119.羊飼いの救出
ようやく冒険が再スタートしたと思ったらまたひと騒動。
羊飼いのおじさんの運命や如何に!?
羊飼いのおじさんがようやく馬車の手前までやって来た。
のだが・・・なぜだ・・・、おじさんがバテ過ぎて羊との距離がさっきよりも縮まっているんだけど・・・。
「ハアハア・・・た、助けて・・・。」
「は、早く手ぇ掴んでよおじさん!!」
僕は思わず叫ぶ。
それを聞き、ハッとした顔になって、おじさんが手を掴んできた。
手汗が凄いが我慢だ・・・。
その手をカイトも掴み、一緒に引き上げようとする。
でも、もう間に合わないと判断し、ハシュードさんが馬車を発車させる。
「カイト、ハルトくん! もう待てない! 無理だ! ちゃんと掴んでおくんだぞ! おじさんの命は君たちにかかっているから!!」
ま、マジですか・・・。
おじさん引きずられちゃってるよ・・・。
市中引き回しの刑になってるよ、足だけだけど。
「痛い痛い痛いいいいい!!!!」
「あーもう、おじさん暴れないでよ。 この手離して落とすよ??」
あ、いま僕とんでもないこと言ったような・・・、まあいいっか。
「痛いんだって!!」
「カイト、せーので何とか引き上げよう。 うるさいし、手が痛いし、暴れるから。」
「う、うん。」
「せーのっ!!」
「うおおおおりゃああ!!」
「おいっしょおおおおお!!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!」
バタンッ!!
「はぁはぁ。」
「ふぅー。」
「いってててててて・・・。」
な、何とか引き上げられたよ。
このおじさん、思った以上に重かったよ、ちょっと危なかった。
「ゴッホゴッホ。 あ、ありがとうみなさん。 どうもすいません。」
おじさんがハァハァいいながら、もう今にでも死にそうな顔をしながらお礼を言ってきた。
その後しばらく走っていると、羊たちは諦めたのか僕たちを追って来なくなった。
「た、助かったぁぁぁぁぁぁ!!」
4人とも同時に安堵の声を上げる。
何とか助かったみたいだ。
それにしても、何で僕はこんなにも騒動に巻き込まれるんだろう?
神様のいたずらには付き合いきれないよ・・・。
「で、おっちゃん一体何やってたの??」
落ち着いたところで、馬車を適当な場所に停める。
そしてカイトが開口一番、みんなが一番気になっていることをどストレートで聞いていた。
多分、相当疲れてちょっとイライラしているのかもしれないね。
「そ、それは・・・。 正直なんで俺も羊たちがあんなに怒っているのか、分からないんだよね・・・。」
「え・・・、絶対何かしているはずだよ。 羊ってあんなに狂暴な生き物じゃないはずだもん! そうであって欲しいもん!!」
「って、それ君の願い入ってるよね? ま、まあ確かにそうだけどさ・・・。」
「じゃあ、何か思い出せない?? 羊さんが意味もなくそんなに悪い子にはならないはずだからさ。」
そう、羊さんは永久に動物界のアイドルじゃなきゃだめだからね。
「うーん・・・そう言われてもなぁ。 あ! あれじゃないか! それしかやってないもん。」
「なになに?」
「羊の子供を親から引き剥がしたんだよね。 どうしても欲しいって人がいてさ。 でもさ、それ群れのボスの子だったみたいなんだよねよく考えれば。」
「ということは、ボスが怒って総動員してきたってこと?」
「そ、そうだよきっと・・・。」
何だろうこのコメディ感・・・。
というか、逃げた羊たちはどうなったのかも気になる・・・。
今頃その子供を引き取ったおうちが大変なことになってそうな・・・。
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