第39話 とおくの ともだち
ある日の午前。
魔導局から、小さな筒状の便が園に届いた。
「これ、なに?」「くるくるしてる!」
「差出人は……冒険者支援村『アルメリアの丘』。
以前、園でお世話した冒険者の紹介で、子どもたちからの手紙が届いたようです」
シーが読み上げた。
便の中には──
手紙と絵、そして小さな木の実が入っていた。
こんにちは、わたしたちはアルメリアの村のこどもたちです。 ゆかりせんせいのところの園のおはなしを、あの人からききました。
わたしたちのところには、保育園はないけど、いっしょにすごすところがあります。 そこでは、みんなでどうぶつのせわをしたり、畑をしたりしています。
おなじように、なにかを“つくっている”気がして、うれしくて、てがみをおくりました。 これは、このまえひろった“しあわせのみ”です。 みんなのところにも、たくさんしあわせがとどきますように。
読み終えたあとの保育室には、あたたかい沈黙が流れていた。
「……ほかのところにも、“こどもたち”がいるんだ」
イーリスがぽつりとつぶやく。
「ちょっと遠いけど、“ともだち”って言ってもいいのかな」
ポルカがそっと言った。
「お返事、かこう!」
トトラが立ち上がり、みんなの気持ちがひとつになった。
*
午後は“とおくのともだちにおくる”じかん。
シェムは、図形パズルの簡単な作り方をイラストにした。
ルウは、風で飛ばせる紙の遊び道具を考えた。
ミィナは、小さなあかりを描いて「夜にみてね」とそえた。
ポルカは、みんなの似顔絵をかいた。
トトラは、「またあそぼうぜ!」とでっかい字で書いた。
イーリスは、園の旗のまんなかの“手”をまるごと写して「つながるしるし」とした。
絵と手紙を束ね、シーが丁寧に封をした。
「この手紙は、風にのって、とおくのともだちへ向かいます。
時間はかかるけど、ちゃんと届きます」
*
その夜の記録には、ゆかりのこんな言葉が記された。
自分のことを、遠くの誰かに伝えたい。
知らない誰かに、なにかを届けたい。
その気持ちは、想像力のはじまりであり、共感の芽。
子どもたちは、今日また、世界をすこし広げた。




