124.白身魚のカルパッチョ
美味しい夕食を食べ終えた僕たちは、部屋に戻ってベッドに寝ころびながら少し話したあと、1人ずつ寝落ちしていった。
そして翌日。
チュン、チュンチュン。
スズメの鳴き声で目を覚ます。
このふとした長閑な感じが幸せです。
「あ、もう朝かぁ。 おお、おはようハルトくん。」
「おはようございます、ハシュードさん。」
僕がもぞもぞと部屋の中を歩いていたら、ハシュードさんが目を覚ましたようだ。
「早いですねぇハシュードさん。」
「今日は買い出しに行きたいからねぇ。 早く起きて頭を働かしておかないとね。 本番で凡ミスして相手にしてやられるとか嫌だからね。」
ハシュードさんの本職は冒険者みたいに戦う人じゃなくって、頭を使いに使って商品を仕入れたり、またお客さんに売ったりする商人さんだからね。
どっちが本職か分からなくなっちゃうことがあるけれど、間違いなく商人だからね。
そんなこんなで、今日の予定について聞いておく。
「今日は街の市場に行くって言ってましたよね? この街には何があるんですかねぇ? 楽しみです!」
「興味あるか! この街の市場はなぁ、メチャクチャ楽しいぞ!! コルト村は主に自給自足の村だったからあんまり市場っていう市場はなかったけれど、ここはちゃんと商業が発展した街だからなぁ。 市場が結構栄えているから、見るだけでも絶対に楽しいはずだよ!」
「本当ですか!! 楽しそう!! 早く行きたいなー!!」
「ハハハ、そうかそうか。 でもな、楽しみなのは分かったけれど、まだちょーっと早いかな。」
ワクワクだ! 早く時間になって欲しいよ!
そんなこんなでハシュードさんとベッドのふちに座って話していると、その声でカイトが目を覚ましたようだ。
「ふわぁ~。 え、なになに??」
ドスン!!
「いっててぇ~!!」
カイトが突然起きたと思ったら、ベッドから転げ落ちてしまった。
ほんとに痛そうだよ今の音は。
「だ、大丈夫カイト??」
「ハッハハハハハッハハハ!! おいおいお前、えらい音したぞカイトー。 何やってんだよ朝から。 フッハハハハハ!」
「ほんとに痛いよ・・・。 そ、それに兄さん酷いって。 人の不幸を見て笑うなんて信じられないって。」
「ハハハ、悪い悪い。 ブッハハハ!」
「兄さんってばぁ・・・。」
そんな微笑ましい朝のひと時を、僕はベッドのふちに座りながら眺めていたのだった。
コンコンッ
「おはようございます。 朝食のご用意ができましたので、よろしければ食堂までお越しくださいね。」
宿屋の従業員さんがドア越しに伝えてくれた。
「おはようございます! 分かりました~。」
朝食が出来たようなので食べに行く。
基本朝食はエッグ類が出ることが多かったけれど、今回はどうやら違うようだ。
席に着くとパンとサラダと共に、白身魚のレモン付きカルパッチョが出てきた。
レモンの香りがかなりしていたから、何かな~?って思っていたら、この世界にもカルパッチョってあったんだね!
前の世界でも何度か多分食べたことあるんだけど、あんまり食べた記憶がないんだよね。
実際に食べてみる。
パクッ!
まず問題のこちら、レモンの風味で魚の臭みが消えているので、普通に食べられたよ。
そして、レモンと甘酸っぱいソースが合わさり、さらにそこにお魚の甘味も加わっているから、ほっぺが幸せになる美味しさだったよ!
今まで何だか分からなかったから挑戦しようと思わなかったけれど、メチャクチャ美味しかったことが、異世界に来た今ここで判明したのだった。
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