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『ものがたり』
たとえば卵が結局のところマルハジキである様に、わたくしは公園で死ぬと思う。
牙。
そうね循環小数の循環節である様な横断歩道は屍蝋を思わせてわたくしは其れを靴で踏んであるいた。
公園には、少年や少女がいて、情愛を発明していたか、または発明しそこねていた。
太陽が路面よりひくく、屍蝋よりひくい位置で神の眼をひらいていた。此れは形而上的、星気的表現ね。博愛はなによりもひくいから。
そうだ、噴水があるせいかな。
牙、みずの牙は硬くならず柔らかいままに軟化され脊梁をぬかれた奴隷みたいに散って、しかも死すら禁じられた生きもの、しかも思考すら禁じられた生きもの、の様に空中に舞っていること。
牙。
それら牙が悲嘆の方向にスイッチをいれて、だからエジプト神話のオシリスが溺死する現場に立ち会っているかにかんじられた。
マルハジキされた。
マルハジキというのは丸剥がれにされた皮膚や、丸溢ぼれしていく緊満の萎縮、といったかんかくを込めた造語だけれど、この、マル、という指小辞は良いよね、肉体性があるから。
つまるとこ、マルハジキやねん。
牙。それから牙。牙や、牙。
其の森。