128.お茶のお誘い
僕は今、路地裏のお店のおじさんにお茶に誘われて、ご厚意に甘えておじさんの後に続いて、おじさんのお店へ入って行った。
「ここが俺の店さ。 見てのとおりローブと雑貨を扱っている小さな店だよ。 まあそのソファーに座っておいてよ。 お茶を淹れてくるさ、待っててね。」
「はい! ありがとうございます!」
ソファーに座りながらお店の中を眺めると、お店の半分ほどで商品が分けられており、半分は様々な色のローブや、その素材を使った服やズボンなどの衣服類が置かれていた。
そして、残り半分には手作り感満載のミサンガから、お財布や小物入れ、置物などの雑貨類が置かれていた。
一見するとお土産ショップの様な感じのお店のようだね。
しばらくソファーに座りながら店内を眺めていると、おじさんがコップを2つとお茶の入った急須を持ってきた。
「まだもう1個ね。」
そう言ってコップと急須をテーブルに置くと、おじさんは再び奥へと入って行った。
何か取りに行ったのかな?
そう思いそのまま待っていると、おじさんがクッキーの乗ったお皿を持って帰ってきた。
お茶菓子を持ってきてくれたみたいだ。
なんだか偶然通りかかって偶然出会った初見さん同士なのに、ここまでしてくれるんだね!
温かいね。
「よし、お待たせ! そろそろ良い頃かな?」
そう言っておじさんはコップにお茶を注いでくれた。
注がれたコップには、程よい湯気を上げる薄茶色のお茶が注がれていた。
お紅茶かな?
この世界では庶民でもお紅茶を飲むことができるんだね。
2つともに注ぎ終わると、お互いコップの取っ手を持ってカーンッとコップ同士で乾杯をする。
やっぱりお紅茶のようだね。
甘味の中にほんのりとしたお抹茶のような苦みも加わって、非常に味わい深いものになっている。
「うん! 美味しいですこれ!」
「そうか! 嬉しいなぁ。 これ、うちでブレンドしてみたものなんだ。 自慢の逸品ってやつだね。」
「そうだったんですね! 味わいがよくって、この甘味の中にほんのりとある苦みがたまらないです! ホントに美味しいですよ!!」
「そうかいそうかい、そう言ってもらえると俺も嬉しいよ。」
「はい! お菓子もいただいていいですか?」
「いいよ! これも今後出そうと思っているんだよね。 こうやって旅人の人たちがゆっくりまったり休める空間を提供出来たらなぁって思っているからさ。」
「素敵ですねそれ!! じゃあいただきます!!」
パクッ!!
おお!! 何だこの食感は!?
外はサクッとしているので、最初に感じる食感はサクッとしたまさにクッキーの食感なんだけど、その後にくる中の食感がしっとりとした食感なのだ。
あ! これは凄い!! これは中にストロベリーのジャムが入っているよ!!
この街の名物であるフルーツを組み込んだ、ストロベリークッキーだね!
「これはかなり美味しいですよ!! お土産にも沢山貰いたいぐらいです!! そのぐらい絶品ですよ!!」
「本当かい!! 嬉しいねぇ、苦労して開発した甲斐があったよ! このしっとり感を出すのに苦労したんだよね! 後で沢山お土産用に持って帰れるようにしておくね!」
「良いんですか!? ありがとうございます!!」
これは至れり尽くせりだね!
ちなみにこのストロベリークッキーは、お紅茶との相性も抜群だったよ!!
もう最高の至福の時間だね!!
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