第35話 ちいさな ふゆまつり
「せんせい、きょうは なにするの?」
トトラが聞くと、サリアが笑顔で答えた。
「今日は“ふゆまつり”よ。──園だけの、ちいさなおまつり」
「ふゆまつり?」
「うん、寒い日にも、あったかくなれるように。
手でつくって、こころで楽しむおまつり」
*
午前中、子どもたちは**“ひかりのつつ”づくり**に挑戦した。
透明な小瓶や紙筒に、好きな色の紙や布、貝殻、きらきらの粉をつめていく。
最後に、シーが安全な魔導光を内部に灯して、小さなランタンができあがる。
「ほら、ひかってる!」
「この色、うみのなかみたい……」
「おれのは、ほのおのしっぽ!」
「ちっちゃいけど、あったかいね」
午後、日が傾く頃──
園庭に手づくりの灯りがぽつぽつと並べられた。
地面には葉っぱのじゅうたん、空はうす紫。
イーリスがつぶやく。
「ここ、うみににてる。くらくて、でも、ひかりがある」
サリアがあたたかいスープを配り、
ミュリエルは手まわしの楽器をゆっくり鳴らす。
トトラとルウは、焚き火を囲んで踊りはじめ、
ポルカは目を閉じて、そっと両手をあわせた。
「せんせい、ふゆって──さみしくないかも」
ミィナがぽつりと言う。
「うん。だれかといっしょに、ひかりを見てたら、ちょっとあったかい」
シェムがうなずいた。
*
その夜、園にはふしぎなくらいの静けさが満ちていた。
灯りはやさしくゆれて、誰もがほっとする時間が流れていた。
ハナエさんが、木のそばでつぶやく。
「さむさのなかに、ぬくもりを灯す。──それは、ちいさな者たちの、たいした力じゃよ」
*
ゆかりの記録帳には、サリアの文字でこう記されていた:
冬は、光のありがたさを知る季節。
子どもたちが自分でつくった灯りは、
“自分たちの力で あたたかくなれる”という証。
さむさのなかで寄りそうことが、保育のまんなかにあるのだと思う。




