149.不可思議なモンスター
ササッ!!
そうこうしていると草陰に隠れていた者が動き出した。
サッサッサッ!!
ぐるっと遠回りをしながらも、こちらを目指して徐々に徐々に近付いてきているのが分かる。
このことにはカイトも気が付いたようで、警戒しながらも相手に悟られないように初撃を防ごうと、武器に手をかけて準備していた。
僕も同じように対応する。
サッサッサッ!! サッサッサッ!!
ササッ!!
遂にその物体が街道の横の草陰から飛び出てくる。
ふ、フクロテイガー!?
しかもデカい!?
というかだよ、こんな所には生息していないって聞いてたんだけど!?
取り敢えず相手の不意打ちを狙った初撃の引っ搔き攻撃を剣で受け止める。
だが・・・重い、重すぎるよ・・・。
飛び掛かってきたのだから当たり前と言えば当たり前だよね。
「ハルトー!!」
カイトがフクロテイガーに向かって斬りかかりに向かってくれている。
だがフクロテイガーがひらりと身をねじってその攻撃を躱す。
それと同時に僕からも少し距離を取る形でジャンプして少し後退した。
むぅ・・・少しばかり頭が使えるみたいだ。
僕は少し軽くなったところで剣を横に裂く動作で、フクロテイガーの足の裏に切り傷を入れれないかと思っていたのに簡単に避けられてしまった。
仕方ない、ここは火の魔法で足を負傷させて・・・。
あっ、何でだ? まだ何も出していないのに避ける動作。
まるで思考を読まれたかのようで気持ちが悪い。
そもそもフクロテイガーといえば攻撃的なモンスターだったはず。
なんでこうもコルト村の森のときのように突っ込んでこないのかが不思議だけど・・・。
とにかくこいつは頭が切れるということだから気を付けないと。
カイトもそのことは察してくれているようだから、無理に距離を詰めないで距離をあけて様子をうかがっているようだ。
ガルゥゥゥゥゥ!!
フクロテイガーが唸りを上げ、未練がましそうな顔をしながらも、何かに引っ張られるかのように引き下がって行く。
た、助かったのか??・・・
「ハルトー!! 大丈夫か??」
「う、うん僕は・・・。 でもどっか行っちゃったみたいだね。」
「だな。 ・・・な、なぁ。 戦っていて何か気にならなかったか?」
「気になったよ。 きっとカイトも同じこと思っていたかもしれないけど。」
「きっと同じだな。」
「あのフクロテイガー、やけに頭が良すぎるというか、色々と読みが良いというか・・・。 モンスターなんだけどモンスターでないかのような頭脳を持っているようだし・・・。 何だか変な感じがしたよ。」
「だよなぁ。 俺も同感だよ。 あれはフクロテイガーの見た目はしているけど、なんだか中身はフクロテイガーじゃないような感じがしたよ。 なんか嫌な感じ、変な感じだったよ。」
「まあ何でか知らないけど居なくなってくれたようだからよかったよね。 あれは何だか戦いたくないよ。」
「だね。 何をしてくるのか全く読めないし、あれは戦いづらいっちゃあらしないからね。」
「そうだね。」
「さぁハルト。 こんな所で話していてまた出くわしたら嫌だからね。 さぁ戻って来る前に早くこの場を離れよう。」
「うん、そうだね。 もう嫌だからね。」
そんなわけで僕たちは、謎のフクロテイガーとの戦いを終え、その場を足早に後にしたのだった。
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