171.狂気の沙汰と金縛り
遅くなりました!
所用で数日外出しておりましたので失礼しました。
ちゃんと生きております(笑)
度々更新が遅くなったら、旅に出ているかYouTube頑張っていると思っていただければと思います。
ここから僕たちは厳戒態勢で周囲を注視しながら、さらに森の奥深くへと足を踏み入れて行った。
思ったとおりだ。
心なしか少しずつ地面にジメっけが出てきた気がする。
本来、今回受注した依頼の、『ハイベアーの生息域情報の調査』は、生息している地域を知りたいというのが目的のため、何かしらの痕跡を見付ければいいだけでハイベアー自体を目撃する必要もないわけなのだが、今回わざわざもっと進むことに決めた理由はちゃんとある。
それは、今回もう1つ受注している依頼が関係していた。
この、『タストミナ草の群生域情報の調査と収集』だ。
正直まさかこんなに早くハイベアーの生活の跡を見付けられるなんて、僕たちは全く思ってもみなかったので2つ受けてしまったんだけど、受けたからにはちゃんと仕事をこなさないといけないからね。
今後の信用問題にもかかわるし、なにより、依頼ボードの前でどの依頼をしようか決めかねて困っていた僕たちに、親身になって相談に乗ってくれてこの依頼を探してきてオススメしてくれた、あの冒険者ギルドの職員さんに申し訳ないからね。
だからちゃんとやるって決めて、探索を再開したんだ。
確かに、ハイベアーの生息している痕跡のあったこの近くで探索するのはかなりリスクがあって危険なんだけど、やろうと決めた時に、なんだかこっちの方から雨が降る前に香るようなあの匂いじゃないけれど、何だかそんな感じの湿ったような匂いを感じたからこっちに行くことにしたんだ。
そういうわけで、カイトと一緒にテクテクと森の奥地へと足を進めていくと、不運にも見付けたくないものを見付けてしまった。
それを見付けたことで二人にとても重い空気が圧し掛かり、二人ともゴクリと息を飲む。
そう、僕たちが見付けたそれは、木に付いたハイベアーのものと思われるツメの跡だった。
それも、相当深く刻み込まれている。
木が貫通してしまうんじゃないかってぐらい深々とだ。
ハイベアーに限らずだけれど、野生のクマたちは自分の縄張りだという証として、木にツメでこのような跡を付けて、自分たちのテリトリーに侵入者や敵が入ってこないようにしているんだ。
だけど、僕たちは今その中に入ってしまっていたというわけだったのだ。
これは貴重な生息域の情報ではあるけれど、それはそうと、かなり今の状況は予想外だし緊急事態ともいうべき状況だ。
正直今すぐにでも引き返すべきだろう。
そう思いカイトに話し掛けようとしたけれど、そのカイトがかなり怯えて少し離れたところを見つめている。
まさか・・・ハイベアーが!?
そう思い咄嗟にカイトが見ているところを眺めてみると、衝撃の光景が見えた。
まずそこにはハイベアーの姿はなかった。
だが、それで落ち着けない事態が発生していた。
それは、なんとそこ一帯にあった10本を超える木々全てに、ハイベアーが付けたと思われるツメの跡がいくつにも渡って刻み付けられていたのだ。
その光景はまさに、狂気の沙汰にも見え、見た瞬間身体中の血の気が引いて恐怖で身体が震え、身体も動かせず声も出せなくなってしまった。
一種の金縛り状態に近い状態になってしまったのだ。
これはヤバい! そう考えたことに身体が過剰に反応してしまったのだろう。
そんな暇はないのに。
早く解けろよ!! だけれども、一向に身体が動かなかった・・・。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
作品が気に入って頂けたら、ブックマーク、感想、評価をお願い致します。
ブックマーク、感想、評価を頂けますと励みになります。
評価ボタンは、本作各話の最下部に設置されておりますので、宜しくお願い致します。
それでは次話もお楽しみに!