134.ハシュードさんとトランプ
夕食を食べ終わった後部屋に戻ったら僕はカイトに話し掛けようとしたけれど、結局寝ちゃっていたんだよね。
もう明日にしよう・・・。
しょうがないのでカイトとの予定のすり合わせは諦めて、ハシュードさんと話すことにした。
「ハシュードさん、カイトが寝ちゃいましたよ~。 だから、また明日予定は決めようと思います。」
「ハハハ、そうかそうか。 あいつはそういうやつだからなぁ。 また明日話題振ってやってあげてよ。」
「分かりました。 あ、そうだっ。 これからカイトと2人でしばらく旅することになるじゃないですか。 カイトってこういう普通の冒険者がやるような旅って、やったことあるんですかね?」
「ん? どういうことだろう?・・・ あっ、そういうことか。 俺が商人やっているからちゃんと色んなものが揃っている準備万端な状態で旅ができているけれど、馬車もなく物資も徒歩だからそんなに持てない。 そんな状態での旅ってできるのか?ってことだね??」
「そうです、そういうことです。」
「正直に言うよ。 まずそういう旅はやったことはないね。 旅に出るようになったのは俺が商人になったからで、商人になったと同時に記念にあの馬車を買ったからなぁ。 だから俺たちの旅は最初から結構安定してたなぁ。 何なら俺ってアイテムボックスを持ってるじゃんか。 だからそこらの中堅の商人たちよりかはかなり良い環境で旅できているかもしれないよ。」
「そうなんですね。 いやぁ、果たして大丈夫なんですかねぇ僕たち?」
「ハルトくんは分からないけれど、確実に言えることは、あいつはダメダメだろうなぁってことさ。」
「えぇ~~!? 困っちゃいますよ僕・・・。 カイトに頼ろうと思っていたのに・・・。」
「その選択は諦めた方がいいなぁ。 あいつに任せると確実にヤバいことになるよ。 ここはハルトくんがしっかりしないとさ! ハルトくんは俺たちが考え付かないような色々な知識を持っているじゃん。 その頭の良さを駆使してあいつを導いてやってくれよ!」
「そ、そんなぁ・・・。 僕、何にも知らないですよそういう知識は・・・。」
「まあハルトくんなら何とかなるから。 頼んだよ。」
「じ、自信ないですよぉ・・・。」
なんてこった。
僕は完全にカイトに色々と教えてもらって、補佐をしながら旅をするつもりだったのに。
完全に計画が崩れたどころか、全くもって予想外の現実を突きつけられたよ。
絶望ってほどじゃないけれど、ちょっと今回の旅は不安が期待に勝ってしまったよ・・・。
この後軽くハシュードさんと雑談をしたあと、2人でババ抜きをした。
2人でババ抜きって、普通にやると相手が持っているカードが分かっちゃってるからあんまり面白くないはずなんだけど、ハシュードさんとやると話も弾むしとっても面白かったんだ。
だから何回もやったんだけど、何故か全敗だったね。
どういうことかな??
その後また2人で今度は大富豪をしてみた。
おお!! 3回目にしてようやく今回は良いカードが揃ったよ!!
数字の大きなカードが8割を占めている状態だ。
これは勝った!! ようやく勝てるぞ!!
そう思いゲームがスタートする。
少しやっていくと、今回はハシュードさんが勝ったので、ハシュードさんからのスタートだ。
えっ・・・!?
これってもしかして・・・同じカードが4枚って・・・??
もしかしてのもしかして、革命!?!?
は、ハシュードさん・・・。
そんなにニヤニヤしないで。
負けた・・・もう僕、9以上のカードしか持っていないんだよ・・・。
小さいの、さっきまで舐めプをしていたら使い切ってしまったんだよね。
これじゃあ必殺技の八切りもできないよ・・・。
なので・・・結局負けてしまった・・・。
なんてこった・・・、ハシュードさんが強すぎるよ・・・。
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