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ヘリオスの末裔  作者: まきの・えり


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3/5

       3

 私も慌てて、帰る準備をして、学校の門の前まで来た。

「あれえ? 天気予報って、雨だったっけ?」と真由が言った。スマホという箱をいじっている。

「もうじき豪雨予報。うわ、最悪~」

「俺、傘持ってねえし。ま、元々持ってねえしな」と里中君。

「私が入れてあげる」と真由が、恥ずかしそうに言った。

 皆で駅まで走ることになった。気をつけないと、と私は思う。どうやら、私の走る速度は速すぎるらしいので。

「山下、オリンピック狙えるぞ」と体育の時間に、丸い時計を見ていた『体育教師』に言われた。意味がわからなかったので、困った顔になった。以後、他のクラスメートと同じレベルに合わせるようにした。

 電車に乗ったとたんに、雨が降り出した。

「滑り込みセーフだったな」と小橋君。私も雨は苦手だが、小橋君もそうだったのか、と少し嬉しかった。

 これは、好きとか嫌いとかいう、好きの方の感情なんだろうか。

 電車から降りると、お兄様が待っていた。いったい、いつの間に……

「凄い雨なので、車でお迎えに来ました」

「良かった~」と啓子が言った。

「ありがとうございます」と言う、啓子の目がキラキラと光っている。この目は、里中君を見る、真由の目と同じだ。

 私は、小橋君の方を見て、自分の目が光るものかどうか確かめようとして、やめた。小橋君の目も、お兄様を見て、キラキラと光っていた……

 お兄様は、超高速で私達の荷物を車に乗せて、ついでのように、私達も乗せた。

 この車は……と考えかけてやめた。村に車は無い。必要ないからだが、必要な時は作ればいいのか。

 お兄様が、運転する席に座り、当然のように、啓子が助手席に座る。他の四人は、向かい合って座っていた。車は小さく見えたのに、内部は広い。

「山下先輩~」と小橋君は声まで裏返りかけている。

「野球部に入ってくださいよ~。勉強が大事なのはわかるけど~」

「考えておくよ」とお兄様にしたら、歯切れの悪い答え方だ。

「ほんとですか~。期待していいですよね~」と小橋君は性格が変わってしまっている。

 私とトップ争いをしているつもりでいる小橋君。真面目でクールな性格だと思い込んでいた。

 里中君と真由は、傘を持ち歩くかどうかで、熱い議論をしている。これは、放置。

 私は、ジャングルと呼べそうな自分の村を思い出す。気温は高く、湧き水も熱い。

 当然、雨なんかは降らない。目に見えないシールドがある。

 村人の数はわからない。気に入ったフレームができると、急に人数が増えたりする。

 シベリアンハスキーが流行った時は、私もシベリアンハスキーのフレームにした。

 ジャングルみたいな木々が茂っていて、多分、今は、カピバラとミーアキャットが増えつつある。

 皆が言う家なんてものはないし、私達は、食べる必要がないので、どうするんだろうか……


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