第一章
「あなたのスキルは……」
女神はそこで言葉を止め、完全に固まってしまった。
え、早く教えてよ? 俺は少しワクワクしながら女神の表情を見ようと目を細めた。
――バチンッ!
次の瞬間、もう片方の頬にも真っ赤な手形が刻まれた。けっこう痛いんですけど、この女神のビンタ。
「わ、私をじっと見ないでくださいっ!」
さっきとはまるで別人のような声で女神が叫ぶ。
「汚れてるっ……あまりにも汚れてるわっ!」
目の前の女神は怒りで足を踏み鳴らした。
「私は清らかで正義を司る女神として、何年も何年も真面目に働いてきたの! 善良で正しい魂を導き、天界に光をもたらすために努力してきたのに! それなのに、今日こんな煩悩まみれの人間に出会うなんて! 地獄に落ちるべき変態!」
ああ……また黒化モードの女神様が戻ってきた。しかも前より悪化してる。
「まあまあ、別にいいじゃないか。そういうのも神聖で純粋な行為じゃないか?」
床に転がっていた女神のスマホ(?)から、主神の軽い声が聞こえてきた。
やばい、この冗談は命取りだ。殺されるかもしれない。
「そ、そんなことが神聖ですってぇ!? 信じられないっ!」
黒化女神は怒りすぎて舌がもつれている。
ていうか、俺のスキルって一体どんなもんなんだよ……。まさか、エロゲの内容でも思い出したから怒ってるとか? いや、ほんと申し訳ない。
「何が悪いんだ? 今、人間界――特に日本では少子化が深刻だろう? 実は天界でももう何百年も神族の赤ん坊が生まれていないのだ! 彼のスキルは根本的な解決策なのだよ! 人類どころか、宇宙全体を救う偉大なスキルなのだ! ほっほっほっほ!」
主神の笑い声が妙にいやらしい。
案の定、黒化女神はスマホをサンドバッグのように振り回し始めた。
しかし、神界のスマホって頑丈だな。滅亡した人類の「ノ○アキ」社の技術を超えてるぞ。
「それにちゃんと保険もある。眼鏡をかけている間はスキルが発動しないのだ。」
空中を飛ぶスマホから再び主神の声が聞こえる。
直後、女神は手をひらりと動かし、俺の顔に眼鏡を出現させた。
おおっ、ようやく視界が戻った!
「えっと……渡辺直人さん、さっきのことは、なかったことにしてくれませんか?」
女神は営業スマイルを浮かべているが、こめかみの血管がピクピクしてる。
いや、忘れられるわけないでしょ? こんなインパクトのある出来事。
「大丈夫。忘れられないなら、私が神力で忘れさせてあげますから♪」
笑顔が徐々に歪んでいく。こわっ。
「い、いや……努力して忘れます。だって、こんな可愛い女神様に人生初の膝枕までしてもらったんだし……」
そう、忘れるなんて無理だ。あの感覚はきっと魂に刻まれた。どうか理解してくれ、二十八歳童貞のささやかな願いを。
「渡辺直人さんって、優しい人なのね。」
女神ベルナはようやく表情を和らげた。
「最後にひとつだけお願い。異世界へ行っても、できるだけスキルを使わないでくださいね?」
なんだその念押し。ますます気になるんだけど。
「じゃあ、スキルって一体何なんですか?」
「それはね……超絶神級スキル! 天界の希望だよ〜!」
スマホの隅から主神の声がまた響く。
ベルナ女神は無言でスマホの前まで歩くと、裸足のまま思いっきり踏みつけた。
一回、二回、三回――まったく痛がる様子もなく、怒りのまま踏みつけ続ける。
この光景、なんか某マルチヘッド騎士の外伝で見たような……。
「相手をじっと見つめるだけで妊娠させるスキル! 私が審判業をやってきた中で見た、最っ低のスキルよ!」
女神が怒鳴り声を上げる。やっぱ神様でも情緒ぶっ壊れることあるんだな……。
女神は俺に背を向け、どこからか鏡のようなものを取り出し、ぱっと顔を整えると、再び“仕事モード”の笑顔に戻った。
でも、やっぱちょっと怖い。
「お願いです、渡辺直人さん。異世界に行っても、そのスキルだけは使わないでください! この“眼鏡”を、絶対に外さないで! いいですね?」
う、うん、わかりました。外したら確実に殺されるやつだ。
「そんなバカな! 私が与えた神技を使わないなんてあり得ん! 使わないなら、私が干渉してでも異世界に“愛と希望の花”を咲かせてやるぞ〜!」
地面のスマホから主神の声がまた聞こえる。主神様、お願いだからもう黙ってて……!
俺は恐る恐るベルナ女神を見る。
高貴で純粋で、そして恐ろしく怒っている審判の女神ベルナ様。お願い、落ち着いてください!
彼女はニコニコ笑いながら俺の顔を両手で掴んだ。その笑みが、どんどん怖くなっていく。
「決めました。」
ベルナ女神は壁際で無傷のスマホに向かって言った。
「この人間と一緒に行きます。あなたの邪悪な干渉から、あの世界の女性たちを守るために! 彼の命が尽きるその時まで、私は帰りません!」
「ま、待てベルナ! 正気か!? 天界の仕事はどうする!? 新しい魂は誰が導く!?」
ついに主神の方が慌て始めたが、明らかに演技くさい。
「ご存じでしょう? 人間の寿命を勝手に削るのは、天界で最大の禁忌だということを!」
女神は俺の頭をわし掴みにしたまま、スマホの前にズカズカと歩み寄る。
「だから、この件は“見なかったこと”にしてくれるわよね――父上?」
ベルナの口元が冷たく歪む。スマホの向こうから、主神の芝居じみた泣き声が響いた。
……一生、いや、来世でも忘れられない光景だった。
「では――この未熟な小娘ですが、今日からどうぞよろしくお願いしますね、渡辺さん。」
女神は俺の頭をそっと離し、くるりと振り向いて微笑んだ。
……ま、待て、これって完全に「結婚式当日の台詞」じゃないか!?
幸福と二人きりの空気に満ちたあの言葉が、俺の夢に何度も出てきた“それ”が、よりによって女神の口から出たんだ!
嬉しすぎて泣きそう……なのに、全身が冷や汗まみれだ。
まさか俺、巨大なトラブルを抱えて異世界に行くことになったんじゃ……?
でも、転生できるならあの女神様に“予言”されたような悲惨な人生は、もう味わわずに済むかもしれない。
父さん、母さん、ごめんなさい。
ニートな息子は、もう実家でご飯を食べ散らかすことはありません。
今からこの女神に強制連行されて、異世界に行ってきます。
お元気で。
――目を開けると、一面の草原が広がっていた。
これが……異世界?
思ったより地球と変わらないけど、こういう景色、日本じゃなかなか見られないよな。
そう、日本は今や都市開発率七〇%を超える時代。
こんな原始的な風景なんて、ほとんど残ってない。
でも、こんな場所で引きこもりの俺が生きていけるのか?
体力なんて高校生以下だぞ? もう四、五年走ってないし。
「渡辺さん? どうかしましたか?」
隣からベルナ女神の声がして、俺は思わずビクッとした。
そう、俺はこの女神様と一緒に異世界へ来てしまったのだ。
彼女曰く、「あなた一人じゃ心配だから」とのこと。
「いや、ただ……この世界でどう生きていこうかって考えてただけだよ。でもさ、見てよ。周りに何もないじゃん?」
そう、こんな荒野でできることなんて限られてる。
せめてRPGみたいに、近くに町とか宿場町があればいいんだけど。
「一番近い町なら……ここから十八キロほどの距離ですね。」
じゅ、十八キロ!?
ってことは一八〇〇〇メートルだぞ!? 一歩が五〇センチとすると……三万歩!?
一日で歩き切れるかよ!?
俺なんてコミケ会場か秋葉原行くくらいしか歩いたことないのに。
しかもそのほとんどは電車のおかげだ。
そして今、この世界ではすでに夕暮れが近づいている。
まさか異世界一日目から野宿コース?
しかも全裸――じゃないけど、ほぼ無装備状態。
……そういえば、他の連中はどうなったんだろ。
小学生くらいの子もいれば、おじさんもいたはずだ。
いきなりこんな環境に放り出されて、生きていけるのか? ちょっと心配だな。
「あなたは特別なんですよ。」
問いかけると、ベルナは淡々と説明を始めた。
「彼らの中には、記憶を持ったまま転生して、裕福な家庭に生まれる者もいます。
あるいは召喚儀式によって、神聖な教会や王宮に“勇者”として出現する者も。」
なるほど、少し安心した。
……あの高橋玲奈って子にも、また会えたりするのかな?
前にちょっと話しかけてくれた子だ。
「その確率は低いですね。天界が繋がっている異世界は数千以上ありますから。同じ世界に行く確率は数百分の一ですよ。」
まだ何も聞いてないのに、淡々と返すベルナ。ほんと、読心能力でもあるんじゃないか。
「そ、そうですか……。で、なんで俺だけ荒野に放り込まれたんです? いくら女神様が一緒でも、ちょっと不便すぎますよ。
たとえば――晩ごはん、どうするんです?」
俺は根っからのスーパー引きこもり、
家からコンビニまで数百メートルが限界。
スマホもネットもなくなって、これからの人生、真っ白なんですけど。
「はぁ? 私は女神ですよ? いきなり召喚の聖堂に現れたら、大混乱になるでしょう?」
ベルナはまるでバカを見るような顔で言う。
「それとも、あなたと一緒に赤ん坊として転生して、普通の家庭に現れればよかったですか?」
……この女神様、最初は優しそうだと思ってたのに、なんか幻滅した。
「安心してください。今回あなたが来たのは、比較的平和で安定した世界です。
私はあなたの人生のうち数十年だけ付き添うだけですから、すぐに終わりますよ。」
ベルナは腰に手を当て、すっかり“天界の神々しさゼロ”の姿勢で言い放った。
いや、その言い方、ちょっと傷つくんだけど……。
もう少し夢を見させてくれよ、女神様。
そのときだった。
背後から、耳をつんざくような轟音が響いた。
まるで昔観たホラー映画に出てくる巨大な人型生物の咆哮みたいだ。
振り返ると、平らだった草原の地面が盛り上がり、そこから正体不明の巨大生物が飛び出してきた。
五つの頭を持ち、口は血のように赤く裂け、体はゴリラのように筋肉質。
でも尻尾と四肢はライオンのようで――何というか、まさに化け物のフルコースだった。
この荒野の草は俺の膝下くらいまで伸びているが、遠くから見るその怪物は、まるで平地を歩くように一歩ごとに地面を踏み鳴らしている。
ヤバい。これはマズい。
俺は反射的にベルナの手をつかみ、前へ走り出した。
「ちょ、ちょっと待って! 何を――」
説明してる場合じゃない! 聞こえなかったのか!?
あの怪物が……!
「モンスターが来る! 食われるぞ!」
あんなサイズじゃ、俺なんか前菜にもならんだろうけど!
「ま、待って、私は――」
後ろを振り返ると、ベルナの白い長いドレスが草でズタズタになっていた。
裾からのぞくのは、素足。
……俺、バカだな。
こんな草の中を裸足で歩いたら、絶対痛いに決まってるじゃないか。
女神様のあの綺麗な足が傷つくなんて――そう思った瞬間、罪悪感がこみ上げた。
気づけば、俺は彼女を抱き上げていた。
重さは……米袋十袋分くらい?(※一袋約五キロ)
そんなこと考えてる場合じゃない! とにかく走れ!
……いや待て、俺、引きこもり歴数年のアラサー男だぞ!?
一日中イスに座ってた人間が、急に走れるわけないだろ!
百メートル、二百、三百……もう限界。
腕の中の女神は柔らかくて、滑らかで、いい匂いがして――って、そんな場合じゃない!
足がもつれて転んだ瞬間、反射的に身体をひねり、ベルナを地面にぶつけないように後頭部から着地した。
ゴンッ!
「渡辺さん、目を開けて!」
頭が何か柔らかいものに支えられた感覚がする。
でも、脚の感覚がない。息も苦しい。
死ぬ……死ぬかもしれない……。
耳の奥で轟音が近づく。
このままじゃ、疲労死するか、踏み潰されるかだ。
腰から下は鉛のように動かない。
必死に手を伸ばすと、何か柔らかくて温かいものをつかんだ。
インド綿みたいな布越しに伝わる感触――
……で、でかい。しかも柔らかい。手のひらに収まりきらない。
え、まさか……お、おっぱい!?
そう思った瞬間、俺の頬に再び真っ赤な手形が追加された。
はい、今の俺、完全に意識あります。
我に返ると、ベルナはのんびりとあの巨大な怪物の方へ歩いていくところだった。
おいおいおい、何やってんだ!?
「逃げろ! 俺のことはいいから!」
叫んだ声は、もはや喉が裂けそうだった。
でもベルナは、まるで聞こえないかのようにそのまま進んでいく。
たしかにちょっと変わった女神だけど、あんなに綺麗な子が、
あの怪物に食われるなんて……嫌だ。
けど、身体が動かない。
その一声が、俺の最後の力だった。
視界の中でベルナの姿はどんどん小さくなり、
ついには怪物の足の指と同じくらいの大きさになった。
――終わった。
そう思った瞬間、怪物が膨らんだ風船みたいにパーンと破裂し、
空へと舞い上がっていった。
夜空の星のようにキラキラと輝いて――いや、まだ日が沈む前なのに。
……まさか、あの女神、こんなに強かったのか。
暴力方面で。
天界でのあのビンタも、ぜったい本気じゃなかったな。
あの時もし本気だったら、俺もう粉々だったかも。
しばらくして、ベルナがふわりと戻ってきた。
額の血管が浮き出ていて、右手からは煙が上がっている。
その表情、めっちゃ怖いんだけど!?
「な、なにがあったんですか、あのモンスター……?」
「もちろん、“物理的手段”で別の世界に送ってやったわ。」
ベルナはパンパンと手を払い、ふうっとため息をついた。
「まったく……あの世界にあんな魔獣が出るなんてあり得ない。きっと、あのバカ親父の仕業ね。」
……あの親父って、主神様のことですよね?
いや、それあなたの父上では?
いきなり「バカ親父」呼ばわりって、天界の上下関係どうなってんの。
でもまあ、主神様ありがとう。
人生初の“女の子との接触”が、まさか女神で、しかも手も胸も……。
俺、この感触を魂に刻んで一生忘れない。
「もちろん、あなたも共犯よ?」
ベルナの口元がゆっくり吊り上がり、黒化モードの冷笑を浮かべた。
そして両手で俺の頭をつかみ、ぐりぐりと揉みつぶすように――
……あれ、痛くない。むしろ気持ちいい?
もしかして俺、Mに目覚めた?
いや、それでも、こんな女神に頭を撫でられるの、悪くないかも。
父さんですら俺を叩いたことないのに……。
正直に言うと――もしこのまま女神と二人きりで暮らせるなら、それも悪くない。
そしていつか、彼女の腕の中で、
俺にそっくりな赤ん坊を抱く姿を想像してしまう。
垂れ気味の眉、優しく閉じた瞼、穏やかな微笑み。
そう――俺が転移前に遊んでたあのギャルゲーのCGみたいに。
まだ若く、美しく、母性に満ちた女の子が見せる、あの幸福の笑顔。
もちろん、そんな都合のいい話があるわけない。
現実は――俺が女神様におんぶされて、まるで負傷兵みたいに運ばれていた。
……うん、恥ずかしい。
でも、幸せ。
靴を脱いでベルナに履かせようと提案してみたけど、即座に断られた。
どうやら彼女は傷つくことも、疲れることもないらしい。
しかも力がとんでもなく強い。
やっぱり女神の身体ってすごい。
俺みたいなニートとは大違いだ。
厚手のローブ越しでも、背中から伝わる体温がわかる。
そして――その美しいうなじ。
そういえばネットで読んだことがある。
「女性が好きな男性にだけうなじを見せる仕草は、最も魅力的な動作の一つ」だって。
……そう思うと、俺、めちゃくちゃ幸運じゃない?
金色の髪からふわっと香る甘い匂い。
二十八歳童貞には刺激が強すぎる……。
だめだ、他のこと考えよう。
こんな妄想、女神様に対して失礼すぎる。
ベルナの歩みは速かった。いや、速すぎた。
マラソンのトップランナー並みのペースで進んでいく。
(俺、秋葉原でマラソン大会を見たことあるけど、あれより速いぞ……)
気づけば、目の前には巨大な中世風の城門がそびえていた。
空には大きな月――黄色と白が混じった丸い月が高く昇り、
その周りには、他の色をした球体まで浮かんでいる。
「……これが、異世界か。」
思わずため息のように感嘆が漏れた。
でも、あれ? 俺たちが来たとき、まだ昼だったはず。
あの荒野から、どれくらい時間が経ったんだ……?
まあいい。野宿よりはマシだ。
とりあえず街に入れれば――
……と思ったら、門が閉まってる。
しかも城壁の上にも人影がない。
ベルナが俺を下ろして、トントンと扉を叩いた。
……反応なし。
数分待ってから、今度はさっきの倍くらいの力でドンドンと叩く。
それでも沈黙。
門は新品同然で、廃墟って感じでもない。
中からは灯りが見えるのに、なんで誰も出てこないんだ?
――ヤバい。
このままじゃベルナがまた暴走モードに入る……。
「うるさい! 門限を知らないのか? 六時を過ぎたら誰も入れねぇんだよ!」
城壁の上から、酒臭そうな兵士の顔がぬっと出てきた。
見るからに機嫌が悪そうだ。
「おお? なんだ、すっげぇ美人じゃねぇか」
は? 今なんて言った?
真っ暗でもここまで見えるのかこの酔っ払い。
「夜、俺の相手してくれるなら……開けてやってもいいぜぇ?」
――終わった。
未来が見えた。
この男、確実に宇宙の彼方まで吹っ飛ばされる運命だ。
ベルナの横顔にはすでに冷笑が浮かび、額には暗雲が立ちこめていた。
彼女は静かに城門へ拳を突き出した。
音は――しなかった。
だが、次の瞬間、頑丈そうだった門が粉々に砕け、
まるで砂のように地面に崩れ落ちた。
門の向こうにいた兵士たちは腰を抜かし、
誰一人として声を出せない。
ベルナは何事もなかったようにくるりと戻り、
俺の頭をわしっと掴んで、そのまま街の中へ突っ走った。
えっ、頭!? なんで頭を掴むの!?
慌てて彼女の腕をつかむと、ようやく手を放してくれた。
代わりに――そっと俺の手を握ってきた。
……柔らかい。温かい。
あの怪力女神の手とは思えないほど、優しい感触。
その瞬間、ベルナの怒気がふっと消えた。
やっぱり女神様だ。
一般人に危害を加えるようなことはしない。
――たぶん。
でも、あの城門……どうするんだ?
俺、関係ないからな!?
全部あの酔っ払い兵士の自業自得だからな!?




