、欲しい、欲しい。
アマリカのスランプ大統領は、フレームがたくさん欲しいと言ったらしい。
二本の高石首相も。
たくさんのフレームを何に使うつもりだろう。
「先輩は、姿が変わらないな」と小橋君。
見ると、三人のおじさん達を、お兄様が温泉旅館に案内しているところだった。
今回は、ジャングルは、ほぼ放置されたままだ。
ま、どうでもいいか、と思って、私は走り回った。他の四人(匹?)も同じように走り回っていた。
一瞬で別の地面に現れてみたり、こっそり?と、おじさん達のいる場所に現れようとして、そこには行きつけなかったりした。
「あなた達、もう夜が明けたわよ」とミーアキャットが言った。
「起きてる子もいるわよ」
そうか~、いつまでも走り回っていたかったが、仕方なく、人間の姿にした。
同時に、他の四人も人間の姿になった、お揃いの旅館の寝巻をだらしなく着て。
「これって、世界征服ってことだよね」と背の伸びた小橋君。
「小橋、余分な知識、詰めすぎ」と美しい黒髪の啓子。
「小橋って、何言ってんのか、わかんな~い]
「ねえ」というのは、同じ顔になった真由と里中君。
お兄様は、何を考えているのだろう、というのは、物事が理解の範囲を超えている私だった。
女子が入り乱れて寝ている部屋に、啓子と真由で戻った。
「ずる~い」という声がした。藤原加奈だ。
「どこ行ってたのよ。私も誘ってよ、山下さん」と頬をふくらませている。
「う、うん」と私の歯切れは、やはり悪い。
まさか、ハムスターになって走り回って、楽しかった~、とは言えない。
「藤原さん、すっごくよく寝てたから、起こすの、悪いと思って」とさすが、啓子。
「ええ? そんなに、よく寝てた?」
「うん」と私。多分。
「あの……いびきとか……」
「ぜーんぜん。すやすや寝てた」と真由。
「良かった~」と藤原加奈。
いびきとか、というのは何なのだろう……
「うるさいな~」
「寝られない」
と他の女子も次々と起きてきた。
なぜか、クラスの女子全員と男子全員が、山下村温泉旅館に泊まりに来ることになってしまった。
引率は、担任の大石先生。
どういう流れで、こういうことになったのかは、私には不明だ。
塾に行かなければならない、と言っていた生徒も、なぜか参加している。
もう一つ、ずっと学校を休んでいた男子まで、大石先生の説得で参加した。
何で、学校を休んでいたのだろう。
それなのに、何で、参加したのだろう。
そういうことは、皆で共有のはずの知識にも入ってはいない。
お兄様は、知っているのだろうか。
知っているのだろう。
だって、その少年には、フレームがあったから。




