96.謎の足跡
俺たちは呆然としている人たちを置いて、横をスッと通り抜けて行く。
それに気付いて、彼らも足を進め始めている。
テクテクテクテク
俺たちは周囲を警戒しながら、先ほど来て戻った道を進んでいく。
やはり、こう警戒はしているものの、モンスターは全く出てこないどころか、モンスターの気配も全くしない。
俺の感覚では、この周辺にはモンスターが存在していないものだと思う。
テクテクテクテク
さらに奥へ進み、森の中腹にやってきた。
ダメだ、一向にモンスターが見当たらないぞ。
中腹に入って少し進んでも、全くモンスターと行き当らないのだ。
全く意味が分からない。
何がどうしてこうなっているんだろうか?
これまでは、出来れば出てこないでくれ、行き当たりませんようにって思っていたモンスターだけど、1匹でもいてくれるだけで安心できるから出て来てくれって思うのは、何だか変な感じがする。
仕方ない、もっと先に進むしかないよな・・・。
もうこれじゃあ、斥候じゃなくて本格的に調査をしている形になっている様な気がする。
これはもう、今日の給料と危険地手当の増量を交渉するしかないな。
そう考えながら、スタスタスタスタと森の中腹部分を奥へ奥へと歩いていくのだった。
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バタバタバタバタ
「ヤー!!」
「ドリャー!!」
「オリャー!!」
「おいお前たち、隊列は崩すんじゃないぞ! この調子で進んでいくんだ!! いいな!!」
「了解です!!」
「オラオラオラー!!」
バタバタバタバタ
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スタスタスタスタ
一向にモンスターに出会わない。
中腹だぞここは、おかしすぎる!! と後ろの方で別のおじさんが騒ぎ立てている。
そんなこと誰もが分かっているので、わざわざ騒ぎ立てなくても・・・
そう思いながら俺は進んでいく。
ん?? ちょっと待て、何なんだこれは!?
あまりにも不自然なものを見付け、俺は首をかしげる。
これは・・・足跡??
しかもこんなに大量の足跡って、あまりにもおかしくないか??
この事に気が付いた俺は、先輩たちに報告してみた。
「先輩!! ちょっと下を見てみてください。 こんなに大量の足跡が突然・・・。 何だか不自然すぎやしませんかね?」
「本当だなぁ、よく気が付いたな。 これが一体どんな事態を意味するかは、すまんが俺には分からないな。 ただ、この発見は今のところ、今回の件で唯一のヒントになると思う。 お手柄だぞ後輩くん!!」
良かったよ気が付いて。
このヒントを危うく見逃していたら、恐らくこの後ろに続いてくる他の職員たちも、これと同じような足跡を付けて行くはずだ。
そうすれば、何もなかったことになりかねない。
この先に待ち受ける事態を想定できずに、もしこれが危険につながるようなことだったら、大変なことになってしまっていたからね。
ただ、今回はこの異変に気が付けたので、一旦他の職員を待って、体制を整えるという選択を取ることができた。
何かないかと気にしておいて、本当に良かったよ・・・。
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