176.絶体絶命
ようやく我が家にもマスクが!!
Thank you!!
追いかけて来た2匹のうちの1匹のハイベアーを倒した僕たちは、さっきまで倒れていたもう1匹のハイベアーを倒すべく、先ほどまで倒れていた方向を向いた。
ん? あれ?? さっきまで確かここに??
だが、いくら見てもそこにハイベアーの姿は見当たらなかった。
おかしい、そんなはずは・・・?
「カイト、僕にはハイベアーの姿が見えないんだけど、カイトには見える??」
「いや、俺も見えないな。」
まさか、ハイベアーほどのモンスターが敵前逃亡??
ハイベアーに限っては考えられにくいけれど、あれだけ弱っていたら頭がキレそうなやつだったから無理だと悟ったのかもしれないね。
そう安心したんだけど・・・。
グガァァァァオォォォォォォ!!
「ハルト! 危ない!!」
その2つの叫び声を聞いた直後、僕は振り返ろうとしたんだけど、不意に肩ぐらいの所が突然重くなって、その次に突然熱くなって・・・そしてそして・・・それと同時にとんでもない痛みが肩周辺全体に襲ってきた。
その痛みは強烈で、表現としては汚いけれどキンテキを十回も二十回も受けたかのような、そんなとんでもない痛みだったので、失神して気を失ってしまう寸前になってしまった。
でも何とか最後の最後、気力で気は失わないようにした。
その瞬間見えたのは、カイトが剣を抜き、物凄い剣幕でこちらに走って来る姿だった。
あぁ、これはハイベアーに襲われたんだな。
そんなカイトを見た途端、僕はふと我に返り今起きたことを理解したのだった。
そしてカイトが僕の肩を噛んでいるのかツメで攻撃したのか分からないけれど、そんなハイベアーに対して斬りかかっていくのが、僕の視界にうっすらと見える。
その顔は今まで見たことがないような、怒りであふれた物凄く怖い顔をしていたように見えた。
カイトが次々と斬りかかるのでハイベアーがようやく僕から離れる。
離れた瞬間そこに何もないような、肩が落ちたかのような、そんな感じに軽くなった。
僕はぼんやりする頭を動かしながらちゃんと肩が付いているかを確認しようとする。
でも動かそうとするととんでもない痛みが走る。
だけど僕はその痛みに抗って首を動かして肩を見る。
ふぅ~良かった。 こんなことを言うのも変かもしれないけれど、肩は無事に付いていた。
いや、どう見ても無事じゃないけれど、ちゃんとそこに肩は付いていた。
でも、その方の様子は悲惨そのものだ。
どうやらツメでやられたらしくて、くっきりと5本のツメで抉られた痕ができていて、そこからは赤い血がダラダラと地面に向かって垂れ流れていた・・・。
だけど、僕の意識が耐えられたのはそこまでだ。
僕はそこで限界がきて気を失ってその場に倒れ込んでしまった。
でもこれだけは覚えている。
倒れる瞬間、カイトが僕の名前を大声で叫んで呼んでいたような声が聞こえた気がした・・・。
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それでは次話もお楽しみに!