158.カイトの手料理
どの部屋にするか2人で決めて、それぞれの部屋で旅の疲れを癒すことにした。
「はぁー、長かったー。」
僕は部屋に入るや否やベッドに飛び込んだ。
ベッドが羽毛モフモフのふわふわお布団で助かったよ。
岩のクッションだったらケガをしていたからね。
しばらくゴロゴロしているとコンコンっと誰かに、ドアならぬ壁をノックされた。
「ハルトー、入るよー。」
カイトだった。
「いいよー。」
僕はベッドで毛布にぬくぬくとくるまりながら答える。
カイトが仕切りの布をくぐりながら入ってきた。
「どうしたの?」
「あ、たいしたことじゃないんだけどさ。 一応言っておこうと思って。」
「うん?」
「あのさ。 今日の夕ご飯は俺が作るからさ。 道中は魔法で沢山助けてもらったりしたからさ。」
「え、ホントウ!? ありがとうカイトー!!」
「う、うわぁ!」
僕は嬉しすぎて思わず、布団からガバッと起きてカイトに抱き着いちゃった。
すると突然のことで僕を支えきれずに、カイトと一緒に倒れてしまったのだ。
「あっゴメンねカイト。」
「あ、う、うん。」
僕は先に起き上ったカイトに引き起こしてもらう。
カイトの頬が妙に赤くなっているような気がしたのは、まあ気にしないでおこう。
「じゃ、じゃあハルトはゆっくり休んでいるんだよ。 今日は俺が作るからね。」
「うん! 分かった! ありがとう!」
そうしてカイトが部屋から出て行った。
うん、なんだかほっこりして良いね。
今日の夕飯が楽しみだ。
そう思いながら僕は再びベッドに横になったのだった。
そうしてしばらく眠っていると夕食の時間になったようだ。
カイトが起こしに来てくれて僕たちはリビングにやって来た。
リビングの机の上にはカイトお手製の手料理が既に準備されていた。
わぁ、4品も作ってくれたのかぁ!
早速僕たちは席につく。
「美味しそうだね! ありがとう、カイト。」
「うん! 頑張って作ったんだよ、沢山食べてね!」
「うん! いただきます!!」
「召し上がれ!」
まず僕が手を付けたのは勝手に名前を付けてしまうけれど、ふわふわ卵のグリーンボール炒めだ。
グリーンボールは元の世界で言うキャベツのような野菜だね。
卵とグリーンボールの甘さが融合してとっても美味しい!
卵もほんっとにふわふわで食感も見た目も楽しいよ!
これをパンと一緒に食べてみてもホントに合う!
美味しすぎるね。
続いてはローストチキンのオニオンソース掛けだ。
オニオンソースが掛けられていて匂いだけで食欲がそそられる。
パクッ!
んん~! 柔らかく、でも皮はパリッと焼かれた鶏肉、そして噛んだ瞬間溢れ出る肉汁。
そしてそれと絡み合うオニオンソース。
そのオニオンソースが口に入れた瞬間、一気に広がっていくこの感じ。
堪らなく美味しい! 幸せ過ぎるよ!
さぁさぁ、続いてはコンソメスープだ。
口に入れた瞬間染み渡る様々な野菜たちの旨味成分が凝縮されたこの美味しさ!
でもサッパリしているのでいくらでも飲めてしまうこの感じ。
カイトの料理のセンスは天才過ぎるでしょ!
余談だけど、カイトを褒めてあげたらすごく喜んでくれたよ。
続いてはデザートだね。
デザートは、ハチミツフルーツケーキだ。
スポンジ生地の上にイチゴやブルーベリー、リンカンやミカンなどを載せて、そこにハチミツをかけて焼き上げた一品だ。
カイトはパティシエの才能もあるよ!
この世界では砂糖は高級なものなので使えない中、ハチミツでそれを代用したんだと思うんだけど、こっちの方が最高かもしれない!
スポンジ生地にしっとりと染み渡ったハチミツのおかげで、表面はバーナーで炙ったように少しパリッとしている感じなのに中はしっとり食感。
そこに載った沢山のフルーツそれぞれの美味しさが融合して、最高に幸せな気持ちになれる!
今まで食べてきたケーキの中でも断トツに美味しいよ!!
まさかここまで美味しくなると思っていなかったのか、カイトも自分で食べて驚いていた。
ごちそうさま。
今日の夕食も最高だったね!
これだけでこの世界は素晴らしいよ!
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