166.まさかのお休み
「すいません、あのぉ~・・・。」
受け付けカウンターの前で待っていると、先ほどの案内してくれた冒険者ギルドの職員さんが戻ってきたようだった。
「あ、はい。」
「あのぉ、お待たせして大変申し訳ないんですが・・・。」
「はい。」
「その・・・お受けいただいた洞窟住居の拡張作業なんですが・・・。 ごめんなさい! 今日お休みのようでして。 ほんとにすいません。」
職員さんはホントに申し訳なさそうに頭を深々と下げていた。
あまりに何度も頭を下げて謝られるので、なんだか僕たちが太刀の悪いお客さんで、よくネットで騒がれるように「おらもっと謝れよ! 土下座だ!」なんて言っているような感じに周りにの人たちから見られちゃってそうだよ。
だから僕もカイトも慌ててそれをやめさせたんだった。
「も、もう分かりましたから! だから謝らないでくださいって。 ほら、周り見て見てくださいよ~。 なんだか僕たちが職員さんに意地悪して無理矢理謝らせているみたいに思われちゃってますよ絶対・・・。 ね、だからもう大丈夫ですから!」
「あ・・・。」
そうして職員さんは涙目になりながら顔を上げ、周りを見渡した。
そして・・・
「あ、あわわ。 うわぁ、ほんとにすいません!!」
「だからいいですから!!」
こんな謎な攻防を数分繰り返したのだった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」
「ふぅ~、落ち着きましたか?」
「は、はい、なんとか。」
「よかったよかった。 どうなっちゃうかと思いましたよ。 ハハハ。」
「ご迷惑おかけしてしまって・・・。」
「大丈夫ですよ。 みんなの誤解も解けたようですし。」
「そう・・・ですか。 ならよかったです。」
「あ、それはそうと洞窟住居の拡張作業の話ですがどうですか?」
「あ、そうでしたそうでした。 えっと、その件なんですが先ほど伝えたように今日の作業はお休みのようでして、さらに調べてみると明日ならば作業があるということでしたよ。」
「ほんとうですか! よかった!!」
「お! じゃあ明日でもいいよねハルト!」
「うん、明日でも全然いいですよ!」
「あーよかった。 じゃあ明日の参加者の中に入れておきますね。」
「お願いします!」
「えっと、明日の集合時間はっと。」
ペラペラペラペラ
予定帳のようなものをめくりながら確認している。
「あったあった。 えっと、明日の集合時間ですが朝の10時ごろにお願いします。 だいたい太陽がこのぐらいの高さの時間ですね。」
そうしてメモ帳にサラサラと図を書いてくれた。
「ありがとうございます。 分かりました、それまでにはここに来ているようにしますね。」
「お願いします。」
「あの、あと今日なんですが何か依頼を紹介してもらえませんかね? 何でもいいんです。 冒険者ギルドとしてこの素材が特に欲しいだとか、この薬草が足りていないだとかほんとに何でもいいので、オススメありませんか?」
「うーんそうですね。 それでしたら選んで参りますのでちょっとここでお待ちいただけますか? 待たせてしまってばかりで申し訳ありませんが・・・。」
「いいですよいいですよ。 僕たち紹介してもらえて助かりますから。」
「そう言って頂けると助かります。 では持って参りますのでお待ちお下さい。」
「はい、お願いしますね!」
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