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第58話 ダンジョン入り口


郷山、佐藤、南條の三人は、教習所を出て全力で走っていた。


向かう先は、発見されたばかりのダンジョン入口。


教習所から数百メートル。

本来なら、ただの雑木林のはずの場所。


しかし今は――


「……完全に、出来ちまってるな」

郷山が低く呟く。


地面が大きく割れ、黒く歪んだ空間が口を開けている。

魔力が濃く、空気が重い。

間違いなく“本物”のダンジョン入口だった。

すでに戦いは始まっていた。


教習所入口にいた、あのベテランワーカーの男女二人。

そして、数名の講師陣が前線を張っている。

狼型モンスターが次々と出現し、

倒されては魔石を抜かれ、霧散していく。

一方その後方では――


「よし、今だ! 三人で行け!」

受講生たちが、数人がかりで一匹の狼型に立ち向かっていた。


連携はまだ拙いが、恐怖を押し殺して必死に戦っている。


「……よくやってる」

郷山の声に、僅かな安堵が混じる。


だが、次の瞬間――

「郷山講師! そっち行きます!」

佐藤が叫び、こん棒を構えたまま前へ出る。


「私も!」 南條も続く。


「無理はするな! 後方のフォローを優先しろ!」


そう指示を出しながら、郷山自身も武器を抜く。

三人が戦線に加わったことで、場の流れが少しだけ変わった。


南條は、受講生の後方に回り、

飛び出してきた狼型を牽制する。

「こっちよ! ほら来なさい!」


佐藤は、受講生が押されている方向に入り、

タイミングを見て一撃を叩き込む。


「今だ、下がれ!」

郷山は前線で、確実に数を減らしていく。


だが――


郷山の視線は、常にダンジョン入口へ向いていた。

(斑鳩……)

胸の奥がざわつく。


この入口の位置。


時間。

そして、斑鳩が消えた状況。

郷山は歯を食いしばる。


「解っているとは思うが斑鳩は、この奥にいる可能性が高い」


「はい……」

南條が一瞬、動きを止めかける。


「大丈夫だ」

郷山は即座に言い切った。

「アイツは、生き延びる。

 あいつは……そういう奴だ」

自分に言い聞かせるような言葉だった。


その時――

ダンジョン入口の奥から、

これまでとは違う、重い咆哮が響いた。

「……来るぞ!」 ベテランワーカーの男が叫ぶ。

新たな影が、闇の中で蠢く。

「全員、警戒を上げろ!」 郷山の声が戦場に響く。

斑鳩孝一が落ちた先。

そして、こちら側。

二つの戦いが、同時に進行していた。


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