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第22話 魔石を渡す方法


神っぽい存在が、ふっと目の前に現れた。

「さて、前に話した魔石の件だが──どうやら明日から、お前も魔石を手に入れられるようだな。」

唐突な言葉に、孝一は目を瞬かせる。

「えっ、解体はするらしいですけど……魔石が貰えるかどうかまでは知らないですよ?」

「……そうなのか?」

神っぽい存在は、少しだけ首を傾げた。

どうやら“貰える前提”で見ていたらしい。

「まあ良い。いずれにしろ魔石を渡す方法は考えておいた。明日の夜には準備が整うはずだ。」

準備──と言われても、どういう意味なのかよく分からない。

ただ、この存在が言う“準備”は大抵ろくでもない(あるいは理解を超えている)。

考えても仕方ない、と孝一は思った。

ふと気になった疑問を口にする。

「……その、魔石を献上したら、この世界……本当にいい方向に向かうんですか?」

神っぽい存在は、妙にあっさりと言い放った。

「焼け石に水だな!」

「えぇぇ!?」

断言すぎて逆に清々しい。

世界が良くなるのかと期待した自分が馬鹿みたいだ。

だがすぐに、スキルも強化してもらえると聞いた事を思い出し、気持ちを切り替える。

「……まあ、スキルが強くなるなら頑張ります。」

「うむ、期待しているぞ。」

そんな会話をしているうちに、いつの間にか意識が薄れ──

目を開けると、朝になっていた。


さっきのは何だったんだ? と、布団の中で孝一はぼんやり考える。

神っぽい存在が、魔石は“焼け石に水”と言った意味もよく分からない。

世界が良くなるわけでもないのに、本当に魔石をいるのか?

……まあ、スキルをくれるとは言っていたし、渡すつもりではいるけど。

(いったい俺に何をさせたいんだ……?)

そう思う一方で、あの神っぽい存在が少なくとも敵ではないことは分かっている。

転生もさせてもらったし、スキルもくれた。

不器用ではあるが、手助けはしてくれている。

「……まあ、考えても分かんないし。期待だけして頑張るか」

そう自分に言い聞かせて布団から起き上がる。

朝の空気はひんやりしていて、思考を少しだけスッキリさせてくれた。

洗面所で顔を洗い、歯を磨き、身支度を整える。

(解体……大丈夫かな……いや、やるしかない)

気持ちを切り替え、ワーカー養成所へと向かうために家を出た。

今日も長い一日が始まる。



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