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最後の日常

毎日投稿していこうと思ってます。

埼玉県にある、そこそこの進学校として名が通っている埼玉県立五文第一高等学校は二時限目の授業を終え、お昼休みを迎えていた。今までの真面目で閑散とした雰囲気はもはやなく、縛られた空間から解放されたかのように雑多な感じが蔓延している。廊下には各教室から高校生が出てきて他クラスの友達と合流したり、購買を目指して走っている生徒も中には見られた。


二年一組の教室に俺、金田義弘は在籍している。教室も廊下と同じようにクラスメイト達によりでごった返していた。その中には俺もいる。いつも一緒に食べている友達の席へ向かっているからだ。俺の友達たちは全員購買組ではなくお弁当組のため、持参したお弁当を手にもっていつもの人たちのところへ向かっている。


「おまたせ」


教室と言ってもそんなに大きいわけではないので数歩歩けば到着する。そうしてたどり着いた先はいつも行動を共にしているやつらの一人、今岡隆の席だ。


「おう、じゃあ食べようぜ」


「あれ、ササは?」


普段三人で食べているのだが、今日は一人足らない。その一人というのが佐々木幸助というやつで、あだ名がササと言い男女ともにクラスのみんなからそう呼ばれている。そのササがいないのに食べ始めるなんてことは普段はしないのだが、なぜか隆は気にせず食べ始めようとしていた。


「あぁ、ササは今日お母さんが寝坊したらしくて購買らしいよ」


「なるほどね」


ササは母子家庭で、母親が学費等を稼ぐために夜遅くまで仕事をしているのでこういうこともあるだろう。それに関してはしょうがないことだと思うので先食べ始めることにした。


そうして隆と二人でくだらない雑談をしているとササがビニール袋を片手にぶら下げて目の前に現れた。


「悪い悪い、遅くなった。あー、腹減ったわ」


そう笑いながら誰かの席から椅子をとってきて着席する。袋から出てきたのは定番ともいえる焼きそばパン二つと野菜ジュースだった。


「ササ、そんなんで足りんの?サッカーできないだろその量じゃ」


俺はササにそう問う。ササと俺はともにサッカー部であり放課後には厳しい練習が待っているため、今ここでかなり食べておかなければおそらくもたないだろう。


「いや、足りないけどさ…。今まじで金ないんだよね」


「ちょっと俺の弁当やろうか?」


「えっ!いいのっ!?まじか、欲しいわっ!!」


そう言って優しさを見せたのは俺でなく、隆のほうだ。俺もサッカー部なだけあってかなりの量を食べなければ体力がすぐになくなってしまう。それに対し隆は帰宅部だ。この後は帰るだけなので少しぐらい我慢しても大したことがないのだろう。


その後は気をよくしたササが隆の弁当を遠慮なく半分くらい食べて引かせたり、他愛もない話をして昼休みが終わった。いつもと変わらない日常だ。いつも通りあまり記憶にも残らない話をし、つまらないことでげらげら笑って時間があっという間に流れていくこの日々。これから先も卒業までずっと続いていくと思っていた。


常々の日々、日常が崩れ去ったのはこのすぐ後だ。三時間目が始まる直前、そこからこのクラスの人間たちの運命が大きく変わる――。

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