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『異世界ほいくえん』~この世界に、こどもがいるかぎり~  作者: 4MB!T
第2章「みつかる こたえ、ひらく こころ」
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第28話 トトラ、うそをつく

ある日の午後。


工作の時間、トトラがみんなに見せたのは、光る小さなかけら。


「これ、ドラゴンのうろこ! このまえのまちあるきで、見つけたんだ!」


子どもたちは一斉に目を輝かせた。


「ほんと!?」「さわっていい?」「すごい……」


ミィナも思わず前のめりになり、ポルカはおそるおそる手を伸ばす。


でも──それは、見覚えのある装飾素材だった。


イーリスがぽつりと言う。


「それ……園の引き出しに入ってた、キラのかけらじゃない?」


 


空気がぴたりと止まる。


トトラは目を泳がせながら、声を荒げた。


「ちがうよ! おれのなんだ、ほんとにまちで拾ったんだ!」


ミィナの手の先がすっと止まった。

ポルカが一歩引き、シェムが目を伏せた。


 


その日の夕方、トトラは園のすみで一人、しゃがんでいた。

しっぽはぐったりと垂れ、爪先が泥に沈んでいた。


その背後に──ぽそぽそ、と静かな足音。


「……うそをついた子を、すぐに叱るべきかのう」


フクロウ獣人のハナエさんが、木陰から現れた。


「こどもは、うそをつく。だがそれは、“本当であってほしい”という願いのこともある」


ゆかりはそっと、隣に座って答えた。


「……たぶん、今日のトトラは、“すごいって言われたかった”んだと思います」


「ふふ……見えぬ未来を想像することは、子の特権。

だがそれを、うそでなく“夢”として、叶えられるよう手伝ってやるのが、おとなの役目じゃよ」


 トトラの夢がなんなのか、良く叶えるためにはどうしたら良いのか、ゆかりはトトラと話し合った。



翌朝。


トトラは、自分で紙を折って作った“あたらしいうろこ”を持ってきた。


ゆかりから話をされたトトラの、新しい選択だった。


「これは、おれがつくった“うそじゃないドラゴンのうろこ”。

……こんなのがあったらいいなって、ほんとに思って、作った」


ポルカがそのうろこを受け取り、にこっと笑った。


「こっちのほうが、すごい」


ミィナもうなずいた。


「うそじゃなくて、“そうだったらいい”って思ったんだね」


シェムが、そっと“すき”のしるしの葉っぱを添えた。


 



ゆかりは記録にこう記した。


子どもの“うそ”の奥には、

認められたい、つながりたい、という気持ちがある。


大人は、うそを否定するより先に、

その“願い”に気づくことができるかどうかが、問われている。

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