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第56話 ボスを倒した後


 狼型の巨体が、ついに地面に伏した。


 下半身はいまだ瓦礫に埋まったまま、胸元が浅く上下するだけだ。


 牙を剥き、喉の奥から低いうなり声を漏らしてはいるが、さっきまでの殺気は完全に消えている。


「……余裕だったわね」


 そう言いながら、瀧山は何事もなかったかのように背負っていた鞄を開き、新しい酒瓶を取り出した。

 栓を抜き、そのまま喉を鳴らして飲み始める。


「ちょっと! こんな時にまた飲むなんて、止めてくださいよ!」


 辻本が声を荒げるが、瀧山はまるで聞いていない。


「はぁ……生き延びた後の一杯は最高よねぇ余裕だったけど、今回はついてて良かった〜」


 そう呟きながら、瀧山は瓶を傾け続ける。

 斑鳩は、その様子を見ながら思った。


(……この人、本当に講師なのか?)


 だが、そんな疑問など意に介さず、瀧山はふいに視線を向けてきた。


「で?」

 酒瓶を振りながら、にやりと笑う。

「斑鳩君。貴方は――だ〜れ?」


「え?」


「だってさぁ、おかしいじゃない」


 瀧山は指を一本立てる。

「弟子みたいな立場だった私の指示に、素直に従うのもおかしいし」


 二本目。

「ワーカー装備の扱い、妙に自然だし」


 三本目。

「それでいて、酔っ払いの私から見ても弱そう」


 そして、四本目を立てかけてから、瓶を口に戻す。

「だからね。納得するまで、私は飲み続けるわよ!」


「いや、飲む理由がおかしいですって……」


 斑鳩は苦笑するしかなかった。

 正直、このまま深く突っ込まれなければ、それでいい気もしていた。


 だが、辻本が一歩前に出る。

「瀧山さん、その辺でいいでしょ」


「……あ?」


「事情は私が説明する。隠し通すのは流石に無理そう。」


 辻本は斑鳩をちらりと見てから、短く要点だけを話した。

 詳しい過去には触れず、「今の斑鳩孝一が、ここにいる理由」だけを。


 瀧山は黙って聞いていたが、やがて肩をすくめる。


「ふーん……」

 そして、もう一口酒を飲む。

「納得は出来ないけど」

 瓶を振りながら、あっさり言った。

「まあ、受け入れるしかないわね」


「……いいんですか、それで」


「いいのいいの」

 瀧山は笑う。


「どうせ今日あったこと、酔っ払ってるから記憶に残らないわ」


 その言葉に、斑鳩は心の底から安堵した。

「それに」

 瀧山は狼型の死骸――いや、すでに霧散し始めている跡を見やる。

「今は生きてることの方が大事でしょ?」


 辻本が深くため息をつく。

「……本当に、この人が講師で大丈夫なのかしら」


「大丈夫よ〜」

 瀧山は陽気に手を振った。

「強いから」

 その一言だけは、妙に説得力があった。

 斑鳩は思う。

 ――常識人じゃない知り合いが、また一人増えたな、と。

 そしてこのダンジョン、これからどうすれば………


ダンジョンコアみたいなのがあるのか?

それともボスだけ倒せば終わりなのか?

入り口にいるらしいモンスター達はどうすれば………


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