170.白い物体と足跡
連休が明け2週間、お仕事の方々も学校の方々も、そうでない方々もよく頑張りました!
お疲れ様です!
皆さんイレギュラーな事態で疲れ切っているかと思います。
この土日で疲れた身体を癒してくださいね。
では、本編へどうぞ!!
「ハハ。 ちょ、ちょっとカイト、もういいでしょ?? ハハハハ。」
「まだまだ~!!」
カイトのコチョコチョ攻撃はまだ続いていた。
僕は耐えられずにその場で寝ころび回っていたんだけど、そのおかげで少し行った先、そこに何かがあるのを見付けたんだ。
「ちょ、ちょっとカイトやめて! あれ、あれ見てってあれ!」
僕が必死に訴えるのを聞いてカイトの手が止まった。
カイトが僕の指差した先を向いた。
「な、何かあるよね? 何だろう?」
僕はカイトに引き起こしてもらい、2人でそこまで行ってみる。
遠くから見た感じだと、土の地面に中くらいの窪みができていて、そこに白い何かが埋められていて、でも埋め方が適当だからか、被された土の隙間から所々その白い何かが顔を覗かしている感じだった。
何だろう? 僕たちはその物体に近付いていく。
そして目の前まで来てその窪みを観察してみる。
すると・・・
「は、ハルト・・・これって・・・。」
「そ、そうだねカイト・・・。 これ、確実に・・・。」
お互い声が震えているのが分かる。
それは、そこに被せられていた土に、大きな肉球の付いた足跡がいくつもついていたからだ。
そして、そこから掘り起こしてみたら、所々見えていた白い物体は何と、シカの亡き骸だったのだ。
亡き骸といってもほとんどが骨と化した亡き骸だった。
しかも、まだ肉が残っている部分を見てみるに、全く変色等していないことから、これが今さっきと言わずとも今日か昨日に食べられたものだということは容易に想像できた。
「カイト、これってハイベアーがやったのかな?」
少し深呼吸をして自分を落ち着かせながらカイトに尋ねてみる。
「うーん、その可能性は強そうだね。 だけど、これだけだと判断するのは難しいよね。 モンスターは無数に種類がいるから、似たような肉球があって似たように巨体な肉食のモンスターかもしれないよ。」
「そっか。 でも注意するに越したことはないよね。」
「そのとおりだよ。 もしハイベアーでもそうでなかったにしても、急に襲われるのと意識しておくのとでは違うしね。 動きが素早いモンスターだっているから、そういった類だったら油断は命取りだからね。」
「だね。 あそうだ。 一応ここにこういうものがあったってマップにメモしておいた方がいいよね。 忘れるところだったよ。」
「頼むよハルト。 ハルトだけが頼りなんだから。 俺なんかマップを見ても今自分がどこにいるか分からないんだからさ。」
「う、うん。 でも地図ぐらい読めるようになってよね。」
「努力はするよ。」
そんな感じでこの場を後にする。
もしこのシカを食したモンスターが戻ってきたらいけないからね。
ちなみにこの場を後にする前に何か他に情報はないかと周辺も詳しく探索してみたんだけど、このシカの亡き骸以外にはこの周辺には何の痕跡も残されていないようだった。
仕方がないので再び歩みを進めることにした。
「そうだハルト。 今からハルトは右側を見るようにしてみて。 俺は左側を見るからさ。 何か異変があったり何かが動いたりしたら直ぐに情報を共有することね。 いつ襲われてもいいようにそうしよう。」
「うん、分かったよカイト。 僕が右側ね。」
「そうだよ。 お願いねハルト。」
そうして僕は右半分を担当することになった。
何事もないと良いけど・・・。
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