第51話 正体を明かす
「ちょっと待って下さい。まだもう1人いるはずなんです。教習所の講師が出勤途中このダンジョンに落ちてしまっているはずなんです。3人になれば、更に勝率は上がる筈です。」
このまま、戦いを始めそうな辻本香織に言う。
「はあぁぁ……なんか変な予感がしたけど、あなたは私が知っている斑鳩君じゃないでしょ?
しかも何か知ってるでしょ?
それに、落ちているはずって何?どういう事なの?」
疑惑の眼差しで、辻本は斑鳩を見つめる。
「………、嘘を付いてもバレそうだし……
解りました。話します。とは言っても、信じられないと思います。後、聞いても他の人には言わないで下さい。出来れば穏便に済ませたいですから」
辻本は、黙ったまま頷く
「大体、あの斑鳩君が私に対してそんな真面目そうに話す理由なんてないし、それに何というか弱くなった?気がするわ」
「弱くなった?確かにそうかもしれません、俺は貴方の知っている『斑鳩孝一』とは違う『斑鳩孝一』です。勿論、名前が同じなだけではなく本人と言えば本人です。」
「ちょっと待って、どっちなの?ちょっとそんな遠回しな言い方しないでハッキリ言って!」
斑鳩は強い口調で問い詰められる。
「簡単に言うと、他の世界の『斑鳩孝一』です。元からいた『斑鳩孝一』は自分のいた世界に行きました。元からいた世界が、入れ替わった感じです。」
「益々解らないわ、貴方は別の世界から来たって事?そして元からいた貴方と入れ替わったと言うこと?」
「そんな感じです。元からいた『斑鳩孝一』はあっちで幸せな日常を過ごしているらしいです。
なんたって、自分が元からいた世界には、モンスターもハグレも、もちろんダンジョンなんて無かったので……」
そこから、斑鳩は今まで起きた出来事を話した。
「そうなんだ………ブラック企業で過労死………働き過ぎて過労死………可哀想………
それで、こっちに居た『斑鳩孝一』君は毎回、戦い続けて結局死ぬ運命………
死ぬ運命から逃れようと、強くなる為にあの無謀なダンジョン探索………
えっ!ってことは、見た目私と同じ位なのに実年齢加算したら70近く?」
「ま……まあそんな感じですね。精神年齢も若返らせて貰っているので、経験だけある20代って感じです。
っといっても、平和な世界にいたのでモンスターやハグレと戦う経験は無いので、役には立ちませんが……」
「そっか〜貴方も大変だったのね〜、でも元からいた『斑鳩孝一』君、彼は悪く言えば脳筋系だったのに、こんな感じなのはなんか不思議〜」
しみじみ、辻本さんが語っている。ここを出られたら、元から居た自分の話しでも聞いてみよ………
「でもその『神っぽい存在』って、何なんだろ?私の神託スキルもその人?がやってるのよね?」
「そんな感じで話していましたよ。神託スキル持ちに伝えておいた。みたいな感じで言ってたから、可能性は高いですね。」
落下中に、あの世界に呼ばれたので記憶が怪しいがこの件に関しては間違ってないはずだ
「ここを出たら、キャシーちゃんだった?今度念話が飛ばせるハムスターちゃんに会わせてね。」
「はい!1人で全てを抱え込むのも大変だったので、仲間みたいなもんですし」
「仲間になるかどうかは、先ずはここのダンジョンボスを倒して、ダンジョンを潰してからね。
そう、それと今の話は他の人に話したりしたの?それと、もう1人の落ちている筈の講師にも内緒?」
「はい、講師には内緒でお願いします。あの人達は公務員みたいな感じで、秘密とか出来なさそうだから、下手に話してしまうとどうなるか解らないから」
「解ったわ、取り敢えず今はもう1人落ちてるって言われてる講師を探しましょ、無事だといいけど………」
2人で、モンスターがいるダンジョン内にいるであろう瀧山講師を探す事になった。




