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ヘリオスの末裔  作者: まきの・えり


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6/9

       6

 私が、まだ写真を眺めていた目の前で、ジャングルが形を変え始めていた。

 いつの間にか、お兄様が戻っている。

「やはり、写真は、気に入ったようだな」とお兄様が言った。

「う、うん」と私。気に入ったなんてもんじゃない。

「それは、良かった」

「これは、何になるの?」と形が建物みたいになっていく物を見る。

「旅館は、もうないの?」お母さまは、もういないのか……

「いや、そこにあるよ」とお兄様が言うと、旅館が現れた。建物の横に。

「スランプ大統領が、お忍びで、ここに向かっている」

「スランプ大統領って、何?」

「アマリカの大統領だよ」

「アマリカって? 大統領って?」と私には、よくわからない。

「二本と同じような国。二本の高西首相みたいな……まあいい」

「朱音」と旅館の前に、お母さまが現れ、私を手招きしていた。

「はーい」と私は、自分の質問も忘れて、お母さまの方に一瞬で走った。

「お母さま……」と私は口に出して、あと、どうすればいいのだろう、と思った。

「あなたは、本当に、美しい髪ね」と言って、お母さまは、私の髪を撫でていた。

 女の子達に髪を順番に触られたことを思い出したが、それとは違って、困惑はせず、奇妙な喜びが生まれてきた。

『これは、お母さまに、〇〇されている喜びだ』と私は思った。よくはわからない喜び。

『〇〇に、〇〇されている喜び』という言葉が浮かぶ。どこかで聞いたんだろうか。


 スランプ大統領は、黒塗りの小型車でやって来て、旅館の方に入って行った。

「旅館が正解だったな」とお兄様が言った。

 私とお兄様は、旅館の入り口にいた。

 スランプ大統領は、来た時と同じように、黒塗りの小型車で帰って行った。来る時も、帰る時も、静かだった。あの小型車の中も広いんだろうか、と私は変なことを考えた。

「アマリカは、大量のフレームを欲しがっている。それは、二本も、ローヤや通国も同じだ」

「ミーアキャットになりたいのね」と私は、違うと思ったけど、言ってみた。

「同じようなもんだ。人間の欲望には限りが無い。永遠の命が欲しい。永遠の若さが欲しい。富が欲しい。権力が欲しい……」とお兄様は、ことばを止めた。

「朱音は、何が欲しい?」


 私は、〇〇が欲しい。かもしれない。

 何かわからないから、欲しいのかもしれない。


「まあいい」とお兄様は言った。

「徐々に世界は一つになっていく。一つになれば、永遠に平和が続く。誰もが、永遠の命と、永遠の若さを手に入れるようになる。ミーアキャットにもなれる。シベリアンハスキーにも」

「それは、素晴らしいことね」と私は言ったが、自信があるわけではなかった。


 村は、また元のジャングルに戻っていた。

 ジャングルの中で見る写真は、何だか場違いな感じがした。










 

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