表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪女のシュプール  作者: Suzugranpa
26/50

第25話 確かめる

 それからしばらくして、放課後、帰宅しようとしたるなは、昇降口で紗香とばったり出くわした。


「月ちゃん、よね?」


 あ、


「はい、こんにちは」

「今帰り? 雪(ひど)いし送って行くよ」


 外はせっせと雪が降っている。そう言えば、ユキはお母さんが来るからって言って先に教室を出たんだった。


「あの、ユキは?」

「ああ、あの子、人質に置いて来ちゃった」

「人質?」

「そう、卒業式の飾り物を作るからって招集が掛かったんだけどさ、私よりユキの方が上手だから任せて来ちゃったのよ。卒業生の数だけ作るから結構大変なんだけどね」


 あっけらかんと紗香は言う。ユキもなかなか大変だ…。


「有難うございます。じゃ、お言葉に甘えます」

「あはは、やっぱしっかりしてるね、月ちゃんは」

「ええ?」


 丁度いい機会だ。車内で月は、新から聞いた話をこっそり紗香に聞いてみた。


「クラスの宗清君が、ユキは山へお花を探しに行って、それでお母さんが助けに行ったとか言ってるんですけど、本当ですか?」


 水色のXVのステアリングを握りながら、紗香は照れた。


「あー、バレバレなのね、あの子の行動も、私の行動も」

「いえ、宗清君だけです、そんなこと言ってるの」

「そうなの?」

「はい。あたしが思うに、彼はユキのことが好きなんです」

「あらあら」


 赤信号で慎重に停止し、紗香は言った。


「ま、その通りなんだけどね、でもあんまり騒がないであげて欲しいのよ。あの子、秘密にしておきたいみたいだから。いろいろ訳ありでね」


 紗香は月に微笑んだ。


+++


 紗香に送って貰った月は紗香との会話を反芻した。新にはこっそり伝えておこう。推理は当たってるって。


 それにしても、なんでユキはお花なんかを探しているんだろう。どんな訳ありなんだろう。これってあたしが先に探してあげたら超サプライズだよね。バックカントリーなんて行ったことないけど、春休みにちょっと行ってみようかな。月は密かに決意した。


 一方の紗香も考えていた。大騒ぎになる前に決着つけたほうが良さげだ。以前、ユキに話した通り、3月になったら一緒にまた探しに行こう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ