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雪女のシュプール  作者: Suzugranpa
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第35話 ひと区切り

 しばらく黙り込んでいたユキは、木を見上げ、そして雪面を眺めた。


 もしかして…。


 ユキは一つの可能性を思いついた。だが人に喋る事じゃない。でも、じゃあ、どうしたら…。


 そんなユキを紗香がじっと見つめている。


 紗香の視線に気がついたユキは、紗香の腕に自分の腕を絡め、小さな声で言った。


「ママ」

「ん?」

「私、もうここには来ないようにする」

「え? なんで?」


 ユキは黙り込む。紗香は自分の腕に伝わって来る僅かな震えを感じた。


 この子、ここで何かを感じているのかも。ひょっとしてパパと心で会話しているのかな。私たちは踏みこんじゃいけないところだ。


 紗香はユキの手を取り、自分の掌で覆った。


「ユキがそう思うならそうするけど…」

「うん。ごめんね。散々大騒ぎして」

「いいのよ。当然だと思う」


 ユキの腕が離れ、拳が握られた。


「代わりにゲレンデをガンガン滑りまくる!」


 瞳にも明かりが灯った。


「そうね。その方がみんなのためにはいいかもね」


 母娘は顔を見合わせて微笑んだ。本当に、13歳のひと区切りだ。


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