61.クォーツと北の森
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「ところで、お主たちは何をしにこんな森の深い場所まで来たんじゃ? もしや、俺たちクォーツ族が人間に何かをして、討伐依頼でも出ているのか・・・?」
そうか、ソンチョーさんたちクォーツは、それに怯えて家に閉じこもってしまっていたんだね。
じゃあ、その心配を晴らしてあげないと。
「いや、そうじゃないんですよ。 なので心配しないでください。 僕たちは、別の森で起きている異常事態の調査のために来ただけなんです。」
「そうかそうか!! それなら良かったんじゃ!! ちなみにだが、その別の森というのは、人間たちの言い方で言うと、北の森のことではないのか?」
自分たちを狩りに来たんじゃないと分かった瞬間、一気に顔が明るくなった。
その会話が聞こえた瞬間、シーンとなって僕たちとソンチョーさんの会話を聞いていた家々からも、喋り声が聞こえてきた。
でも、何だろう、ソンチョーさんは北の森で起きている事態のことを、何か知っているようだぞ。
何を知っているのか聞こうと思ったけれど、それより先にロードさんが聞いたんだ。
「何を知っているんですか? 教えてください!!」
うわぁ、警察か何かが尋問しているかのような聞き方で、ソンチョーさんの肩をグワングワンしているよ。
そんなロードさんに、ソンチョーさんもビックリしちゃってオロオロしちゃってるよ。
「そ、そんな焦らんでも逃げやせんって。」
ソンチョーさんのその言葉に、ロードさんも我に返ったようだ。
「あぁ、何てことを。 すいません! すいません!! すいません!!!」
ああ、今度は謝られ過ぎて、ソンチョーさんがオロオロして困っちゃってるよ。
結局、しばらくその状態が続いたあと、ソンチョーさんがロードさんから解放されて、北の森について教えてくれた。
「北の森はな、俺たちの村の中で2つのグループの者が狩場として使っている場所だったんだよ。」
ほうほう、この村では何人かでグループを作って狩りを行うのか。
あ、なんか普通に納得しちゃってるけど、クォーツってモンスターだったよね。
でも僕の中では、クォーツってモンスターは何だか臆病なモンスターなイメージがあるんだけれど、狩りをするんだね。
続きを聞いてみよう。
「じゃがな、不幸なことにその2つのグループに所属する者が1人ずつ病に罹ってしまったんだよ。」
この世界で病か~、下手したら風邪だけでも死んじゃいそうだよね。
「ただの風邪だったんだが、この世界は医療技術が全然発達していないからなぁ。 前のせか...、あ、まああれじゃ。 なかなか治らんでなぁ、しばらく狩りに行けなかったんだよ。」
何かを言いかけたが気がしたけど、まああんまり気にしないでおこう。
「でも、狩りには行けたんじゃないか? 2グループいたんなら、合同で行ったりとかさ。」
ロードさんがそう聞いたんだけど、確かにそうだね。
「そう思うだろ。 だが、俺らクォーツって少しでも変化があると心配してしまうものでな。 それで、そういう事ができなかったんだよ。」
え、そこまで気弱なのクォーツって!? よくそんなんで狩りなんて出来るよほんと。
「でだが、そんな事だったから、治るまでの間行けなかったんだが、風邪だから感染するだろ。 一緒に行っていた奴らも罹っていた者がいて、結局全員が治るまで、結構掛かったんだよ。」
それはそれは、この世界でしたら大変なことだね。
「で、ほんとに久々に行ったら、モンスターの数よ。 何だあれは!?って感じだったようだぞ。 もう、大量発生レベルに増えていたようだ。 結局ボロボロになって帰ってきたよ。 で、また狩りに行けない状態になったわけだ。」
まさに僕たちが体験したまんまだね。
「で、俺なりに考えてみたんだが、恐らく人間たちも狩りに入らなかったんじゃないかと。 そこのところ、間違っていないかどうか教えてくれんか?」
「その通りだな。 ギルドで調べた結果、誰1人としてしばらく入った記録が無かったぞ。」
ロードさんが答える。
「で、そんな中、こいつら3人が北の森に入ったところ、あなたたちのような目に遭って瀕死の状態で帰ってきたというわけだ。」
ロードさんが、僕たちを示しながら言う。
「ほう、やはりそうだったのか。 それじゃあ、あんなになるわけだ。」
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