95.ソー爺への報告
スタスタスタスタ
俺たちはギルドへ向かって、速足で歩いていく。
どうなっているんだ、何故モンスターがいないのか、俺には分からない。
でも、確実に何かしらが起きた結果であることは間違いないはずだ。
この事態を早く伝えなければ、もしよくない事態だったら取り返しのつかないことになってしまう。
そんなことになってはいけないから!
結局、ギルドに着くまでもモンスターには出くわさなかった。
ソー爺か誰かなら、この事態の真相を知っていないのだろうか。
ギルドへ着いたら、みんなでソー爺にこの事態を報告する。
「ん? なんじゃと!? 今何と言ったのじゃ?」
「ですから、モンスターが消えていたのです。」
「意味が分からぬことを朝っぱら言うでない。」
何で信じてくれないの?
「もう一度聞くぞ、モンスターがなんだって??」
「消えたのです、モンスターが消えたのですよソー爺!」
「うーん・・・。」
考え込みだすソー爺。
俺たちが嘘を言っているんじゃないかと思っているんだろうか?
そうだとしたら、正直酷いよソー爺・・・。
「まあ、そこまで言うのなら、正直意味が分からんが信じよう、うん。」
納得していない感じがガンガンに伝わってくる。
そんな風に思われたって、俺たちはあったことをそのまま伝えているだけだから、どうしようもないんだよな。
「うーん、どうすべきか。 とりあえず今朝、お主らは森のどの辺りまで見てきたんじゃ?」
「浅瀬部分の奥地ですね。 だいたい中腹手前ぐらいまでですかね。」
「うむうむ。 そうかそうか。 分かった分かった。 そうしたらじゃ、それより先は調べておらなんだな?」
「そうですね。」
「では、それより奥も調べてもらえんかのぉ?」
「分かりました、ただ・・・。」
「心配なんじゃろ? 大丈夫じゃ、わしもそこまで過酷なことはしんからのぉ、ちょっと待って居ってくれぬか?」
よかったよかった、何か助け船があるみたいだね。
もし何かあったら、確実に俺は死んでしまうと思うからよかったよ。
しばらくして、ソー爺が帰ってきた。
そして、こう発したのだ。
「よし、お主ら行って来い!」
ちょ、え!?
いやいや、何か無いのかよ?
さっきの期待を返しておくれよ・・・。
そう思い、俺たちがポカンとしていると・・・。
「あ、そうかすまぬすまぬ。 ちゃんと策は取ってあるんじゃよ。 今お主らに待っていてもらった間に、建物内にいた戦えそうなやつらにのぉ、声を掛けて今出撃してもらっていたんじゃ。」
「そ、そうだったんですね。 ちょっとビックリしましたぜ。」
正直最初に言ってもらいたかったよ。
この人こんなに酷い人なの!?って思ってしまったじゃないか。
それを聞いて安心した俺たちは、部屋を出た。
すると、大勢の職員たちがいそいそとドタバタ動き回って、出発の準備をしていた。
ソー爺を、一瞬でも酷い人だと思った自分を叱ってやりたい。
一言声を掛けるだけで、こんなにも沢山の人を動かしてくれていたのか。
俺たちも遅れちゃいれないな!
出て行く他の職員たちに続き、俺たちも再び森に向かって走って行く。
何じゃこれは!?
森に着くと、他の職員たちがモンスターの居ない森に驚いていた。
そりゃそうなるよね、俺たちだって最初は信じられなかったよ。
竜巻でも起きて飛んで行ったのかのように、何にもモンスターがいなかったんだからね。
そうして俺たちの、任務が再開したのだった。
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