168.足跡探し
今回から3日に1回の投稿を目指す投稿方針に変更させて頂いております。
ご了承頂ければと思います。
「ではお気をつけて!」
「はい、行ってきます! 良い報告ができるように頑張ってきます。」
「はい、お待ちしております。」
そうして僕とカイトの二人は冒険者ギルドを後にし、洞窟住居の街ゴルドー周辺へと歩いていった。
二人が請け負った依頼はこの二つだ。
『ハイベアーの生息域情報の調査』
『タストミナ草の群生域情報の調査と収集』
どちらもどこに生息しているのかが分かっていないので、調査をしてきて欲しいという内容の依頼だ。
依頼の詳細としては、たとえどちらも発見出来なかったとしても、捜索した場所を配られたマップに印をつけていけば、報酬が出る仕組みになっている。
どこにある、いるのかが分からない以上、ない、いない場所を知ることもまた、重要な情報になるという位置付けの元の設定となっているようだ。
僕たちは荒野を駆けてゆく。
街の周りは荒野地帯が広がっているので、まずはここを抜けることが重要となる。
この荒野にも当たり前のようにモンスターが生息していたけれど、僕たちは時に隠れながら、時に忍び足で、時に全力ダッシュをして彼ら荒野モンスターとの戦闘を避けながら進んだ。
別に戦闘するのはいいんだけど、時間の無駄になってしまうし、何より倒した後の処理が非常に厄介だ。
持ち運ぼうにもこれから調査をするために歩き回るのだから、どう考えても邪魔でしょうがないんだ。
だけどそのまま放置しておくのは、せっかくの命を頂いたのだからもったいなくて許せない。
なので極力戦闘を避けながら進んだんだ。
どうしようもない時は魔法で目くらましや足止めをしながら回避していったんだけどね。
そんなことを繰り返して僕たちは森林部分にやって来た。
といっても深くて暗いような森林ではなくて、木漏れ日がたくさん入り込むような明るい雰囲気の森林だ。
雰囲気としてはかなり良くて、モンスターさえいなければハイキングに最適な感じの森林だね。
僕たちはそんな森林の中を歩きながら、依頼を受けた調査をしていく。
タストミナ草もそうだけど、ハイベアーの方は特に慎重に調査していくことにした。
僕が元の世界で観たことのあるテレビ番組で、ハンターさんが「こういう感じに木に爪の跡があるでしょう。 これは縄張りの印なんだよ。」とか、「地面をよく見て見てください。 ここの土、なんだか足跡のような形していないですか? それにそこにフンのようなものがありますよね。 これ、まだ新しいですよ。」とか言っていたので、僕たちもそれを真似て調査してみることにしたんだ。
ハイベアー自体は一度見ているから分かるけど、相当な大きさの熊だ。
熊なので通った場所には大きな肉球の跡がつくはずだ。
なのでそんな肉球や爪の跡などを探しながら森の奥へと入って行くのだった。
そうして進んでいくとカイトが声を上げた。
「あっ! ハルトハルト、これ見てこれ!」
そうしてカイトが指差した先を見てみた。
するとそこには・・・。
「あー、確かに足跡があるね。」
「でしょでしょ!」
カイトが物凄く満足げな顔を浮かべている。
そんな中言いにくいのだけど・・・。
「あのねカイト。 よく見てごらんよこの足跡。 あまりにも小さすぎると思わない?」
「た、確かに・・・。」
そう、この足跡は恐らくウサギほどの小動物のものと思われるほど小さな足跡だったのだ。
「でも凄いよカイト。 ありがとう。」
「う、うん。」
シュンッと落ち込んでしまっていたカイトだけれども、その一言でなんとか立ち直れたようだった。
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