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『異世界ほいくえん』~この世界に、こどもがいるかぎり~  作者: 4MB!T
第2章「みつかる こたえ、ひらく こころ」
35/51

第35話 ちいさな ふゆまつり

「せんせい、きょうは なにするの?」


 トトラが聞くと、サリアが笑顔で答えた。


「今日は“ふゆまつり”よ。──園だけの、ちいさなおまつり」


「ふゆまつり?」


「うん、寒い日にも、あったかくなれるように。

 手でつくって、こころで楽しむおまつり」




 *


 午前中、子どもたちは**“ひかりのつつ”づくり**に挑戦した。


 透明な小瓶や紙筒に、好きな色の紙や布、貝殻、きらきらの粉をつめていく。

 最後に、シーが安全な魔導光を内部に灯して、小さなランタンができあがる。


「ほら、ひかってる!」


「この色、うみのなかみたい……」

「おれのは、ほのおのしっぽ!」

「ちっちゃいけど、あったかいね」




 午後、日が傾く頃──


 園庭に手づくりの灯りがぽつぽつと並べられた。

 地面には葉っぱのじゅうたん、空はうす紫。


 イーリスがつぶやく。


「ここ、うみににてる。くらくて、でも、ひかりがある」




 サリアがあたたかいスープを配り、

 ミュリエルは手まわしの楽器をゆっくり鳴らす。


 トトラとルウは、焚き火を囲んで踊りはじめ、

 ポルカは目を閉じて、そっと両手をあわせた。




「せんせい、ふゆって──さみしくないかも」

 ミィナがぽつりと言う。


「うん。だれかといっしょに、ひかりを見てたら、ちょっとあったかい」

 シェムがうなずいた。




 *


 その夜、園にはふしぎなくらいの静けさが満ちていた。

 灯りはやさしくゆれて、誰もがほっとする時間が流れていた。


 ハナエさんが、木のそばでつぶやく。


「さむさのなかに、ぬくもりを灯す。──それは、ちいさな者たちの、たいした力じゃよ」




 *


 ゆかりの記録帳には、サリアの文字でこう記されていた:


 冬は、光のありがたさを知る季節。

 子どもたちが自分でつくった灯りは、

 “自分たちの力で あたたかくなれる”という証。


 さむさのなかで寄りそうことが、保育のまんなかにあるのだと思う。

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