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『異世界ほいくえん』~この世界に、こどもがいるかぎり~  作者: 4MB!T
第2章「みつかる こたえ、ひらく こころ」
39/51

第39話 とおくの ともだち

 ある日の午前。


 魔導局から、小さな筒状の便が園に届いた。


「これ、なに?」「くるくるしてる!」


「差出人は……冒険者支援村『アルメリアの丘』。

 以前、園でお世話した冒険者の紹介で、子どもたちからの手紙が届いたようです」


 シーが読み上げた。




 便の中には──

 手紙と絵、そして小さな木の実が入っていた。




 こんにちは、わたしたちはアルメリアの村のこどもたちです。 ゆかりせんせいのところの園のおはなしを、あの人からききました。


 わたしたちのところには、保育園はないけど、いっしょにすごすところがあります。 そこでは、みんなでどうぶつのせわをしたり、畑をしたりしています。


 おなじように、なにかを“つくっている”気がして、うれしくて、てがみをおくりました。 これは、このまえひろった“しあわせのみ”です。 みんなのところにも、たくさんしあわせがとどきますように。


 読み終えたあとの保育室には、あたたかい沈黙が流れていた。


「……ほかのところにも、“こどもたち”がいるんだ」

 イーリスがぽつりとつぶやく。


「ちょっと遠いけど、“ともだち”って言ってもいいのかな」

 ポルカがそっと言った。




「お返事、かこう!」


 トトラが立ち上がり、みんなの気持ちがひとつになった。




 *


 午後は“とおくのともだちにおくる”じかん。


 シェムは、図形パズルの簡単な作り方をイラストにした。


 ルウは、風で飛ばせる紙の遊び道具を考えた。


 ミィナは、小さなあかりを描いて「夜にみてね」とそえた。


 ポルカは、みんなの似顔絵をかいた。


 トトラは、「またあそぼうぜ!」とでっかい字で書いた。


 イーリスは、園の旗のまんなかの“手”をまるごと写して「つながるしるし」とした。




 絵と手紙を束ね、シーが丁寧に封をした。


「この手紙は、風にのって、とおくのともだちへ向かいます。

 時間はかかるけど、ちゃんと届きます」




 *


 その夜の記録には、ゆかりのこんな言葉が記された。


 自分のことを、遠くの誰かに伝えたい。

 知らない誰かに、なにかを届けたい。


 その気持ちは、想像力のはじまりであり、共感の芽。


 子どもたちは、今日また、世界をすこし広げた。

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