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SYO・TA・JI・JI・I変化

作者: 朝霧

 ショタ爺に告白された。

 正気言って顔は好みだ、しかし見た目はショタだ。

 犯罪臭がする。

 そして中身は爺だった、親どころは祖父母の祖父母よりも長生きしているらしい。

 犯罪臭がする。

 年下扱いするにしても、年上扱いするとしても、親になんて説明すればいい?

 どっちにしろドン引き案件だ。

 そして、そんなに長い時間生きても未だショタという事は、私が婆になった時にも当然ショタのままなのだろう。

 婆になってしまえばいっそほほえましいかもしれないが、中年あたりだとやっぱり犯罪臭がする。

 というわけで、ぺこりと頭を下げて。

 「ごめんなさい」


 やっぱり理想は同世代、同じ時を生きて同じ時に死ねるような人が一番なのです。

 あとそれから、できれば自分よりも背が高くて声の低くて格好いい人がいいよね。

 翌々日、近所の和菓子屋でみたらしだんごを食べていたら、麗しい青年が私の前に立つ。

 すごいというよりもえぐいといったほうがいいくらいの超絶美形だった、何故私の前に立つ。

 ぶっちゃけ顔は好みだった、というか先々日にごめんなさいをしたショタ爺と顔が似ている気がする。

 お兄様だろうか?

 まあいい、私にゃ関係ないと茶を啜るとえぐい美形は私の目の前で跪いた。

 「おぬしの理想の姿になって戻ってきたぞ」って。

 店内見渡し、ジジババ、子連れの主婦の視線を振り払うように、大声でさあ。

 「チェンジチェンジチェンジ、ノーセンキュー!!」


 なんて某歌姫の歌みたいに「ごめんなさい」をして、あゝ散々な目にあったなと深々とため息を。

 もうしばらく男なんてこりごりだ、かわいい女の子と戯れたい。

 自分よりも小さくてかわいくて、目が大きくて鈴のような声の娘と、ほんの一日遊んでみたい。

 なんてコミュ障には無茶な願いをほんの小声で呟いて、さあ今日はお楽しみの水族館だとカメラを握る。

 入場券を購入して、いそいそわくわくと館内に足を踏み入れる。

 踏み入れた先で華奢な美少女が待ち構えていたから、えらいこっちゃ。

 お目々がキュートな美少女は、私の顔を見て、直視した人が気を失いそうなほどの愛らしい笑顔を浮かべる。

 私が二女だったら耐えられなかった、長女だったから何とか耐えた。

 こんな喪女にいったい何の用だと身を竦ませると、美少女は世界最高峰の職人が何十年もかけて作り上げた鈴のような声でこう言った。

 「おぬしの理想の姿になって戻ってきたぞ」って。

 館内を見渡して、カップル、保育士に引率された幼稚園児たちの視線を振り払うように、大声でさあ。

 「なんでさ!?」


 某ゲームの主人公みたいなリアクションの後に「ごめんなさい」をして、なんだって私がこんな目に合わなければならないんだと頭をかきむしる。

 もうしばらく人間なんてこりごりだ、きゃわいいねこたんと戯れたい。

 つやつやふかふかすべすべの、手触り最高で人懐っこい最強最かわのねこたんの肉球をふにふにしつつ腹の毛に顔をうずめてみたい。

 なんて戯言を思いつつ、今日はもう帰ろうととぼとぼ道を歩く。

 曲がり角を曲がると、真っ黒な子猫がちょこんと座っている。

 とっても愛らしいねこたんだった、毛並みもただ見ただけで最上級のものだとわかる。

 黒い子猫は私の足元に歩み寄ってきて、あろうことかすりすりと身体をすり寄せてきた。

 いけるだろうかと恐る恐るその柔らかくふわっふわな身体を撫でてから「ええいままよ!!」と抱き上げてみる。

 子猫はあっけなく抱き上げられた、抵抗もせずにおとなしいままだった。

 思わず顔面崩壊する、マスクをしていなかったらきっと通報されていただろう。

 にやにや笑顔で子猫を自分の顔の前まで抱き上げると、子猫が小さな口を開く。

 「おぬしの理想の姿になって戻ってきたぞ」って。

 道路を見渡して、集団下校の小学生達、どこか不審なロングコートのおっさんの視線を振り払うように、大声でさあ。

 「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」

 なんかのCMみたいな奇声を発しながら、実はこれ夢オチなんじゃなかろうかと思ったけれど、なかなか目は覚めてくれなかった。



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