173.魔法で対抗
6月がやって参りました。
徐々に暑くなってきて、さらに梅雨でジメジメするのでイヤな季節ですよね。
嫌だぁ!!!(笑)
ヤバイ!!
いくらカイトの足でも僕をおぶっているこの状態だ。
このままでは追い付かれてしまう。
どうしよう? なす術なし・・・ここまでか・・・。
そう思い諦めかけた時、ふといい案を思い付いた。
僕の下半身は今、金縛りを受けている。
だけども、幸いなことに上半身は金縛りには合っていなかったじゃないか!
上半身さえ動ければ、腕さえ動ければ、僕は魔法が使えるではないか!
魔法さえ使えれば、このハイベアーの大群を倒すことは厳しくても、足止めすることは容易だ。
何でそれを早く気が付かなかったんだろう。
僕はバカ過ぎたね。
あまりの不測の事態に、足だけでなく頭まで働かなくなってしまっていたみたいだ。
忘れる前にやっておかなきゃ。
僕はカイトに「あのさ、今さらでゴメンなんだけどさ、僕、足止めできるかもしれない方法を思い出しちゃったんだ。 今から魔法を使ってみようと思うんだけど。」
「魔法? ああそうか、ハルトは魔法が使えたね。 ってか早く気づけよそれ。 早くやって早く! やらないとこのままここに落としてくよ。」
「分かった分かった、やるから落とさないで!」
というわけで、追ってくるハイベアーの群れを魔法で足止めすることにした。
「いくよ! ハァーーーーー!!」
僕は手をハイベアーの群れに向けてかざす。
そして、その手の目の前に火の玉を浮かべていく。
そして、それをもう片手でも同じように行っていく。
こうして目の前に2つの火の玉が現れた。
その火の玉をさらに意識して少しづつ大きくしていく。
よし! このぐらいか。
自分自身にも熱い空気が伝わってくる。
僕はそれをブォッと少し上に投げ上げてから一気に地面に落下させていく。
僕たちが通り過ぎた後に、その火の玉が地面と激突した。
その瞬間、落下地点から円状に火柱が上がっていく。
火のボーーっという燃えさかる音が響いてくるのが聞こえる。
これはやったはずだ!
そう僕は確信した。
だって、どの生き物でも火は怖いもののはずだ。
だからわざわざ、彼らがそんな恐怖の対象を突き抜けてまで追いかけてくることはないと思ったんだ。
だけどその読みはすぐに外れることになる。
魔法を発動させたタイミングが悪かったのだ。
2匹のハイベアーが止まり切れずに火柱を突き抜けてきたのだ。
「あちゃーマジか・・・。」
「え、どうしたの?」
「あ、いや、気にせず走って。 ちょっと減らせたけど突破されちゃっただけだから。」
「そ、そうなんだ。 分かった、取り敢えず走り続けるよ。」
「お願いね。」
ちなみにその火柱を突破したハイベアー2匹は、その一瞬は戸惑っていたものの、獲物を目の前に見付けた瞬間再び足を動かして僕たち目指して追いかけて来ていたのだった。
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